鳴子ダム・鬼首(宮城)

〈2009年8月12日〉

◆鬼首(おにこうべ)とは◆

ひまわりの丘に続いては、鳴子温泉の先にある鬼首(おにこうべ)へ行ってみました。
鬼首とは変わった気味の悪い名前ですが、この名の由来は延暦20年(801年)、坂上田村麻呂が蝦夷平定に東征した際、"鬼"と呼ばれ恐れられていた大竹丸を追い詰め、この地で首をはねたことからここの地名を鬼切辺と呼び、それが後に鬼首に変わったと伝えられています。

この鬼首の名物は、日本で最大級の間歇泉と、常に遊歩道の脇から熱湯が吹き出る地獄谷でしょう。また、鬼首スキー場は、あの有名な三浦雄一郎氏の設計によるものです。その鬼首へはかれこれ20年近くも行っていなかったので、久しぶりに行ってみたいと思いました。鬼首の手前の鳴子ダムも懐かしい場所です。

さてさて、鬼首へ向かい車をひまわりの丘より北へ走らせます。一般道を約1時間も走ればそこは鳴子温泉です。温泉の入り口のあたりから、川を渡り山道を進むと鬼首に行きます。その入り口あたりには、東北電力の小さな水力発電所があり、山すそには水を落とす独特のパイプがあり、鬼首への目印となります。そこを過ぎると急な山道になり、そこからは向こうに鳴子温泉が見えます。

鬼首の入口の目安となる水力発電所

鳴子温泉は今回は行きませんでしたが、仙台圏では秋保(あきう)温泉と並ぶ古い温泉街で、ホテルや旅館がたくさん立ち並んでいます。情緒豊かな温泉街なので、別の機会に一度行ってみたいと思います。

向こうに見えるのが鳴子温泉

◆鳴子ダム◆

山道をクネクネと少し走ると、そこには鳴子ダムがあります。
鳴子ダムは昭和32年に完成した東北で初めてのアーチダムであり、かつ日本で初めて日本人だけでつくったダムです。そうした事情は実は今回調べて初めて分かりました。地元にいると当たり前のような単なるダムが意外と由緒ある有名なダムだったわけです。

鳴子ダム

ダムの少し手前に駐車場があり、そこで車を止めるとダムに向かう500mほどの短い遊歩道があります。そこからは、すぐ近くでダムを見ることが出来る上、ダムの上を歩くことも出来ます。遊歩道のすぐ上を国道が走っていますが、下から見るといまにも崩れそうで怖い感じがします。ダムの向こうには広いダム湖が広がります。

下から見ると崩れそうな国道

そう言えば今はありませんが昔はこのダム湖でモーターボートに乗れました。私がまだ小学1年生くらいの頃、家族でモーターボートに乗り、最初は父親が運転しましたが、途中で私がゴネて運転させてもらったことをはっきり記憶しています。小学生の子供が無免許で自由に運転できた古き良き時代の懐かしい思い出の場所です。(もちろん見つかれば罰金ものだったのでしょうが・・・)

鳴子ダム湖

◆鬼首高原◆

さて鳴子ダムを過ぎてまたしばらく山道をグネグネ走ると、ようやく鬼首の入り口になります。そこから道を分かれて更に山の上に登ってゆきますと鬼首高原に到着です。ここで昼になりましたので、間歇泉の近くにあるロッジで昼食をとります。
その食堂ではエアコンが入っていません。窓を開けていると涼しい風が入ってきますのでエアコンなどは不要です。さすがは高原、気温は20℃ちょっとくらいでしょうか。実にすがすがしい。

鬼首高原のロッジ

窓の外にはブナの木がある広い芝生となっており、そこには多くのキャンプ用テントが張ってありました。

涼しい鬼首高原

◆間欠泉◆

食事が済んだらいよいよ間欠泉に向かいます。
間欠泉とは一定周期で熱湯を噴出す温泉のことで、世界的にはアメリカのイエローストーンが有名ですが、この鬼首の間欠泉は日本で最大級のものです。説明書を見ると約10分おきに噴出するようですので、中に入り噴出すのを待ちました。

