〈2006年3月11~12日〉
◆旅行計画と出発◆
シンガポールより帰国し早くも1年近くが経過しようとした3月のこと、ふと思ったのは「そう言えば温泉ってもう数年行ってないなあ」ということでした。確かにシンガポールには温泉などありませんので駐在期間の4年は行っていませんし、帰国後も1年行っていませんから、少なくとも5年は行ってないことになります。そこで思い立ったが吉日、ということで温泉旅行に行くことにしました。
この時期、まだ寒いので場所は暖かい伊豆方面に一泊二日で行くこととし、インターネットで宿を探しました。
しかし! 行く予定の2週間前でしたが、主な宿はすべて満員ではないですか!
流石は人気の伊豆、ちょっと困りましたが色々と探しているうちに南伊豆の弓ヶ浜という所に「あじろ荘」という料理のおいしそうな宿があり空室1室残りあり、とありましたので、そこに電話を入れ無事に予約完了しました。
計画したルートは、1日目は東伊豆~南伊豆方面を海をたっぷり見ながらドライブし、早咲きの河津桜を見て南伊豆の弓ヶ浜で宿泊。翌日は東伊豆の海岸沿いを北上して東名高速で帰途に着く、というものでした。往復で約600kmのロングドライブです。
さて出発は3月11日の土曜日です。天候は朝から残念ながら曇り気味ですが、天気予報では午後から晴れ間がのぞくというので、あまり気にせず出発しました。家族4人で簡単な一泊用の荷物を愛車オデッセイに積み込んでいざ出発です。
ルートは成田より東関東自動車道に入り湾岸~首都高を経由して東名に入り、小田原厚木道路で熱海方面に抜けそのまま東伊豆の海岸沿いを南下するコースです。曇り気味ではありますが暖かい3月の休日初日ということもあり、東名では案の定渋滞発生。しかし思ったほどひどくはなく30分ほどで抜け、あとは厚木から小田原まではスイスイの快適なドライブでした。小田原からは一般道に出て、まっすぐ熱海まで向かいます。既に左側には海が見えていますので、旅行気分満点でした。
愛車オデッセイ
◆伊豆に到着◆
ほどなく熱海に到着しましたが、時間の関係もあるのでそこは通過するのみ。お宮の松の前をゆっくり走り眺めながら熱海は通り過ぎました。
まず向かうのは、東伊豆にある城が崎です。ここにはシンガポール赴任後まだ単身赴任時代の2002年2月に一時帰国で帰ってきた時に、家族で泊まりで行った思い出の地でもあるので、また見たいと思ったのです。綺麗な海に面して立っている灯台と吊り橋が印象に残っていました。
さて海沿いの道を快適に走っていましたが、途中トンネルがいくつか続くエリアがありました。そのいくつ目かでしょうか、カーナビを何気なく見たらトンネルに沿って海沿いに旧道があったので、そちらにちょっと道草を食うことにしました。
これが正解でした。その道はちょっと狭いのですが車は全然走ってなくて、しかも海がすぐそばなので景色は最高。途中で車を止めてみたら、青い空とコバルトブルーの海を1人占め出来ました。また、近くには海におりる階段もあり、子供たちはそこから海の近くまでおりて喜んで遊んでいました。
伊豆のような観光地はどこへ行っても人がたくさんいるのですが、こうやってちょっとルートをはずれると実に静かな情景を楽しむことが出来ます。時間ある時にはこういう冒険もお勧めです。
綺麗な空と海を1人占め
それにしても途中で印象的であったのは、海沿いの道から見た伊豆の雄大な海です。
本日は少し波が荒いのでしょうか。道路脇の岩場に向かって波が激しくぶつかり、道路のすぐ脇で高い水しぶきをあげていました。風向きによってはそのしぶきが道路まで飛んできて、道路が濡れている箇所までありました。
もちろん車までしぶきが飛んできますので、ワイパーを回しながら走る、ということになってしまいました。
◆城が崎◆
その後しばらく海沿いの景色を楽しみながら走り、途中でまたわき道に入り、有名な川奈ゴルフ場や川奈ホテルを見ながら走り、伊豆高原を抜けるとすぐ城が崎です。吊り橋のすぐ近くの駐車場に止めようと思ったら、そこはかなりの車が空きを待って並んでいたのでスキップし、少し先の「城が崎みはらしガーデン」に車を止めました。そこはいかにも南国風で高いやしの木みたいな木がたくさんありました。
ここで既に午後2時過ぎになっていたので、おなかもすいたので車の中でお弁当を食べます。一息ついたあと、いよいよピクニックコースを歩いてみます。吊り橋までは1.1kmとあるので、少し歩くことになりそうです。
城ヶ島みはらしガーデン
歩き出してすぐさま感動です。
と言うのは右に広がる断崖の風景がとても迫力あり、先にひろがる海も真っ青で非常に美しいものです。しばらくその景色を楽しみながらのんびりと歩いて行きます。
吊り橋まで1.1km、これは通常歩けば10分ほどの距離ですが、断崖に沿った山道を歩くので結構時間を食ってしまいました。しかし伊豆の海の迫力ある風景を楽しみながらののんびり歩きなので、それはたいして気になりませんでした。そうしたらようやく先の方に目指す灯台が見えてきました。これが城が崎灯台です。
