〈2006年5月3~5日〉
◆仙台への帰省・南三陸へ◆
帰国して早くも2回目のゴールデンウイークを迎え、後半に実家の仙台に帰省しました。5月3日に成田→仙台へ、4日に家族と母親と弟を連れて仙台周辺をドライブし、5日に戻るというとんぼ帰りのスケジュールです。今年は特に混雑するとの情報あり嫌な予感がしましたがとにかく3日の昼前に自宅を出発です。コースはいつものように、成田→土浦まで一般道を走り、桜土浦ICから常磐道~磐越道と経由し、郡山から東北道に合流し仙台に向かうという、通常ならば渋滞知らずのコースです。
しかし確かに予報通り、いつもスイスイの桜土浦ICからの常磐道が何と渋滞中! そこから水戸までノロノロ運転。こんなに混雑したのはここ10年くらいで初めてでした。おまけに磐越道ではまたもや事故渋滞にはまり、東北道は郡山から仙台までずっと混雑しているという、過去にない混雑ぶりで、いつもの倍の8時間近くもの時間を要してしまいました。
まあでも急ぐ旅でもなし、途中のパーキングで休みながら行きますが、磐越道では途中で桜を見ることが出来、感動でした。やはり北国なんだなあ、と思いつつ、1年で2回もお花見出来たことに喜びながら、何とか夕方には仙台に到着。既にしてクタクタで、初日は早めに寝ることにしました。
磐越道沿いには桜と鯉のぼりが
いよいよ翌日4日は周辺ドライブです。当初は遠野物語で有名な岩手県の遠野市に行くつもりでした。ここはまだ独身時代に両親をつれて来たことがありますが、なかなか古いいい街なのです。しかし距離を見ると往復で500kmはありそうで、とても日帰りで行く元気はなく、予定変更し南三陸に行くことにしました。
目的地は岩手県の碁石海岸(砂浜の石が碁石のように黒くて丸い)と宮城県北部の唐桑(からくわ)半島です。ここはいずれもリアス式海岸の三陸らしく、繊細かつ雄大な景色を楽しむことが出来ます。家族4人と母親、それにやはり今回は1人で帰省してきた弟と6人で、愛車オデッセイに乗って出発です。
まず仙台北部の泉ICより東北道に入ります。車は多かったですが渋滞するほどではなく安心して走っていきましたが、1時間ほどで到着した岩手県の一関ICの出口が大渋滞でした!
本線まで車が並んでおり、出口を出るまで1時間近くもかかってしまいました。せっかく料金所をノンストップで走れるETCを付けているのに、ここまで混んでいたら役に立たず、結局他の車の後ろについて料金ゲート付近までじっと待つばかりでした。その理由は簡単で、すぐ近くに藤原三代で有名な平泉の中尊寺があるので、そこへ向かう人たちで混雑しているものでした。こんなことなら1つ手前の料金所で降りれば良かったなあ、と思いつつ、何とか出口を出て、いよいよ碁石海岸に向けて岩手の山道を60kmばかり走ることにします。
◆岩手の山岳ドライブ◆
出口を出た後は他の人々と逆方向のせいか、すいすいと気持ちよく走れました。
ほどなく山の中に入り、峠を越えていくことになります。途中ではJRの線路が平行して走っていました。山を登ってゆくにつれ涼しくなってきたのでエアコンを付けて走るのが勿体無く、久しぶりに窓を全開にしておいしい空気を吸いながら走りました。
そこで見たのは、何と桜満開の景色でした。関東では花見は1ヶ月も前に終わってしまいましたが、このあたりは今が満開かやや散り始めといった所。とても美しく、途中何度か車を止め、写真撮影を楽しみながら走っていきます。
道路沿いの桜は満開
山の上の方まで行くと相当にのどかな風景に変わり、道路から見下ろす山村ののどかな景色にまたまた感動し、写真撮影。私1人で楽しんでいますが、家族には車を止めてばかりいるので大ヒンシュクでした。
岩手の山村ののどかな風景
少し走ると道路脇に小さなパーキングがあり、それに沿って桜の木が並んでいました。綺麗なので止めて見てきましたが、そのすぐ下には渓流が流れておりとても涼しげでした。しばし子供たちをそこで遊ばせます。子供にとっては川というのは何とも楽しいもののようで、いつまでも飽きることなく遊んでいました。
その間、私は写真撮影に専念。桜がとても綺麗なので、何枚も撮影してしまいました。
脇には涼しげな渓流が流れていました
さてまた出発ですが、ここで大事件発生です。何と、私、急におなかが痛くなってしまいました!