間欠泉入口

ここには「弁天」と「雲竜」という2箇所の間欠泉があります。
奥の方にあるのが弁天ですが、これが高さ20m以上に噴出すということで、見ものです。
ちょうど噴出し終わった頃合いだったので、カメラを構えて次の吹き出しを待ちます。噴出口には岩が並んでおり、常にかすかに湯気が出ているので迫力満点です。

吹き出す前の弁天

ぼーっと待っていたら手すりの上にバッタを発見。バッタなんて見るのは久しぶりなので、感動して写真を1枚撮影。こういうのは子供の頃は良く見ましたが、最近では見ることがめっきり減ってきたので、なんとなく嬉しくなってしまいました。
そうこうしているうちに、噴出孔よりゴ・ゴ・ゴと音が鳴ってきました。いよいよ噴出か、と思う間もなく、一気に熱湯が噴出してきました!

ゴボゴボと熱湯が噴出する瞬間

見ているとあっという間に、お湯が噴出してきました。高さは20mほどあるでしょうか。意外と音は静かで「シューッ」という音とともに熱湯が噴出しています。いや~、これには感動します。地面からお湯が噴出すというのは滅多に見れない光景ですので、見事です。周囲にはいつのまにか多くの観光客が集まり、皆で「おお~っ」と大歓声です。噴出時間は意外と短く、3分くらいでしょうか。そのうち次第に勢いが弱くなり、止まってしまいました。

噴出する間欠泉

「弁天」で満足しましたので、もう1つの間欠泉「雲竜」は見ませんでしたが、時間があれば両方見ておくのが良いと思います。
尚、ここのロッジは意外と大きいものです。宿泊も出来るのでしょうか?

◆地獄谷◆

間欠泉で満足したあとは、すぐ近くの地獄谷へ向かいます。
間欠泉があるくらいですから、このあたりは地熱が高いエリアであり、付近には熱湯がボコボコと吹き出る「地獄」と呼ばれるエリアがあります。有名なのは地熱発電所もある片山地獄と遊歩道のある吹上地獄で、いわゆる地獄谷は吹上地獄のことを言うようです。

地獄谷入口

この遊歩道は良く整備されており歩きやすいです。見ると足元のあちこちで、岩の間よりブクブクと熱湯が吹き出ています。いかにも地獄といった光景でしょうか。時々熱湯はボコボコボコッ!と激しく吹き出ることがあり、ヤケドには要注意です。熱湯が吹き出る瞬間を写真に撮りたかったのですが、湯気でレンズが曇り、うまく撮れませんでした。

熱湯の吹出口

少し先には川の向かい側に小さな間欠泉があり、勢い良く吹き出ていました。そこへは渡って近くへ行くことも出来ますが、危険なので向かい側より眺めているのが良いでしょう。

川の向こうの小さな間欠泉

少し歩くと地獄谷についての説明書きの看板があります。見ると地獄にも「人追い地獄」と「まんだら地獄」があり、先にある間欠泉がまんだら地獄とのこと、これが噴出す所を見ると開運や出世がかなうかも、と書いてありますが、どこまで本当なのか・・・。
歩きながらよく見ると、これらの地獄には1つ1つ名前が付いていました。「xxxの湯」とありますが、間違っても温泉のような風情のあるものではなく、それこそ本当の地獄の湯の名前です。近寄ってはいけません。

地獄谷の説明看板

遊歩道も終点近くになると、遊歩道のすぐ脇にある間欠泉が出てきます。ここは数分に1回しか吹き出ませんが、「危険」とか「小さな子供や高齢者は注意」などと書かれており、その脇を通るのは怖い思いをします。

横から吹き出る間欠泉のある遊歩道

ここまで地獄谷の遊歩道はおしまいです。歩いて500mほどでしょうか、意外と短いながらも迫力ある地獄を見れて、とても楽しめました。今度は子供たちを連れて来てみたいと思いました。もし小さな子供さんがいる方でしたら、鬼首の間欠泉と地獄谷は非常に喜べる場所になるかと思います。

(2009年8月12日)