城が崎の迫力ある風景
わくわくしながら灯台に向かいます。ここには灯台がありその下には有名な吊り橋があります。まず下から灯台を眺めた後、すぐに吊り橋に向かいました。
この吊り橋、しっかりした作りなのですが人がたくさん渡るとやはり「ゆさゆさ」と揺れますので、ちょっと怖い思いをします。しかしその上から真下に海を見ると、とても迫力あり感動します。吊り橋を渡ったところには大きな岩場があり、そこには人がたくさんいました。しばしそこで休んだ後、お次はこれまた有名な河津の桜を見に行きます。
◆河津桜◆
いよいよ本日のもう1つの本命である河津桜を見に行きます。ここは早咲きの桜として全国的にも有名なポイントで、伊豆高原のやや南、下田の少し北にある河津町から少し山中に入った所にあります。今は3月上旬ですが今年は異常気象のようで通常2月末には咲く梅も関東ではまだ咲いていませんが、河津桜は既に満開を少し過ぎた頃という情報をインターネットで得ていたので楽しみにしていました。
さて城が崎から海沿いに車で南下し河津町に到着した所から少し山中に入っていくと、ほどなく右側に川が見え、川沿いに桜がたくさん咲いているポイントがありました。見ると人もたくさん歩いていましたので、川にかかる赤い橋を超えた所で車を止めて歩いていきます。
川沿いに咲き誇る河津桜
見ると川に沿って実に多くの桜が咲き乱れています。確かに既に満開は過ぎた頃でしょうか。少しだけ緑の葉が見えましたが、葉と桜のコントラストも美しく感動です。川沿いの道には夕方にもかかわらず多くの人が歩いています。
のんびり歩くと、川のほとりには黄色い菜の花がやはり咲き乱れていることに気付きます。桜のピンクと菜の花の黄色がとても綺麗でした。よく見ると川の向こう岸にも桜が咲き乱れており、実に情緒豊かな風景でした。しばし感動しながらそのあたりを歩き回ってきました。
◆河津七滝とループ橋◆
さて河津桜を堪能した後は、更にちょっと山奥に入り、河津七滝とループ橋を見に行きます。
ループ橋とは、10数年前の伊豆地震で道路が破壊された時に新しく架けられた橋で、名前の通り2回、らせん状に回っている珍しい橋です。河津七滝はそのループ橋のすぐ近くにあり、大きな滝が7つあることから命名されています。
途中ちょっとした温泉街らしきあたりを抜けた所で、右折すれば河津七滝の標識が出てきますので、そこを曲がります。
河津七滝の入り口
するとほどなく頭上にループ橋の雄姿が見えてきます。ちょうどその下が駐車場になっているので、そこで下からループ橋を見上げます。この橋は本当に2回、ぐるりぐるりと回っているので、見ていても迫力がありました。
ループ橋
お次はそのすぐ先の河津七滝に行きます。
七滝全部見ると時間がかかるので、駐車場近くの「出合滝」という洒落た名前の滝を見ました。その名前の由来は2つの川がそこで出合うからそう名づけられたようです。そのすぐ下が「大滝」でもっとも迫力あるようですが、そこは午後4時までで観光通路はクローズになってしまうので、本日は見ることが出来ませんでした。残念。
さてここらで夕方、あたりは薄暗くなってきたので、そろそろ宿へ向かうことにしました。
出合滝
◆あじろ荘◆
今夜の宿は「あじろ荘」というところです。ネットで探したのですが、あまり大きくなく宿泊人員も20名に制限しサービスを良くするのが特徴だったので、そこを選びました。料金も1人1万円程度と安く、伊豆の大旅館みたいに2~3万円もとられないのが、いい感じでした。場所はほぼ南伊豆の弓ヶ浜という所のすぐ脇で、夏は海水浴客で賑わう所です。
ちなみにここのネット予約、最初はジャランネットなどで予約しようとしたのですが、念のため「あじろ荘」のHPを探したらあったので、そこでの料金を見たら、何と!直接予約した方が1人500円も安いことが分かり直接宿に電話して予約しました。やはりジャランなどの予約サイトは手数料の分だけ高いのですね。その方が便利ではありますが、宿に直接電話して予約した方が安く出来ることを知りました。
到着したのは夜の7時過ぎであったため既に周囲は真っ暗でした。しかしカーナビのおかげで迷うことなく到着出来ました。見たら確かにこじんまりとした宿です。部屋は1階、2階合わせて4部屋程度でしたが、かえって静かに過ごせそうです。もちろんこの時期ですから満室でした。
チェックインをすませ部屋に入りましたが、そこは10畳の広い部屋で気持ちいい感じでした。ちょっと古い感じの宿ですが、料金を考えたら充分です。一息ついたあと、目的の温泉に入ることにしました。
あじろ荘
温泉は、男湯、女湯とあり、その他に貸切風呂があります。この貸切風呂は特に予約制ではなく、空いていれば誰でも入れる風呂なので、長男と一緒に入ってみました。
中は広くなく2~3人が限度でしょうか。しかし貸切だけあってゆっくり出来ます。温泉に入るのは本当に5年振り位ですが、やっぱり気持ちいいですね!