問題は近くにトイレなどないということです。
街中でしたらコンビニに入りそこのトイレを使えますが、ここは岩手の山の中。コンビニなどあるはずもありません。我慢しながら運転しましたが、おなかの痛みは次第に増し、とても我慢出来ない状況になってきました。あせりながら目的地の三陸海岸も街までの距離を調べたら、まだ23kmもあるではないですか! 「うわ~、そんなに我慢出来るかなあ。」とても自信がありません。家族は苦しんでいる私を見て笑っています(冷たいですね(笑))。
うーうー言いながら少し走った所で、何気なくカーナビを見たら、すぐ近くにJRの駅を発見。「これだ!」とばかりに車を駅に向かって走らせます。そうです、駅ならばトイレくらいあるはず、との期待感で急いで走りました。
何とか駅にたどり着いたら、そこにあったのは何と小さな掘っ立て小屋みたいな駅舎がポツンと・・・。そうなんです、無人駅だったのです。当然トイレなどありません。うわ、まいったな、と思ったらその駅舎の隣に小さな仮設トイレを発見!
何とかそこを使って問題解決しました(笑)。
やれやれ、とばかりに出てきたら、すぐ近くで踏切が「ケンケンケン」と鳴っています。「お!電車が来るのか」。そう、こういう所は電車は1日に何本も走っていないでしょうから、ここで見れるとはラッキー。見たら2両編成の小さな電車、と言うかジーゼルの車両が走ってきました。珍しいので写真をパチリ。中には半分くらいのひとが乗っていて、逆にこちらを珍しそうに見ています。そうですよね、こんな所で電車に向かってカメラを向ける人なんて珍しいでしょう。余程の変わり者と見られたかもしれません。
ちなみにここは「陸前矢作(やはぎ)駅」でした。
無人駅である陸前矢作駅
さて、すっきりした所でまた出発です。そこから30分位で目的である三陸海岸に出てきました。少し走った所で、本日の目的地である碁石海岸に到着です。
◆碁石海岸◆
カーナビ頼りで目指す碁石海岸に到着しました。有名な観光地でもあるので駐車場は混雑していましたが、何とか止めることが出来ました。既に昼を過ぎておりおなかもすいていたので、まずはそこのレストランでランチです。
碁石海岸のレストラン
待っている間、何気なくあたりを見ていたら、そこでも桜が満開に咲いていました。やっぱりこのあたりは北なので関東より1ヶ月遅れの桜なんですね。とても綺麗で感動しました。
ここでも桜が満開
食べたらいよいよ海岸線に下りていきます。
この碁石海岸、名前通り海岸にある石の大半が碁石のように黒くて丸いのでその名がついています。意外と海岸は小さいもので、人がたくさんいました。ここに来るのはもう20年ぶりでしょうか。とても懐かしく思いながら歩いていきます。
碁石海岸の看板
綺麗な碁石海岸
海岸に下りていって見てみたら、以前に比べて砂浜にある碁石の数が少ない感じがしました。そう言えばもう10年以上も前でしょうか、大型の台風がこのあたりまで来て、大波により海岸の砂がほとんど流されてしまったと聞いたことがありますが、その影響かもしれません。しかしそれでもまだ結構な数の碁石が残っていました。こういう石を見れるのはおそらく日本ではここだけでしょう。実に珍しいものです。
海岸にある碁石状の石
このあたりは遊覧船も走っていますが、今日は時間の関係で乗りませんでした。その代わりに海岸の隣の岩場に行き、そこでしばし子供たちを遊ばせます。
今日は本当にいい天気で空は青く暖かく、とても気持ちよく過ごせました。海も青くて綺麗でしたね。3月に行った伊豆の海ほどではありませんでしたが、やはり自然豊かな三陸海岸、という印象を強く受けました。
隣の岩場
しばらくそこで写真を撮ったりして遊び、次はすぐ近くの高田松原というところに行ってみます。
◆高田松原◆
高田松原は碁石海岸のすぐ南に位置し、岩手県のほぼ最南端、宮城県の近くにあります。
ここには行ったことはなかったのですが、「松原」という位だから海岸に沿って松の木が多くあるのだろうな、と思って見に行ったものです。行ってみたら確かに長い松林が続いていましたが、思ったほど面白い風景ではなく、ちょっぴりがっかり。少しだけそのあたりを散策して、次は宮城県に入っていきます。
高田松原
◆唐桑半島◆
本日最後の目的地は宮城県北部、気仙沼(けせんぬま)にある唐桑(からくわ)半島です。
ここは三陸海岸の最南端となりますが、いかにも太平洋に面した三陸海岸らしい雄大な景色を楽しむことが出来ます。半島の途中には「巨釜・半造(おがま・はんぞう)」という変わった名称の観光地があり、そこへ行きました。
