マラッカ旅行記

◆1日目◆

マラッカとはお隣の国マレーシアの昔の首都であり、一時ポルトガルに占領されていたこともあって古き中世の良さを残した伝統ある街です。シンガポールからは陸路(高速道路)でつながっており車で約3時間で行けるので、この休日(2002年5月4日~5日)を利用して家族で行ってきました。

土曜日の朝8時半、いざ出発進行です。マレーシアへ車で行くには2通りあります
1つは有名なコーズウエイという橋を渡るルートで、シンガポール北部のウッズランドからマレーシアのジョホール・バルへつながる道です。もう1つは新しい橋でシンガポール西部のトゥアスよりかかっている第二コーズウエイです。
第一はいつも混雑しているので、今回は第二の方から行きました。

我が家よりAYEという高速道路を走ること約20分でトゥアスに到着です。ここには一応海外へ出るためのイミグレーションがありますが、車に乗ったまま手続きが出来るので慣れれば非常に簡単です。
まず空いているゲートに入りパスポートを提示し出国手続きをします。合わせて手前に橋の通行料を払うためのカードリーダーがありますので、そこにERP受信機のキャッシュカードを差込み乗用車のボタンを押すと自動的に通行料S$3.2(220円)が差し引かれます。
実はこの写真を撮影するために手前に車を止めたら「ここは駐車禁止だ!」とおまわりさんに怒られてしまいましたので、あわてて中に入りました。

マレーシアとの国境のトゥアスのイミグレーション

ここを通過するといよいよマレーシアへつながる大きな橋を渡ります
長さは2kmくらいでしょうか。あっと言う間に渡ってしまいます。
渡ってマレーシアに到着すると今度はマレーシアのイミグレーションがありますが、こちらも車に乗ったままで手続きが出来ます。ここでは全員の入国カードの提出が必要なので、事前に記入しておくと良いでしょう。

さてそこを通るといよいよマレーシアです。
ここからマレーシアの高速道路につながっており快適なドライブを楽しめます。ちなみにマレーシアもシンガポールや日本と同じ左側通行なので、とまどいはありません。
途中何箇所か料金所がありました。マレーシアの場合はシンガポール(無料)と違い高速道路は有料ですが、マラッカまで200km走って32リンギット(1100円)と非常に安いものでした。
改めて日本の高速料金の高さを思い知らされました。

マレーシアの高速道路

この高速道路、制限速度は110kmとかなり高く、平均的に120~130kmで走行出来ます。早い車は150kmくらいで走っています。シンガポールは90km制限なので、非常に快適に感じます。

しかしこの高速道路、景色が非常に単調です。道路はかなり真っ直ぐな区間が多い上に回りは原生林ばかり。山や街並みなどは一切見えず、マラッカまでの2時間は本当に退屈です。
それと道路標識は英語がなく全部マレー語なのでほとんど分かりません。しかしクアラルンプールとかマラッカのような大きな街は見て分かるので、それを頼りに走りました。尚、マラッカとは「MELAKA」と書きます
インターネットで色々検索する時も「MELAKA」と打つとたくさん出てきますので、ご参考にして下さい。

さて単調な景色にいい加減飽きた頃、ようやくMELAKA出口の標識が見えたのでそこでおりました。
地図なんか持っていなかったのですが、マラッカまでの道には「MELAKA」との標識が所々にありますので、ほとんど迷うことはないと思います。でもそう言いながら私は一度間違って変な道に入り込んでしまい30分位うろうろしてしまいました。やはり地図は持って行った方がいいかもしれません。

マラッカの街に入ってすぐ気が付くのは信号機の下にデジタル掲示板があることです。これは良く見るとカウントダウンしており、その信号が変わるまでの秒数を表示しています。だから赤信号になっても「あと○○秒で青になるんだな」と分かる優れものです。

しかし前方が青信号で残り時間が少ないときは逆にあせってしまうので、本当にいいのかどうかは分かりません。

そういう時は皆がアクセルを踏み込んでいましたので・・・。

 