ちょっとぬる目のお湯が心地よく、しばらくお湯に浸ってボケーっとしていました。
続いてせっかくなので男湯にも入ります。こちらは流石に広く、足を伸ばして熱いお湯につかる感じで、いかにも温泉という感じが味わえました。いつもはお風呂はカラスの行水である私も、ここではゆっくり長い時間入り、温泉の味を楽しんでいました。
お風呂から出たら夕食です。ここは部屋で食べれるので家族4人で一緒に食べられます。
待っていたらすぐに宿のお姉さんが料理を持ってきてテーブルに並べてくれます。見ると流石は伊豆の宿、お刺身のオンパレード。見ただけでとてもおいしそう。すぐに食べるのはもったいないので、まずは写真をパチリ。写真を撮っている最中に、お茶を持って宿のお姉さんが突然部屋に入ってきたので、あわてましたが、お姉さんが笑いながらいわく、「せっかくなので遠慮なくゆっくり写真を撮って下さいな」というやさしいお言葉。それに甘えて、恥ずかしかったですが何枚か撮影してしまいました。
おいしかったお刺身中心の料理
食べはじめてほどなく、また宿の人が何やら持ってきます。
見ると大きな魚のような。。。
聞いたら「金目鯛の塩釜(しおがま)」と言うそうです。何かと思ったら、大きな金目鯛を塩と卵白で包んでオーブンで焼いたそうで、この宿の名物料理でした。脇には木槌があり、それで叩いて外側の塩を割るそうなので、すぐやってみましたら、中には赤い大きな金目鯛がありました。早速パクついてみたら、塩味がきいていて、とてもおいしい! 皆であっと言う間に食べてしまいました。
さて、ゆっくり食べたあとは少し一服。外はすぐ目の前が砂浜なので夏なら散歩でもするところですが、今はまだ肌寒いので外にはいかず、しばらく部屋でぼけーっとしていました。時間はまだ夜の8時半ですが満腹になったらすぐに眠たくなってきたので、あまりに早い時間ですが皆で寝ることとしました。
こんなに早くて寝れるか、とは杞憂であり、昼の疲れのせいか、皆すぐに寝てしまいました。
◆2日目の朝◆
さて翌朝になりました。昨夜は早く寝たせいか、私は夜中の2時頃から数回、目が覚めてしまっていました。聞いたら家族も皆そうであったようです。しかしそれでも10時間近くも寝たせいか、目覚めはスッキリ、気持ちのいい朝でした。
窓を開けると目の前には弓ヶ浜の広い砂浜が広がっています。しかし残念ながら曇り空。本日の天気予報は曇り時々雨、とのことでしたので、雨になる前に、見れるところは見ておこうと思いました。予定では本日は西伊豆の海岸沿いを北上して帰るつもりでしたが、もう海は昨日たくさん見ていたので予定変更し、山の中を抜け早めに帰ることにしました。
朝食の前にせっかくの温泉なので、皆でまた温泉に入ります。朝風呂なんかに入るのは何年ぶりでしょうか。とても気持ちよく目を覚ますことが出来ました。時間はまだ7時ほどで朝食にはまだ時間があったので、朝食前に伊豆の最南端の石廊崎を見に行くことにしました。
◆石廊崎◆
石廊崎までは車で10分ほどの距離です。海沿いに走るとすぐに石廊崎の看板が見えてきましたので車を回し、駐車場へ止めて歩きました。流石に朝早いので誰もいません。遊歩道は船乗り場の脇から石廊崎まで続いていますが、結構急な坂道です。
ひいひい言いながら眼下に海を見ながら15分ほども歩いたでしょうか。頂上に着いたらそこには広い植物園らしきものとレストランの跡がありました。道路の両側にはソテツらしき植物がたくさんありまして、いかにも南国風の情緒を醸し出しています。しかし植物園やレストランは以前につぶれてしまったようで、今では廃墟となっています。そのすぐ先が目指す石廊崎です。
遊覧船乗り場のある入り江
喜びいさんで走っていったら、あったあった、石廊崎の灯台がありました。意外と小さな灯台ですが、ここが伊豆の最南端か、と思って見ていました。残念ながら中には入れませんので外から見るだけです。その先にも遊歩道があり海の方に向かって降りていくので先に進みます。見ると海に突き出るようにして見晴台みたいになっていますが、その根本には何と神社らしきものがありました。
石廊崎の灯台
その神社の中を見てみます。入ってみると木で出来た床には隙間があり、下は断崖になっており怖い思いをします。よくぞこんなところに神社など作ったものです。特にお賽銭はあげませんでしたが一応皆で拝み、続いて岬の方にいってみます。
その先端には小さな祠がありそこでまた拝みます。これはきっと海の神様を祭る神社なのでしょう。それにしてもこんな所の神社があるとは驚きです。
岬に立つとものすごく風が強い!