ここは写真の案内図のように、唐桑半島中央部の東、つまり太平洋側に突き出た2つの半島になっていて、左側が巨釜、右側が半造となっています。双方は遊歩道で結ばれており約500mの距離ですが、既に夕方近くになっていたので、各々車で移動して見てきました。
巨釜・半造の案内図
まず巨釜(おがま)から行ってみます。車はすぐ近くに止めることが出来ますので、そこから遊歩道を岬に向かい下っていきます。松林の急な下り坂を下ってゆくと、ほどなく突端に出ます。そこには展望台があり、雄大な海を見渡すことが出来ます。
巨釜の遊歩道
まず正面に見えるのは「折石」という背の高い石です。何やら名前の曰くやどうして出来たか書いてありましたが、特に読むことなくただ見てきました。よく見ると背の高い石で、どうしてこんなのが海の中に出来たのか不思議。説明書きをよく読んでくればよかったな、と後で後悔してしまいました。
背の高い石が折石です
その展望台からは右側に三陸の雄大なリアス式海岸を見ることが出来ます。また海の中には何やら大きな岩もあったりします。海の色の青さは伊豆に適いませんが、景色の雄大さはやはり三陸ならでは、のものがあります。結構感動する景色です。
三陸のリアス式海岸
そこから下の岩場まで降りることも可能で、実際降りている人も何人かいましたが、今回は時間なく上から見るだけにしました。岩場に押し寄せる波がとても豪快で綺麗でした。
岩場に押し寄せる波
続いて半造(はんぞう)へ向かいます。巨釜から半造までも遊歩道がありますが、戻ってくるのも大変なので車で移動します。と言ってもほんの2~3分で着く距離ですが。
半造の木の看板
駐車場の脇には半造を示すちょっと古い看板があり、その隣には「遠野物語」で有名な文学者「柳田國男」の文学碑がありました。
柳田とは「やなぎだ」ではなく「やなぎた」と読むそうです。なお柳田國男は、一時仙台にも在住していた島崎藤村とも交流が深かったようです。
柳田國男の文学碑
さて半造の遊歩道ですが、ここは以前に来た時の記憶ではかなりの距離を歩くことになるので、本日はそこは歩かず上から周囲の海を見るだけにしました。
半造の遊歩道
気のせいか巨釜に比べたら海がとても静かな印象を受けました。
また、ここも周囲には桜の木があり満開でした。
半造から見た海
見た後は駐車場にある半造レストランという所に入り、子供たちにアイスクリームを買ってあげます。GW中とはいえ既に夕方近い時間でもあったので中はガラガラでした。
外の気持ちいい陽気の中でアイスを食べてのんびりした後、仙台の実家へ戻ることにしました。
帰りはやはり東北道の一関ICまで山道を1時間以上走りましたが、特に混雑もなく無事に帰ることが出来ました。
◆成田へ帰る◆
さてとんぼ帰りですが、翌日5月5日には仙台の実家を出て成田の自宅へ戻ります。ルートは来る時と同じく、東北道の郡山まで行きそこから磐越道を経由し常磐道の土浦まで、そこからは一般道で成田に向かいます。帰りは車は多かったですが思ったほどの渋滞もなくスイスイ走ることが出来ました。
常磐道に入り日立を過ぎたあたりで、ようやく関東らしい雰囲気を感じることが出来、何となくほっとしました。このあたりではもう桜を見ることは出来ませんが、途中立ち寄ったパーキングの新緑がとても綺麗でした。もう自宅まで近いのでそこで一休みして写真撮影など。私は綺麗な風景があるとすぐにカメラを取り出して時間を掛けて撮影するものですから、家族には評判が良くないです(笑)。
常磐道パーキングの新緑
こんな感じで3日で1200kmも走るという強行軍でしたが、とても楽しいGWを過ごすことが出来ました。久しぶりに行った三陸海岸も相変わらず綺麗で、その雄大な景色を堪能することが出来ました。5月に入りようやく寒さも抜け気持ちいい陽気になってきましたので、今度は群馬か栃木に新緑を見に行きたいと思っています。
(2006年5月15日)
(2024年4月21日追記)
この美しい三陸の地も、あの忌まわしい2011年3月11日に発生した東日本大震災の大津波により、壊滅的な被害を受けてしまいました。「高田松原」はあれほどあった松の木がほとんど流されてしまいましたが、奇跡的に1本だけ残っていたので「奇跡の一本松」として保存されています。「碁石海岸」も大津波を受けましたが、碁石のような石は今でも残っているようです。「気仙沼市」は同じく津波に加え大火災が発生しました。いずれもだいぶ復興されていておりますがまだ道半ば、仙台出身の東北人としては早く復興されることを祈るばかりです。