さてホテルを探して到着したのはほぼお昼ちょうど。
まず部屋で少し休みホテルで昼食を取りました。

尚、宿泊したホテルはマラッカでも上等とされる「ルネッサンス・ホテル」です。
ここは日本人観光客も多く利用し日本語対応も可能、と聞いていましたのでここにしたのですが、実際に来てみると日本人は誰もおらず、しかも日本語なんかほとんど通じませんでした。まあ日本語はマイナーなので仕方ないでしょうが、なんか騙された気分です。

しかし翌日チェックアウトの時に驚きましたが、4人で宿泊しディナーと翌朝の朝食も含め料金はわずか590リンギット(2万円)でした。恐らくシンガポールの半額、日本ではこういうリゾートでは4人で5万円以上は軽く取られるでしょう。
本当に安いものです。

 


昼食後、いよいよマラッカ観光に出発です。気分はもうわっくわくです。
観光ガイドを見ると、ここには自転車の隣に人を乗せるトライショーという人力車がある、と書いていましたが、見るとホテルの前に止まっていましたので試しに乗って見ました。
1台に2人乗りなので、4人家族で2台チャーターです。料金は事前交渉と書いてありましたが、実際には街中では1台10リンギット(350円)均一のようです。
運転する人は50才過ぎた人ばかりで若者はいません。しかし、実にしっかりと車の間をくぐり抜けて運転していました。
たまにはこういうのも気分がいいものです。タクシーでむやみに走るよりも周りの景色が良く見れて最高の気分でした。
(2024年2月21日追記)
実はシンガポールにもトライショーがあります。ブギス付近でよく見かけますが、シンガポール駐在が終わる帰国前夜にマーライオンパーク付近で発見し、夜に家族で乗りました。夜風に吹かれて夜景を見ながらのトライショーは最高の気分でした。もし今でもあるようでしたら、観光客の方を乗せてあげれば喜ぶと思います。

トライショー

最初に行ったのはオランダ広場です。ここは街の観光の中心地です。
ここにはその名前の通りオランダの風車があったりしていい雰囲気を出しています。観光客もたくさんいます。また広場の真ん中には綺麗な噴水があり、その向かいにはオランダ製のレンガで作られた教会もあります。

スタダイスの教会

そのまた隣には、17世紀のオランダ総督官邸を改造したスタダイスというマラッカ歴史博物館があり、昔の絵や模型が飾られています。また、その1階にはおみやげを売っているお店がたくさん並んでおり、見ていて飽きることがありません。

スタダイスを裏手に抜けるとその前には小高いセント・ポールの丘があります。そこを登って行くと、あの憧れのマラッカ海峡が一望出来ます!(観光ガイドによく乗っている景色です)
ここではその美しさに誰でも感動するでしょう。
しばしわれを忘れて見とれていました。ここは風も心地よく最高の眺め、マラッカ一の景観地と断言できます

本当に綺麗でした。手前の緑も、向こうの建物も、更には海に浮かぶ遊覧船も、本当に絵になります。観光ガイドでは良く見る光景ですが、実際に自分の目で見ると、感動もひとしおです。もう感動しまくり、写真とりまくりです!

セント・ポールの丘より見たマラッカ海峡  美しい!

思う存分見た後は丘の上に登ります。
そこには崩れ落ちた古い教会があります。セント・ポール教会です。
この教会は16世紀に建設され、日本にキリスト教を広めたフランシスコ・ザビエルはここから日本に向ったそうで、ザビエルの死後は一時その遺体がここに安置されていたとのことです
中に入ると天井は崩れ落ちていました。中ではギター引きのおじさんもいたりして、ちょっぴり感動です。

しかしこのあたりであまりの蒸し暑さにグロッキー気味になってきましたので、丘をおりて次は海洋博物館へ向いました。
ここには昔のポルトガルの帆船「フローラ・デ・ラ・マール号」を復元したものがあり中に入れます。また隣には博物館があり、そこにはなぜか現代のミサイルとかも飾ってあります。

ここを出ると雨がちらついてきて、、、と思う間もなくどしゃぶりになってきました。いわゆるスコールです。
ちょうど前にカフェがありましたので、そこに逃げ込みました。
ちょうど暑かった頃なので、ジュースを飲んで一服です。雨は激しく1時間近くは降っていましたが、いい休憩になりました。
このあたりではもう随分と疲れていましたので、次に行くところを相談しながらガイドブックを見ると、ちょっと裏手に歩いたところにショッピングセンターがあることが分かり、雨があがったら行こうということで意見が一致しました。
それにしてもジュースも安かった。4人で大き目の缶ジュースを4本飲んで、わずか5リンギット(170円)ですから。

