すごい人がいるもんだ

あれは2003年の10月のことである。取引先の人(これがまた上手くて300ヤードは飛ばす人)と一緒にマレーシア/ジョホール州にある「ポーレシア」というゴルフ場に行った時である。この人はポーレシアのメンバーであり、行く時はいつもその人と同じ会社のシンガポーリアンの人と一緒に行くのだが、その時はたまたま彼が都合が悪く、同じポーレシアのメンバーの人2人と初めて一緒に回ることになった。

ちなみにこのポーレシア、シンガポール・マレーシア・インドネシアといったこの周辺では一番難しいコースであり、私はいつもよりも5打はスコアが悪化する所である。しかしチャレンジングで面白いコースなので時々行っているのである。

Poresia GC

その時に一緒に回った人はやはりシンガポールに駐在しておりポーレシアのメンバーであるIさんとKさん、いずれも日本人である。Iさんは私と同じ年の44才、Kさんは30台前半で、2人ともスポーツを長年やってきた人たちであった。レストランで初めてお会いし挨拶をしたあと、一緒にコースへ行った。

雨あがりのため芝生はかなり濡れており打ちにくそう。スタートは短いミドルであるが私はいつもドライバーで打つ。くじ引きで私は一番最後に打つこととなった。

見ると3人ともアイアンを持っている。ドライバーを持つのは私1人。これだけでこの3人がいかに飛ばすか、いかに朝一は曲げないように大事にいこうとするか、よーく分かるのである。

まずIさんが3番アイアンで打つ。これが思い切り振りかぶってスイングしたら、「パーン!」というすごい音とともにボールは高くはるか向こうに飛んでゆく。「うわ~!すごいな~!」と感動。次に打ったのはKさん。やはり持つのは3番アイアン。この人は実に軽~く振り上げて、ゆったりとスイングしたのだが、これまた「パ~ンッ!」という音とともにボールははるかかなたへ!次は一緒の取引先の人。やはり3番アイアンで同じように遠くへ。

このあたりで既に私は「あんぐり!」状態。あせりながらドライバーを構えたが出たのはトップボール。まあでも朝だから仕方ないな、と思ってボールの所まで行くが・・・。

何と私が一番飛んでいない!

いくらトップしたとは言え200ヤード近くは飛んでいるはずなのだが、他の3人はアイアンで私よりももっと遠くへ飛んでいる。う~ん、これは屈辱。。。

次がまたすごい。
私は少しダフってグリーン手前に落とし、ようやく3オン、しかも3パットでダボ。しかし他の3人は軽~く当たり前のように2オン、2パットでパー。このあたりで「う~ん、実力が違い過ぎるかな、、、」という感じが既にしてきた。

先に進むに連れて実力の差ははっきりしてきた。とにかく3人とも滅多にドライバーなど持たない。特にフェアウエイの狭いこのコースでは、アイアンで普通のミドルは充分なのである。
ティーグランドでは3人ともアイアン、私のみドライバーを持つという光景が続いた。1人だけドライバーを持つことにまず屈辱を感じ、次に3人のアイアンショットと私のドライバーショットの飛距離が同じことでまた屈辱

む~、いくら実力の差とはいえ、ここまで差が出るといい加減キレてくる。そこで今度はドライバーで力の限り思い切りぶん回してやろう、とも思ったが、ちょうどそこで長いロングに差し掛かる。そこで3人ともようやくドライバーを持つ。

「やっとドライバーを持ってくれたか」と安心したのもつかの間、いざ打ってみると、3人ともものすご~~く飛ぶ! もう当たった瞬間のボールの勢いが全く異なり、インパクトの音まで違う。私の場合は「カキ~ン」であるが、3人はヘッドスピードが速いせいか「バシューーッッ!!」というボールがつぶれたような音!それでいて上がったボールはなかなか落ちてこない。ようやく落ちたかと思ったら、それははるか彼方。

あんぐりしながらセカンドショット地点まで歩いてゆく。
すると3人ともはるか先に豆粒みたいに見えるではないか。これまでの仲間内のゴルフでは、仮に飛ばす人がいてもせいぜい20~30ヤード先にいるにとどまったが、今回ばかりは本当に「はる~か先」にいるのである。

そりゃそうだ。私の飛距離はせいぜい220~230ヤード。この3人は揃いも揃って280~300ヤードは飛んでいるのだから、もう全く歯が立たない。ここまで差を付けられると、キレるのを通り越して「あっぱれ!」と思ってしまう。

ではこの3人、飛距離だけかというとそんなことはなく、ショートホールでアイアンを持たせたら、それこそ本当にピンに向かって真っ直ぐ飛ぶ。精度もかなりいいみたい。アプローチをやらせたらピンそば1メートル以内につけるのはお手のもの。全てが上手で感心しまくりであった。

もう1つ驚いたのは、彼らはどこからでもグリーンを狙ってゆくのである。林の中だろうが深いバンカーの中だろうが、つま先上がりの急な傾斜地からだろうが、とにかくガンガンとグリーンを狙ってゆくのである。あれはどうみても乗らないだろうな、と思ってみていても、それが2回に1回は乗ってしまうのだからたまらない。いやはや、すごいものである。

そうこうして、あんぐりしながら一緒に回っているうちに、18ホールはあっという間に終わってしまった。雨上がりの最悪の状態ながら、Iさん、Kさんともスコアは81と83。私は113。この差は大きすぎる。
しかも2人とも「今日は流石に調子悪かったなあ」と言っている!
聞いたらこの難しいポーレシアで、特にIさんは2回に1回は70台で回るそうである。驚きである。
会社の関係でも上手な人はたくさんいる。彼らは80台で回るのだが、このIさん、Kさんは更に更に上手。もう何と言うか、迫力が全く違うのである。

終わったあとの食事の時に、どうやってこんなにゴルフが上手になったの?と聞いたら、2人とも経験が長いこともあるが、

「今年に入ってからあるレッスン・プロのレッスンを受けた所、劇的に改善したんだ」

と言ったのである。

そこでそのレッスン・プロの紹介を受け、私もその人のレッスンを受けることにし、早速すぐに受けに行ったのである。
確かにその成果は早くも出てきている。その詳細は別途記述しようと思う。

(2003年12月14日)