エンプロイメント・パスの取得(グリーンカード)

シンガポールに入国し今後継続して滞在する場合には、まず「エンプロイメント・パス」を取得しなければなりません。
これは通称「グリーンカード」と呼ばれ、一種の身分証明みたいな機能も持っています。このグリーンカードにはいくつかの種類があり、通常、働くご主人は「エンプロイメント・パス」、奥さんと子供は「ディペンダント・パス」と呼ばれるものを取得することになります。

◆エンプロイメント・パス ・・・ Employment Pass (EP)
シンガポールで働く外国人(日本人含む)に対して発行されるパスのことで、通常はご主人に対して発行されます。1人で日本からシンガポールへ来て働く人も、もちろん必要です。最近、単身シンガポールへ来られる若い女性が増えていますが、そういう方もこのパスを取得する必要があります。パスの種類は仕事の内容、収入などにより分類され、Pパス(高学歴の専門職、管理職など)、Qパス(基本的な教育を受けている通常の人)などがあります。通常は申請・取得は会社でまとめてやってくれますので心配いりませんが、申請のための書類の一部は日本を出発する前に用意しておく必要があるので注意して下さい。(これも会社よりアナウンスがあるはずです)

<申請に必要な書類>
①パスポートのコピー
②申請書 (FORM8)2通 ・・・ 会社よりもらい内容を英語で記入。自分と会社責任者のサインが必要。
③最終学歴証明書 ・・・ 出身校より英文の卒業証明書を取り寄せる。
④写真2枚 ・・・ 3ヶ月以内撮影のパスポートサイズ。
⑤健康診断書 ・・・ 結核とHIV(エイズ)をチェックされる。日本で受けておくこと。
            いずれかに感染していたらパスは許可されない。
            (確認したら今は健康診断書はいらないそうです)

◆ディペンダント・パス ・・・ Dependant's Pass (DP)
エンプロイメント・パス所持者の配偶者(奥さん)と21才以下の子供は、このディペンダント・パスを申請することが出来ます。

<申請に必要な書類>
①パスポートのコピー
②申請書 (FORM12)2通・・・ 会社よりもらい内容を英語で記入。自分と会社責任者のサインが必要。
③写真2枚 ・・・ 3ヶ月以内撮影のパスポートサイズ。
④戸籍謄本 ・・・ これをもとに日本大使館で「結婚証明書(配偶者)」と「出生証明書(子供)」を英訳してもらう。


これらは、シンガポール移民登録局(SIR = Singapore Immigration & Registration)に提出しますが、大抵は会社でまとめて行なってくれるはずですから、会社の指示に従っていれば大丈夫です。但し、上記にあるように卒業証明書(英文)、戸籍謄本などは日本にいる間に確実に取得しておきませんと、シンガポールに来てからあわてることになりますので要注意です。

また、駐在員の方と家族は上記の2種類を各々取ればいいのですが、
その他には「学生ビザ(Student Pass)」や「永住権(Permanent Residence (PR)」もあります。

エンプロイメント・パス、ディペンダント・パスとも、申請から取得まで約2週間かかります。

■ 注意点 ■
上記のパスを取得するまでは、シンガポール入国時に「ソーシャル・ビジット・パス(Social Visit Pass)」というものを取得することになります。これは飛行機、船または車で入国した場合にイミグレーションで自動的に取得できます。その期間は、飛行機の場合は30日、船または車の場合は14日となります。よってほとんどの方は日本から飛行機で入国しますので期間は30日と充分にあり、入国後に遅れずに上記パスを申請すればソーシャル・ビジット・パスの期限内にパスを取得出来ることになります。よって申請は出来る限り早めに行なうことが望ましいのです。

しかし注意していただきたいのは「船または車での入国では14日間」ということです。シンガポールからはお隣のマレーシアへは車で往来出来るし、同じくインドネシアのバタム島、ビンタン島にはフェリーで往来出来ます。つまり一度飛行機で入国し30日のパスを取得した後に、ゴルフや買い物などで一度マレーシアやインドネシアへ出てしまったら、次に入国した時のパスの期間がその日から14日しかもらえないことになってしまうのです。ついうっかり飛行機で入国したので30日の期間があると思い込んでしまうと、気づいたら正式なパスがおりる前にソーシャル・ビジット・パスの期限が切れてしまう、ということが起こりえます。
そうなった場合は、堂々たる「不法滞在」になってしまいますので、充分に注意して下さい。

■ グリーンカードの使い方 ■
これらのパス(グリーンカード)は名刺大で財布に入る小さなものです。シンガポールにおける身分証明になりますが、海外への入出国の時にはとても便利です。つまりイミグレーションで出国、入国審査をする時にパスポートと一緒にこのグリーンカードを提出すれば、面倒な入出国カードを書かなくてすむ上に、手続きもグリーンカードを機械に読み込ませるだけなので速く終わります。特にシンガポールに再入国する時は、日本からの観光客の場合は「外国人」の列に並ばなければならないのでだいぶ待たされますが、グリーンカード保持者は「シンガポーリアン」の列から入れますので、ほとんど待つことはありません。これは本当に便利です。

■ FIN-No ■
これは1人1人のいわば背番号で、グリーンカードの左上に記載されています。通常は「FIN G1234567G」という風に記載されています。この番号は大事な番号で、銀行口座開設、大きな買い物をする時など、あらゆる所でFIN-Noの照会を求められますので忘れないようにして下さい。身分証明でもあるグリーンカードは常に携帯するようにするのがいいと思います。

(2004年3月31日)