◆MRTとは◆
MRTとは Mass Rapid Transit の略でいわゆる地下鉄のことです。地下鉄と言っても日本と同じように、市街地では地下を走り郊外では地上の高架橋を走ります。運行間隔は2~5分くらいで6両編成のスタイリッシュな電車が走っていますので、日本の地下鉄と同じ感覚で乗れ、非常に便利がよろしいものです。
見ていてすぐ気づくのは、車両の塗装は規定のカラーが普通ですが、全体を派手に広告でペイントした車両もあります。商魂のたくましさを感じます。尚この車両全体ペイントはバスでも多く見ることが出来ます。
◆MRT路線図◆
MRTの路線としては、東西線と南北線の2系統があります。
東西線は東のチャンギ国際空港近くから西のジュロンまで40km近くの長い路線です。端から端まで乗ったら約1時間の距離です。残念ながらまだ空港までは乗り入れていませんが、現在建設中です。
南北線はCITYの近くのマリーナ・ベイから島の北部まで行ってまた島の南西部のジュロン・イーストに戻ってくるという環状線みたいな感じになっています。オーチャードやサマセットといった市街地中心部を走ります。
いずれもCITY中心部で2駅ほど並行して走りますので、乗り換え等の便利は非常に良く出来ています。
(2024年1月25日追記)
現在ではMRTの建設が進み10路線まで増えています。
◆駅の目印と高速エスカレータ◆
MRTの駅前には独特な表示がたっておりすぐ分かります。
問題は駅に入る時です。
地下の場合も高架の場合もエスカレータに乗るわけですが、これがまた速いのです。恐らく普通のエスカレータの1.5倍の速さはあるでしょう。最初慣れないうちはうっかり乗ると足元を救われ後ろに転びそうになるから注意が必要です。
(転んだら非常に恥ずかしいでしょう、きっと)
でも面白いもので、これに慣れると普通のエスカレータが遅くていらいらしてきます。その位速いのです。そのせいか、日本みたいに片側に一列に立って急ぐ人のために半分開けておくなんてことはしていません。皆、てんでんばらばら好きに立っています。これは速いから、と言うよりも自分勝手な中国人気質なのかもしれませんが・・・。
MRTオーチャード駅入口
これが高速エスカレータ(MRTシティホール駅)
◆改札と運賃、専用カード◆
運賃は島の半分の30分くらいを乗車して1.6S$(約110円)ですから、バス、タクシーと同じように改めてシンガポールの公共交通機関の安さを思い知らされます。
改札は全て自動式。1回きりのカードも買えますが、普通はプリペイドの乗車カードを使用しています。ちょうどテレホンカードと同じような磁気式のカードで、良いところは何回も繰り返し使用出来ることです。残高は改札を通る時に小さな液晶画面に表示されますので、不足気味になったら駅で追加チャージすればOKです。
感心したのはこのカード、バスと共用なのです。どうするかと言うと、MRTに乗る時は改札にカードの表を上にして通し、バスに乗る時は裏側を上にして通すのです。だから1人で何枚も色んなカードを持つことはなく、しかもリサイクル可能なので、なかなか良く考えられていると感心しました。
(2003年6月8日追記)
2002年秋よりこのカードが、ICカード方式の「ez link (イー・ジー・リンク)」に変わりました。これはMRTとバス共用で、センサーの上にカードをかざすだけで料金を自動的に徴収する便利な仕組みで、カードを財布の中などに入れたままでも反応するので便利です。乗るときに「ピッ」、降りるときに「ピッ」でOKです。MRTの場合には従来の改札の出入り口にセンサーがあり、バスの場合には入り口と出口にそれぞれセンサーがついています。料金は従来通り、MRTの駅などの窓口で現金を渡してカード残高をチャージすればよろしいので簡単です。
◆地下の駅◆
面白いのは地下部分の駅で、ホームと線路の間はガラスの壁で仕切られておりホーム全体が密閉されています。電車が到着した時だけその壁にあるドアが電車のドアと同時に開くようになっています。ちょうど成田空港の第二ターミナルにある連絡電車を思い出していただければ同じ構造です。
この理由は線路に転落しないための安全対策に加えホームを冷やしている冷房が逃げないようにすることも目的にしているようです。
(こちらが主目的かも知れません)。
更にこれは恐らく副作用でしょうが壁のおかげで電車の到着、出発の時もホームは非常に静かです。これはなかなかいいアイデアであると思います。願わくば地上部の駅も同じ構造にしてもらったら涼しくて良かったと思いますが、きっと予算の問題とかあったのでしょう。
MRTティオン・バル駅の地下ホーム
◆車内の状況◆
車内には荷棚がなく椅子はプラスティック製ですっきり清潔ですが、このプラスティックの椅子、長く座っているとお尻が痛くなってきます。慣れるまではちょっと厳しいものがあります。
車内と言えばもう1つ、朝晩は日本と同じくラッシュになりますが(とは言っても日本ほどの混雑はありませんが)、シンガポーリアンは車内で平気で携帯電話を鳴らし話をします。こんな地下に電波が届くことも驚きますが、もっと驚くのはほとんど皆、着信ベル音量を最高近くに高めており、話す時も回りの迷惑なんぞお構いなしという感じなので、うるさくて適わないことが多くあります。流石は我が道をゆく中国系人種です。
ちなみに携帯電話はこちらでもはやっており、ほとんどの人が保有しています。しかしMRTの中と同じく場所を選ばず話しまくるのでうるさいです。
◆乗り換えが便利◆
東西線と南北線はCITY内の2つの駅でクロスしており乗り換えが可能です。
ここも良く考えられており降りたホームの向かい側に望む電車が来るようになっています。City Hall 駅では逆方向に行く電車、隣の Raffles
Place 駅では順方向の電車、が同じホームで乗り換え可能です。実際にMRTを利用するとこの乗り換えパターンを確かに最も多く利用します。これで日本のように階段を何度も上がったり下がったりしなくてすむのですから非常に楽なのです。
尚、この他にも乗り換えポイントが2箇所ありますが、同じように考えられて作られているようです。
◆新線建設◆
この便利なMRT、現在CITY南部より北東に向かう新線を建設中です。間もなく開通するはずで、ますます便利になることでしょう。
また、チャンギ国際空港へは現在はMRTは乗り入れていませんが、これも東西線の支線として建設中であり、完成間近のようです。しかしこれが開通するとタクシーの利用客が大幅に減少するとの理由で反対派も多いようです。でも一国の国際空港に電車が乗り入れていないというのも不自然なので、予定通り開通することでしょう。
(2024年1月25日追記)
現在ではMRTの建設が進み10路線まで増えています。
(2002年1月21日)