宮城蔵王(宮城)

〈2007年8月13日〉

この2007年のお盆休みには久しぶりに実家の仙台に帰り,墓参りをしてきました。2007年8月12日~14日の二泊三日の小旅行です。初日は常磐道,東北道とも渋滞だらけで時間がかかりましたが,何とか夕刻には仙台に到着し,無事に墓参りをすることが出来ました。

そのため,翌日8月13日は宮城蔵王へ行ってみることにしました。蔵王と言えばスキーでも有名ですが,夏の蔵王では何と言っても頂上の火口湖,通称「お釜」が見事です。この「お釜」,気分屋なので,通常は霧がかかることが多く,なかなか拝めないのですが,本日は朝から非常にいい天気なので,期待をこめて行ってみました。実は「お釜」を見るのは20年ぶり以上です。

天気はいいですが,本日は非常に暑い! ここ仙台でも35℃は越えたのではないでしょうか。今年の夏は例年以上に非常に暑い毎日が続いています。暑い中,車を走らせます。

街中を抜け,高速道路のICへ向かうため青葉通りを走りました。この青葉通りは仙台駅より西の広瀬川に向かって伸びている大通りで駅前は混雑していますが,はずれの方まで来ると流石にすいています。見ると道路わきの照明に,伊達政宗の形をなぞった飾りが付いていたので,思わず車を止めて写真を撮りました。こんな所で写真を撮っているなんて,きっと他の人々には変な人と思われたことでしょう。

広瀬川近くの青葉通り

◆蔵王エコーライン◆

さて東北道を南下し,村田ICでおります。ここから一般道を通り,遠刈田(とおがった)温泉街を抜けた後は蔵王エコーラインに入ります。蔵王エコーラインとは昔有料,今は無料になった道で,宮城県側より蔵王の頂上を経由して山形まで抜ける道です。山道なので登りが急でクネクネしている道ですが,天気さえ良ければ景色は最高の道です。
その蔵王エコーラインの入り口に当たる所には,大鳥居があります。なぜこんなものがあるかは不明ですが,あまり気にしないで写真を撮りました。ここからいよいよ上に登っていきます。

蔵王の大鳥居

蔵王エコーライン

蔵王エコーラインは綺麗な緑の木に囲まれた非常に感じのいい道ですので,気分良く走って行きます。しばらく走った所で滝見台に到着しました。そこへの道は狭いので,近くの橋の上に車を止めて,眼下に見える三階滝を見てみました。この三階滝は日本の滝百選に選定されているとのことで落差が181mもあります。

三階滝

そこから少し進むと今度は不動滝があります。これは落差54mですが,水量では蔵王の滝で一番大きい滝とのことです。滝見台の手前には,蔵王不動尊がありました。

不動滝


さてその先のエリアは賽の磧(さいのかわら)といいます。このあたりはすっかり高原で空は青く澄んでいて,高山植物を見ることが出来ます。その入り口にあたる辺りにくぬぎ地蔵尊がありますので,ちょっとだけ拝んでいきます。
また,そこの向かいに広い駐車場がありますが,そこでは何とアゲハ蝶を見ることが出来ました。このあたりではトンボも多く見ることが出来ます。こうした蝶やトンボを見るのは久しぶりです。

くぬぎ地蔵尊

更に少し進むと駒草平(こまくさだいら)です。ここでは高山植物を見ることが出来るので,遊歩道を歩いてみます。歩き出すとすぐ両脇に,コマクサや野イチゴを見ることが出来ます。もちろん柵の中には入れませんので,写真撮影は遠くから望遠レンズを使っての撮影となります。

駒草平の遊歩道

遊歩道の先には展望台があり,青空の下に広がる山肌不帰の滝(かえらずのたき)が見えます。

駒草平の山肌

不帰の滝

いやいや,実に素晴らしい眺めです。加えて空気はおいしく清々しいので最高です。やはり夏は高原に来るのがいいですね。
また,涼しいせいか,真夏なのにススキがあるのに驚きました


