不忍池・旧岩崎邸庭園(東京)

〈2007年6月24日〉

先日は上野へ行ってきました。
上野というとこれまでは上野動物園にしか行ったことがありませんでしたので,今回は不忍池(しのばずのいけ)を散策するのと,近くにある旧岩崎邸庭園を見たいと思い,行ってきました。

◆上野公園と不忍池◆

まず最初に行こうとしたのは不忍池です。
不忍池は上野動物園に行ったときにそこから眺めたことはありましたが,しみじみと池のほとりを歩くのは今回が初めてです。車を不忍池の入り口正面にある地下駐車場に止めて歩きます。まっすぐ不忍池に向かおうとしましたが,駐車場より地上に出た所がちょうど上野公園の端のあたりであったので,せっかくだから,と上野公園も少しぶらついてみました

正面の森の上にはなにやらお堂が見えるので,まずそこへ行ってみました。そこは寛永寺 清水観音堂といって,江戸時代寛永8年に建立されたものでした。せっかくなのでお賽銭をあげて拝もうと思いました。いつもはお賽銭は100円入れるのですが,その時はたまたま10円玉しかなかったので,今回限り10円だけのお賽銭です。そのため,ご利益は少なかったかもしれません。そこへあがる石段は清水坂と名づけられていました。

寛永寺 清水観音堂

その後は上野公園の奥のほうへぶらぶらと歩いていきます。すると広場に人がたくさん集まっていました。どうも何か芸人による芸が行なわれているようですので,見てみました。

中国人女性による皿回し曲芸

それは派手な服装をした中国人の女の子4人による皿回しの曲芸でした。1人当たり7~8枚のお皿を回しながら出てきました。
最初はただ回しているだけでしたが,そのうちに曲芸として,皿を回しながら逆立ちしたり,人の上に乗ってそこで逆立ちしたりしました。すごい,すごすぎる。大勢の観客とともに拍手喝采です。

人の上に乗っての皿回し

さて今度は不忍池に向かいます。
上野公園とは道路を挟んだすぐ向かいにありますので,歩いてすぐでした。入った所には小さなオープンテラスのレストランがありましたが,曇りで雨が降りそうということで人は少なめです。その正面の突き当りには谷中七福神があり,その両側には昔懐かしの屋台が並んでいました。しかし人が少ないので,屋台の人は皆,暇そうでした。

不忍池入り口

屋台の前を通り過ぎておくに歩くと,不忍池と書かれた石碑がありました。これは初めて見ましたが,こんな石碑があったのですね。その隣には,めがねの碑というのがあり,その脇には年配の男性がたそがれてて座っていました。
なんとも情緒ある光景であったので,後から写真撮影です。

今度は戻って,不忍池に沿って歩いていきます。
不忍池をしみじみ見るのは久しぶりですが,池一面に蓮の葉があり見事な景色でした。もう少し早ければ蓮の花も満開で咲いていたのだろうな,と思うとちょっと来るのが遅くて残念でした。でもほとりにはアジサイが咲いていたりして,梅雨の時期らしく,とてもいい雰囲気でした。

不忍池一面に広がる見事な蓮の葉

更に先に進むと,下町風俗資料館があります。
今回は時間がないので中は見ませんでしたが,大正時代の生活の様子が展示されており,面白そうです。資料館の前には,古い赤いポストが設置されていました。

◆旧岩崎邸庭園◆

不忍池を見た後は,旧岩崎邸庭園へ行ってみます。
ここは不忍池からは歩いて10分ほど,池之端文化センターの裏手の静かな住宅街の中にあります。
これは三菱財閥三代目・岩崎久彌の邸宅で,往時には1万5000坪もの敷地に20棟もの建物が並んでいたそうです。
現在では洋館,和館,撞球室(ビリヤード)しか残っていませんが,重要文化財に指定されており,広い芝生の庭も見事です。

旧岩崎邸庭園入り口

門から中に入り歩き出した所で,とうとう雨がぱらついてきました。傘は持っていません。しかしここまで来て帰るのも悔しいので,まずそのまま建物の中に入ってみることにしました。建物までは結構長い緩やかな坂道を歩きますが,そこには綺麗なアジサイの花が咲いていました。また,建物の手前には,三菱のマークの元になったとも言われる彫刻のある立派な塀もあります。
(どこが三菱マークの元になったのかよく分かりませんでしたが…)

三菱マークの元になった彫刻

入館料を支払い中に入ると,正面に美しい洋館が見えます。これはイギリス人の有名な建築家ジョサイア・コンドルの設計によるものです。ジョサイア・コンドルは日本で洋館を100以上も設計しましたが,旧岩崎邸の洋館はその最古の設計だということです。見ると窓や玄関など,とても美しく設計されており,しばし見とれてしまいます。ではいよいよ中に入ってみることにします。

美しい洋館

この建物はイギリス・ルネサンス様式で,とても格式ある造りになっています。玄関を入ってすぐの大階段の手すりも美しく,ため息が出そうです。すぐに気付いたのは,どの部屋にも暖炉があること。当時にしてはかなり贅沢な造りとなっていました。

玄関の中

二階建てのこの洋館,部屋もたくさんあります。全ての部屋は中の造りが異なります。机,窓の造り,壁の色合いなど,全て趣向を凝らした造りになっているので,見ていて飽きることがありません。こういう素晴らしい洋館に暮らしていたとは,本当に羨ましいと思いました。

美しい部屋の中

二階にはベランダがありますので,出てみました。このベランダの柱の形状もイオニア式の装飾だということで,歴史を感じさせるものです。ベランダからは広い芝生の庭を臨むことが出来ます。

二階のベランダ

また一階に戻り歩いてゆくと,洋館の端のほうにはサンルームがあります。サンルームと言っても非常に広く,大きな窓の下にゆったりしたソファーが並んでいます。昔のお金持ちはこうした優雅な生活を楽しんだのだなあ,としみじみ感じることが出来ました。

サンルーム

さて洋館の先には,和館が続いています。これは書院造りを基調としており,建設時には建坪550坪に及び、洋館を遥かにしのぐ規模を誇っていたそうです。中の和室では,お茶をたてて飲むことが出来るようになっていました。

和館を見たら,そこで館内鑑賞は終わり,庭に出ることになります。外は小雨がパラついていますが,そのまま歩いていきました。
庭から見た洋館は,やはりとても美しく,こういう家に一度は住んでみたいと思わせるものがあります。
また,の隣には山小屋風の撞球室があり,昔はそこでビリヤードを楽しんだそうです

庭から見た洋館

山小屋風の撞球室

さてここで帰ることにしました。雨はパラパラ降ってきていますので,傘のない私は駆け足でまた不忍池の横を走り駐車場まで戻る羽目になりました。その時に不忍池を見たら,若者5人が仲良くベンチで雨宿りしていたので,思わず写真をパチリ,です。

雨宿りしていた若者たち

あいにくの天気でしたが,古い洋館好きの私には旧岩崎邸を見れたことが非常にいい思い出となりました。

(2007年7月12日)