吹き飛ばされそうになりながらしばらく海の雄大な景色を楽しみました。
眼下には大きな岩場があり、波が打ち寄せています。よく見ると釣り人がいます。こんな朝早くから、しかもこんなに風の強い中でどうして、と思いましたが、好きな人にはそれがまた楽しみなのでしょう。
さて、そろそろ寒くなってきたので宿に戻ることにしました。
◆菜の花畑◆
帰る途中、長女が買い物をしたいといいましたので、カーナビで近くのコンビニを探して立ち寄ることにしました。その近くまで来たら何やら道路脇が真っ黄色になっています。何だろう、と思って見たら、一面菜の花畑になっていました!
これはすごい。コンビニで買い物を済ませた後、すぐにその菜の花畑に入ってみます。
中には看板があり「元気な百姓達の菜の花畑」とあります。街が管理しているようですが、ここは観光ガイドにものっていません。偶然の発見でしたが皆で写真を撮ったりしていい思い出になりました。
元気な百姓達の菜の花畑
とても広い菜の花畑
さて宿に戻って朝食をとった後は、いざ出発です。
せっかくのなので出発前に目の前の弓ヶ浜を少し散歩します。
ここはとても広い砂浜で日本の海岸100選に選ばれているようで、夏はさぞかし混むだろうなあ、という感じでした。
その後出発です。本日はまずちょっと北上して、下田の街を見に行きます。
弓ヶ浜
◆下田◆
下田は江戸時代に開国になるきっかけを作ったペリーが上陸した街です。それだけにペリーロードや記念館など、多くの観光スポットがあります。
残念ながらこのあたりで小雨がパラついてきましたので、街を歩くことはあきらめ、車で街中を軽く流して景色を楽しみ、その後ペリーの上陸碑を見に行きました。その上陸碑は下田の街の東側、海沿いにあります。ゆっくり見たかったのですが小雨が相変わらずパラついているので、ちょっとだけ見てそこは出発しました。
港町情緒のある下田の海
ペリー上陸碑
そこはちょっとした半島みたいになっているので、せっかくだからとぐるりと一周してみました。そうしたら途中に何やらまた吊り橋が見えてきましたので、また車を止めて歩いていきます。昨日に続く吊り橋、何となく楽しいものです。それは海の先にある小さな小島までかかっていました。渡ってみると本当に岩だけの小さな小島で、そこには「きんめだい魚霊碑」というのもありました。
その小島にはなぜか渡ったところに小さな石像が3つ置いてありました。これは何でしょうか。水子でもないようですし・・・。花まで飾ってあったので何かを祀っているのでしょう。
さて改めてそこから回りを見渡すと、向こうにも小島があり、そこには堤防つたいに渡れるようになっていました。生憎天気は悪いですが、下田湾はとても広く晴れていれば綺麗だろうなあ、と思わせる風景でした。
さてまた出発です。すぐ先には下田海中水族館がありましたが、本日はそこはスキップして帰りました。まだ小雨はパラついていましたので、そのまま伊豆の山の中を抜けて帰ります。途中、清水の街で渋滞にハマりましたが、その後は東名高速も順調で無事に帰ることが出来ました。
小田急ハイランドの観覧車
いや、久しぶりの温泉旅行でしたがとても楽しめました。好きな写真もたくさん撮れたし本当にいい思い出になりました。伊豆は何度も行っていますが、次回は天候に恵まれればいいな、と思いつつ、今度はいつ行こうかな、と今から考えています。
(2006年4月9日)