さてまた車に乗って出発です。駒草平より少し進むと,今度は大黒天という所があります。道路より少し階段を登ると展望台になっており,ここから蔵王頂上へ向かう登山道があります。このあたりに来ると標高1432mということですから,下界に比べて少しは涼しく感じます。が,本日は相当に暑いのでしょうか。下界とは相対的に涼しいとは感じますが「涼しいなあ」という感じはなく,やはり暑いです。

大黒天

ここまで来ると頂上はすぐ近くです。が,しかし! 何とここで道路が渋滞になってしまいました!
頂上の駐車場に入る車があふれて渋滞しているのです。カーナビを見ると頂上まであと2kmたらずですが,山道での渋滞,なかなか動かず駐車場に入るまでに1時間以上も渋滞してしまいました。

頂上目前の大渋滞

しかし渋滞のおかげで周囲の高原らしい雰囲気はたっぷり楽しむことが出来ました。空は青く実に綺麗です。何とか渋滞を抜け頂上の駐車場に車を止めることが出来ましたので,そこからいよいよ蔵王のお釜を見に行くことにしました。

高原らしい眺め

◆蔵王のお釜◆

頂上はさすがに涼しく感じますが,それでも30℃近くはあるのでしょうか。風が気持ちいいのが救いです。
駐車場よりはるか向こうを見渡すと,多くの山々が霞んで見え,とても幻想的な風景でした。ではいよいよお釜に向かって歩いてゆきます。正面にはいかにも観光地にあるようなレストハウスがあり,お昼時なので混雑していましたが,そこを抜けて歩きます。と言ってもお釜までは歩いてすぐですので心配いりません。

頂上からの眺め

この山は正式には刈田岳と言います。また,その尾根は馬の背と呼ばれますそこから下に広がるのがお釜と呼ばれる蔵王の河口湖なのです。駐車場からは歩いてすぐですが,流石にお盆休み中なので,人がたくさん出てきています。見ると右の更に上(これが刈田岳の山頂です)にはお寺らしきものが見えますが,今回はそこはパスして正面のお釜を見に行きます。

正面が馬の背方向

お釜の上は地面がむき出しになっている感じで,岩もゴロゴロしています。注意して歩くとすぐに下のほうにお釜が見えてきました!
久しぶりに見るお釜,ワクワクしながら進んでいきます。

上から見たお釜

お釜全景

いや,今日は良く晴れて本当に綺麗に見えます。
このお釜は気分屋なので,結構高い頻度で霧がかかって見えないことも多いのですが,本日は実にスッキリと見ることが出来ました。
嬉しいですね。このお釜,エメラルドグリーンに輝いていましたが,天候によって見える色も変わるそうです。

エメラルドグリーンに輝くお釜

お釜左側の岩肌は迫力あります

しばらくお釜に見とれていました。近くでは多くの人がお釜をバックに記念撮影しています。
私も感動して何枚もの写真を撮りました。
ようやく満足したので戻ることにします。岩場で滑って転ばないように注意しながら歩きますが,ここから見た刈田岳山頂の眺めも,空が青くとても綺麗でした

刈田岳山頂を見る


帰りは蔵王エコーラインを下ります。こちらはスイスイですが反対車線の渋滞は相変わらず延々と続いており可哀相になりました。
途中でおなかがすいたので,レストランを探しながら走っていたら,「山のそば屋」という店があったので入ってみました。店内は満席でしたが,ここでは10割そばと言って,混じり物のないそばを食べさせてくれるので,とても人気のある店でした。食べたら確かにとてもおいしかったので,その人気もうなずけます。外は暑いですが,涼しい店内でゆっくりしましたので,ようやく落ち着くことが出来ました。

