住居の選定

さて、シンガポールに赴任したら、何はさておき住居の選定をする必要があります。
住居の種類には、コンドミニアム(日本で言うマンション)、HDBフラット(公共アパート)、一戸建てなどがあります。しかし土地の少ないシンガポールでは一戸建ては非常に高価であり、逆にHDBは数に限りがありますので原則シンガポーリアンしか住めないことになります。よって一般の駐在員の家族はコンドミニアムに住むのが一般的です。このコンドミニアムは家賃が非常に高いので驚きますが、大抵は会社負担となります。よって予算の範囲内で探すことになります。

私が住んでいたコンドミニアム Central Green

こちらにも日本のような不動産会社があり、多くのコンドミニアムを斡旋してくれます。会社の総務を通じて不動産会社の紹介を受け、自分の希望するコンドミニアムを探すことになります。コンドミニアムが決まるまでは、どこかのホテルかサービスアパートに住むことになります。すぐに動いて約2~3週間はホテル住まいとなります。

まずいくつかの候補となるコンドミニアムのリストを入手し、1日~2日かけて実際に見に行くことになります。私の場合は土曜日を使い、奥さんと一緒に(赴任時に一緒に来てもらいました)10軒ほど見て歩きました。通常はそのコンドミニアムの部屋のオーナーさんから賃借りしますので、オーナーさんも立ち会います。最初はあまりの広さ、贅沢さ、天井の高さに驚くでしょうが、何軒か見ているうちに慣れてきますので冷静に見ることが出来ます。よって最初は候補をいくつか決めて、気に入った所は確認のために再度見に行くのがいいでしょう。慣れた目で見ると、また印象が違うものです。更に、家族も一緒に暮らすなら、奥さんも一緒の方がいいでしょう。何と言っても普段家にいるのは奥さんの方ですし、台所やユーティリティなど男性では分からない所を、奥さんなら実に細かく見てくれます。

■ チェックポイント ■

家賃が予算内であるか
当然ですが予算の確認が必要です。
台所は明るいか
シンガポールは自炊しないで外食するのが一般的なので、台所は裏の暗い場所にあることが多いです。
窓のない台所も見たことがありますが、これでは奥さんが可哀想過ぎますので、良くみて下さい。
間取りは適正か
意外と変な間取りで無駄なスペースの多い部屋があるものです。
窓の向きはどうか
日本と違い南向きの部屋は昼間暑いです。西向きは最悪。北向きが人気です。
交通の便はどうか
MRTの駅の近くだと便利。でも近くにバス停があればOK。タクシーも拾いやすいので余程郊外でなければOKです。
近所にショッピング・センターがあるかどうか
暑い中でも歩ける距離にあると何かと便利です。
スクールバスのルートに入っているか
日本人学校へはスクールバスが主なコンドミニアムまで送り迎えしますので、このルートに入っているかどうかは重要です。
入っていなければ、近くのコンドミニアムまで毎日歩かなければいけません。
スクールバスの座席に空きはあるか
空きがなければ使えません。
各コンドミニアムに大抵は「バス委員」(持ち回りで奥さんたちが担当)の方がいると思いますので、その方に確認し申請してもらいます。
家具・備品は何がつくか
ほとんどは家具付きでの賃借りになりますのでこれも重要です。
DVDデッキなどの電化機器は予算の範囲内でオプションでつける交渉も可能です。(通常契約期間の14ヶ月での分割上乗せ払いになります)
また、洗濯機、冷蔵庫などが古かった場合は、家賃の範囲内で新品への交換交渉も可能です。私の場合は「現在オーナーさんが自分で住んでおり私に貸すことで家具を持って引越しした」ので、家具は全て新品をつけました。ソファー、テーブルなどの形状、色まで指定出来たので良かったです。
近所の環境はどうか
あるコンドミニアムは近くに大きなお寺があり、毎週日曜日には信徒が集まりうるさい上に線香臭いというのがありました。
また別のコンドミニアムはすぐ裏手にディスコが出来たので、週末はオールナイトで若者が集まり非常にうるさくなったということです。このあたりの環境も非常に重要です。
コンドミニアムの設備はどうか
プールやテニスコートは大抵ついています。あとはジムがあるか、バーベキューピットがあるか、など、好みで確認すればいいでしょう。あるコンドミニアムはゴルフの練習打席まであるそうです。
日本人がどれだけ住んでいるか
最初は日本人が多いコンドミニアムが安心です。奥さん通し、子供通しも友達が出来ていいでしょう。
CITYエリアなら大抵の所は日本人が多く住んでいます。反対に東部、西部、及び北部になりますと日本人はほとんど住んでいませんので、そういうのがいい方は郊外の方がいいと思います。またホーランドビレッジには西洋人が多く住んでいます。
風呂場やトイレで上の階からの水漏れの形跡がないか
これは意外と重要です。シンガポールは建物の作りが良くないので、結構頻繁に水漏れしているようです。
そうするとクレームをつけて治るまでに結構時間がかかるケースもありますので要注意です。
窓に鉄格子を入れられるか
コンドミニアムはどこも20階~30階と高層なので、小さな子供がいる場合は安全上、鉄格子は必要です。
ベランダがある場合は手すりの位置は充分高いか
同様にベランダからの転落事故は意外と多い割には手すりが低く怖いものもあります。
子供がいる場合には動物園の檻みたいにベランダ全面に鉄格子をはめる方も多くいます。
お風呂にはガス湯沸かし器がついているか
ほとんどのコンドミニアムにはガス湯沸かし器は付いていませんので、電気でお湯を温めて湯をはることになります。
しかしこれは面倒なので、一般的にはシャワーのみですますことになってしまいます。
ごく一部のコンドミニアムにはガス湯沸かし器があるので快適にお風呂に入れますが、全体の1%しかないようです。
オーナーさんの人柄はいいか
うるさいオーナーさんに当たったら相当に苦労しますので要注意です。

さて気に入ったコンドミニアムを見つけたら契約です。契約書は英文で細かく書かれていますので、良く読む必要があります。何年か住んでコンドミニアムを出る時には、契約書に基づいてオーナーさんがチェックをしますので、そこでキズが付いたりした家具があったりすると損害賠償を取られることもあります。オーナーさんも人によっては非常にうるさいようで、オーナーさんの人柄も快適に住む上では重要です。一般的に、太ったいかにもケチな中国人のおばさんがオーナー、というケースは、相当にうるさいようなので注意して下さい。
最終的には契約は費用を会社で負担することもあり、会社の総務で行ないます。

入居まではだいたい10日~2週間くらいかかります。そこでいよいよ引越しし、退屈なホテル住まいから開放されます。ここで次は生活用品のこまごました物を買出しに行くこととなります。

(2004年3月31日)