シャンク対策

「シャンク」・・・、嫌な言葉である。ゴルフのミスショットの中で最も忌まわしいのがシャンクではないだろうか。
シャンクは思いもよらぬ時に突然出るから困るのだ。
ナイスショットを繰り返しグリーンまであとわずかの所でシャンクして横のバンカーに突っ込んだり、得意のはずの残り100mでシャンクしOBになったり、枚挙に暇がない。ひどい時はミドルアイアンでもシャンクをやらかしてしまう。そうなるともうその日はアイアンが当たる気にならず、一日が実につまらないものとなってしまうのだ。

シャンクには2通りあると思う。
狭義のシャンク(一般的に言われているシャンク)とは、アイアンのヒールに当たり、真右にボールが飛び出していくことで、ショートアイアンのアプローチで多く発生する。グリーンがすぐ目の前で発生するのでたまらない。寄せワンを狙ったつもりが大叩きになってしまうので恐ろしい。それでバンカーや池などに入ったら完全ブチキレである。
広義のシャンクとは、アイアンのダウンスイングでアウトサイドからフェースが開いておりてきて、先端に当たるため、ボールは低く右に飛び出して更にスライスしてしまう。結果的にほぼ45度ほど右に飛び出て行ってしまう。これはショートアイアンばかりでなく、ひどい時には3番、4番といったロングアイアンでも発生する。

私の場合は最近、どちらかと言うと2番目の「広義のシャンク」に悩んでいた。フェアウエイでもアプローチでも、である。
特に#8、#9、PWのフルショットでシャンクが多発しており、連鎖反応で短いアプローチでまでシャンクしてしまう羽目になっていたのだ。これは今年になってつい最近まで3ヶ月ほども続いていたが、こうなるともうショートアイアンは怖くて持てない、構えただけで全身に力が入ってしまい「またシャンクするのではないか」と考えてしまい、実際にシャンクして非常に悔しい思いをしていたのだ。

そのため一時は仲間内より「シャンカー stream」というありがたくないあだ名までつけられていたのだ!

そこで私は真面目にシャンク対策を考えた。頭がちぎれるくらい考えた。その為に色々な人に話しを聞き、インターネットで多くのサイトを調べ、結論として私の場合に当てはまる原因は下記であることをついに突き止めたのである。これは多くの方にも当てはまると思うので、是非とも参考にされたい。

テークバックでインサイドに引きすぎること。疲れてくると自然とそうなる昔からの悪いクセ。(Sプロにいつも指摘されている)
 そうするとダウンスイングで横殴りに振ることになるのでヒールに当たりやすくシャンクする。
極端なアウトサイドインのためフェースが開き先端部に当たりシャンクする。
 ショートアイアンで力むとこうなりやすいが、気を抜くと時々ミドルアイアンでも発生する。
ダウンスイングの切り返しで力むため、右肩、右膝が前に出てしまい、それによりクラブが体から離れヒールに当たる。

どうであろうか。皆さんも思い当たるのではないだろうか。私はほぼこれが自分のシャンクの大きな原因であると考えている。

そこで問題は対策である。
これまた悩んだが、結論は「いかに力まず安心感を持ってスイングするか」が大きなポイントであると思う。
つまり「技術」ではなく「メンタル」対策なのである。
要するに「もしかしたらシャンクするのではないか」という不安が少しでもあると、結果的に力んでシャンクしてしまうので、その不安を拭い去ればいいのである。

1番手長いクラブでゆったりスイングする。

私の場合、100m(110ヤード)は#9フルスイングの距離。しかし#9でフルスイングするとつい力んでシャンクする。よってここでは#8を持ってゆったり振るようにする。こんな所で見栄をはって短いクラブを持つべきではない。仮にキャディーが短いクラブを出しても、1番手長いクラブを指定するようにする。
それで何が何でもグリーンに乗せようと思わず、ショートしてもいいや、というつもりでゆったりスイングすればシャンクは出ないようになった。「ゆったり」と言ってもインパクトを緩めてはいけない。トップを気持ち小さめにして「ストン」とクラブを落としてやり、以降は通常のフルスイングの感じで振りぬくのである。但し「インサイドに上げない」ことと「アウトサイドインにならないように」することだけは気をつける。
その日の調子で#8でも右方向に出てしまう場合には、2番手長い#7を短く持ってゆったりスイングすることもある。
しかしこの「ゆったりスイング」はいざコースでいきなり実践しようとしてもなかなか出来るものではない。よって練習場で何度も繰り返し、体でそのゆったり感と距離感を把握しておく必要がある。私はいつも練習の最初と最後に#8で100mをゆったり打つ練習をするようにした。

更に、もっと短い50m(55ヤード)前後のアプローチは決定的な手法を編み出した。

右足を一歩下げて左足体重100%に構えボールは右足の更に右に置く。

要するに右膝、右肩が前に突っ込むからシャンクするので、右足がどうやっても前に出ないような構えにすれば良い
ボールは右足よりも思い切って更に右に置く。そうして極端なハンドファーストの構えとして、ボールをハーフスイングで上からダイレクトにコンと叩きつぶしてやれば、低いボールがシュッと飛び出てうまくいくとスピンがかかって止まってくれる。ボールを右に置くのはダフリ防止の目的である。テークバック初期で極端なくらいコックをきかせて、そのままボールにクラブを落としてやれば、まずダフることはない。決して払い打とうと思わず「ダイレクトにボールを打つ」ことが大事である。

かなり乱暴であるが、自分で考え編み出したこの打法、実に効果満点である。
これまで50回以上実践してみたが、失敗してシャンクしたのは1回だけ、しかもそれはヘッドアップによるものであったのだ。よってヘッドアップさえ注意すればこの打法で100%シャンクは防止出来るのである。これは実に我ながら画期的な対策であり、現在でも多用している。徐々に慣れてくるにしたがって右足を引くスタンスを元に戻していくつもりである。唯一の問題はボールが低めに飛び出していくので距離感を合わせるのがちょっと難しいことであるが、これは経験を積めば解決出来るであろう。最初のうちは例えショートやオーバーしても、シャンクして泣くより余程マシであると思うことである。
この打法には副作用としてバンカーショットでも使えるということがある。余程アゴの高いバンカーでなければ、バンカーヘタの私はグリーン周りでもこの打法を活用している。ほぼ絶対にダフらないのでクリーンにバンカーから出すことが出来、これだけでスコアがずいぶんまとまるようになってきた。

最後にこのシャンクというやつ、なぜか伝染することがある。

ある時、私がシャンクしたら、次に別の人がやはり突然シャンク。続くショートホールではティーアップしているのにかかわらず、更に別の人がシャンクしてしまったのだ。私は笑いをこらえるのに必死であったが、本人たちにとっては大問題。しばらくシャンクしたことがない人たちなのに、どうして急にシャンクしたのだろう、と真剣に悩んでいたことがあった。周囲で誰かがシャンクしたら自分に伝染する可能性があるので、充分に注意されたい。

以上であるが、この私の対策法が、同じようにシャンクで悩んでいる方々に役にたつことを祈るばかりである。

(2004年10月17日)