雨宿りしたカフェ

雨がようやくあがったので、そのショッピングセンターに歩いて向いました。
ここは「マコタ・パレード」と言ってマラッカ一の大型ショッピング・センターです。でも中はシンガポールと同じ光景で、期待したおみやげもありふれたものしかなく、少しがっかりです。ちなみに価格を見るとCDとかはシンガポールとほとんど同じレベルであり、思ったほど安くはありませんでした。
意外なことにこんな所にも日本レストランが2軒ありました。お寿司屋さんと日本料理屋さんです。
そう言えばマラッカの街に入る前にPANASONICの大きな工場がありましたので、日本人の方も結構いるのかも知れません。

マコタ・パレードの中

今日はもう夕方になったので、ここで帰ることにしました。
通りでタクシーをつかまえてホテル名を言うと、どうも英語がさっぱり通じないみたいです。私の発音も悪いのでしょうが。たまたまホテルのルームカードを持っていたので、それを出して「ほれほれ」と言うと「OK」と言って連れて行ってくれました。しかし古~いタクシーでした。もう20年以上も前の日本車でしょうか。ほとんどボロボロです。
マレーシアで気付いたのですが、こちらは本当に古い車も多く残っています。それらは例外なく日本車で、30年前くらいに子供の頃見たようなカローラやサニーが多く走っていました

ようやくホテルに到着です。
こちらは疲れてヘトヘトなのに子供は元気ですねえ。すぐホテルのプールに泳ぎに行きました。
このルネッサンス・ホテルのプールは9階にありなかなか綺麗です。

ホテルのプール

しかもそこからはマラッカの街が一望出来、眺めも最高です 。ガイドブックに必ず載っている光景でお勧めです。

ホテルより見たマラッカ川とマレー人住居

いや~、それにしても今日は疲れました。
夕食はホテルのレストランで広東料理ですが、結構これもおいしかったですね。久し振りにおなか一杯に食べ、幸せ気分で早めに寝ることにしました。

◆2日目◆

朝の目覚めはすっきりです。窓から見えるマラッカの街を見ながらの朝の一服は本当においしいものでした。
主な観光地は昨日あらかた回ってしまったので、本日はホテル近辺の教会を歩いて見ることにしました。ホテルのチェックアウトは12時なので、少し急ぎます。

まず最初はホテルのすぐ近くにあるセント・ピーター教会です。
これは1710年に建てられたマレーシア最古のカトリック教会です。朝8時に行ったのにかかわらず、もうあいており、中に入ってみました。うん、いかにも教会らしく、広い礼拝堂と周りのステンドグラスがとても綺麗でした。

セント・ピーター教会の礼拝堂の正面

次は少し街の方に歩いてサン・フランシス・ザビエル教会へ行きました。これはフランシスコ・ザビエルに敬意を表し、フランス人カトリック宣教師が1849年に建てたゴシック様式のカトリック教会です。

こちらは堂々としていましたが、朝早いため残念ながら中には入れませんでした。ここも外から見たステンドグラスはとても綺麗だったので、中に入って見たらとても美しかったでしょう。残念です。

ちなみにザビエルは1645年にマラッカに滞在した後、宣教のため日本を含む東南アジアへの旅に出ています。旅の途中の1652年に46才で死去。その後は遺体は一時マラッカに安置されたあと、インドのゴアに移されています。

ホテルまでの帰りは少し距離があるので、ここからまたトライショーに乗って帰りました。
子供達は帰る前にまたプールで一泳ぎです。本当に元気です。

 

ちょうどお昼にチェックアウトをすませ帰途につきました。また延々と2時間以上、退屈な道のりですが、帰りは慣れたせいか結構スピードを出して、あっと言う間にシンガポールに着きました。シンガポールに戻って見ると、わずか1日半いなかっただけで、とても懐かしく感じます。また、「ああ、やっぱりシンガポールは都会だなあ」としみじみ思いました。

1日半の強行軍のマラッカ旅行でしたが、いい思い出になりました。
機会があったらまた行ってみたいものです。

(2002年5月7日)