レッスン (1) <Nプロ>

ゴルフを始めて4ヶ月ほどたった2002年7月頃、練習場では結構いい当たりが出るようになって来た。しかしコースに行くと相変わらずスコアが伸びず、トップボールに悩んでいたので、周囲の勧めもあり思い切ってプロによるゴルフレッスンを受けることを決意した。インターネットで調べたらいつも通っているマリーナサウスの練習場に日本人のNプロがいてレッスンをしていることが分かったので、早速そこへ通うこととした。

レッスンには大きく分けて「個人レッスン」と「グループレッスン」の2つがある。
「個人レッスン」とはマンツーマンでていねいな指導を1時間受けることが出来、上達も早そうだが料金が高く、大体1回当たりS$80~90(6000円)くらい。
「グループレッスン」は5~6人のグループでまとめて指導を受けるもの。1回当たり1時間30分とちょっと長く、週に1~2回受けられる上、料金もぐんと安く約半額(S$40=3000円)ですむ。

Nプロと連絡を取ったときに最初は個人レッスンを申し込んだが、初心者ゆえ初めはグループレッスンの方がいいですよ、と言われ、週1回、会社の帰りにグループレッスンに通うこととした

初めての時は緊張しながら指定の夜7時半に行った。行ってみたら同じグループの人が5人ほどおり既に自分で練習を始めている。彼らのスイングを見たら、実に上手であり、なんでこんなに上手な人がレッスンを受けるのだろう、と思ってしまった。しかし聞いてみたら、ゴルフはどんなに上手になっても知らず知らずのうちにスイングが崩れてくるので、その調整を兼ねてレッスンを定期的に受けているという人がほとんどであった。そうした人の中に初心者の私が1人入って大丈夫だろうか。次第に不安になってきた。

さていよいよNプロの登場である。
Nプロは大柄でギョロリとした大きな目に口ひげをはやした一見「怖い人」であるが、実際には言葉遣いも丁寧で非常に親切な方である。最初に新人として私のことを皆さんに紹介してくれて、レッスンに入る。

今日のメニューはまずグリップと前傾角度から。Nプロが中心で教え、皆でそれを見ながら実際にやってみる。慣れないせいかどうもうまくいかない。するとNプロが私の所にやってきて「streamさんは今日が初めてなので、まずスイングを見せてもらいましょう」となった。

言われた通りにマットの上にボールを置いてまず7番アイアンで打つ。
1発目。実に綺麗に飛んでゆく。2発目も同じ。う~ん、我ながらナイスショット。

「これならレッスンなど受けなくても大丈夫かな」

私は「どうですか」と得意そうな顔でNプロを振り向く。するとNプロいわく、

「数学の方程式で言うと、途中の解き方は滅茶苦茶ですが答えは正解というスイングですね」

と言うではないか!
つまり、たまたまいいボールが出たけれど、スイングはバラバラということである。
ここから本当の悩みが始まることになった。

何度かレッスンに通う中で教わったことは多々あるが、要約すると以下の通り。
1)グリップは左手をもっとかぶせて。
2)前傾角度はもっと深く。
3)スタンスはもっと狭く、ひざをもっと曲げて。
4)バックスイングは真上に上げる感じで。
5)インパクト以降、体をもっと回して。右足はつま先立ちになるように。
6)ボールを良く見て。
などなど。

これがなかなか出来ない。わずか4ヶ月の経験とはいえ、既に自分なりのフォームが固まりつつある中で、全面的に直されるのだからたまらない。何度やってもどうもチグハクになってしまい、レッスン最後の方になるとフォームが壊れ分からなくなってしまう。でもここが頑張り所だ、と思いつつレッスンを継続していたが、4~5回受けた頃、胆石の手術を受けることになったため、ゴルフは1ヶ月ほどお休みとなってしまった。

回復したあとにまたレッスンに通えばよかったのだが、どうも自分に合わない感じがしたので、このNプロのレッスンはそのままやめてしまった。(でもこのNプロは実は優しい非常にいい先生です。主婦の方にも人気です。誤解なきよう)

その後はまたしばらく自己流でゴルフを続けることとなった。
何とか少しずつスコアは改善してきたが、やはりそこは自己流の限界、半年後に思わぬ大叩きをやらかしてしまい、次のレッスンを受けるハメになったのであった。

(2024年2月6日追記)
この記事掲載の翌年にNプロは、生徒が前払いしたレッスン料を握り、何らかの事情で海外逃亡してしまったらしい。当然レッスンは中断、収めたレッスン料も返却されず大不評となった。先に辞めておいて良かった。

(2003年11月25日)