山のそば屋

落ち着いたところで出発ですが,このまま仙台に帰るのにはまだ時間が早くもったいないので,蔵王の南の方に行ってみることとしました。

◆長老湖◆

蔵王エコーラインを降りきった後は南に向かいます。このあたりも山道と平地の連続みたいな感じになっており,周囲の景色は実にのんびりしたものでした。途中に牛を放牧している所があったので,車を止めて少しの間,ぼ~っと見ていました。このあたりでようやく暑さが取れて風が心地よくなってきました。

牛の放牧

さて,次に立ち寄ったのは長老湖という変わった名前の湖です。ここには中学1年生のときに遠足で来た記憶のある懐かしい湖なので見てみることにしました。見ると,昔はただの湖だったのが,綺麗に整備されており,人もそこそこおりました。そうですよね,35年も経っているのですから,雰囲気はだいぶ変わっていて当然だと思います。
このあたりでもう午後3時近くになってきたので,少し先を急ぎます。

長老湖

◆やまびこ吊り橋◆

長老湖のすぐ先には,やまびこ吊り橋というのがあります。これは観光ガイドにはあまり掲載されていないので,隠れた穴場かもしれません。実はこのあたりは長老湖も含めて,横川渓谷公園と言います。そのメインのやまびこ吊り橋ですが,道路での案内は白い手書きの小さな看板で「つりばし」としか書かれていませんので,うっかりすると見落としてしまいそうです。

わき道に入りほどなく吊り橋入口があったので車を入れて歩きます。するとすぐに目の前に渓谷と,そこにかかる吊り橋が見えてきました。吊り橋など見るのも久しぶりなのでワクワクしながら歩きます。
この吊り橋は昔ながらの吊り橋を平成9年に架け替えたもので,結構現代風になっていました。長さは120m,高さは20mですので,東北地方でも有数の大きい吊り橋とのことです。

やまびこ吊り橋

さていざ,渡ってみます。吊り橋のたもとには「強風のときは危険ですので渡らないで下さい」と書いてあり,それが却って冒険心をそそります。実際に渡ると1人の時はいいのですが,誰かが歩くと振動で揺れて怖い思いをします。高さ20mというのは意外と高いのでなおさらです。

いよいよ渡るところ

下を見るとはるか下に渓谷が見えます。反対方向の上流部には砂防ダムという小さなダムがありますが,そこでは若者が10人ほどでギャーギャー叫びながら水遊びをしていました。いかにも夏らしい光景でした。

砂防ダム

さて,吊り橋をたっぷり堪能したので,また次に向かいます。もう夕方に近づいてきているので急がなくては・・・。

◆滑津大滝◆

更に南下し今度は七ヶ宿町(しちがしゅくまち)へ向かいます。ここにある滑津大滝は,別名 二段滝とも呼ばれ豪快であると聞いていたので見に行きました。滝の上には大きなパーキングとお土産屋さんがありましたので,そこに車を止めます。もう夕方なので人はほとんどいません。滝には階段を少し長く降りてゆくことになります。

滑津大滝

降りるとそこには非常に綺麗な川が流れており,川に沿って遊歩道があります。遊歩道を上流へ歩いてゆくと,ほどなく滑津大滝が見えてきました。滑津大滝は高さ10m,幅30mの大きな豪快な滝です。見ているとその水量に圧倒されます。しばらく下から見ていましたが,滝のすぐ脇に遊歩道の階段がありましたので,そこに向かってみました。

豪快な滑津大滝

いや,驚きました。すぐ近くで見る滝は非常に迫力あります。階段は本当に滝のすぐ脇にあるので尚更です。しばらく感動しながら見ていて,写真を何枚か撮りました。
尚,この川は浅いので,夏は水遊びに最適だと思います。もう夕方なので人は少なかったのですが,昼間は多くの人が水遊びをしているのだろうと思わされました。

近くで見ると迫力満点

◆七ヶ宿ダム◆

さて本日はたっぷり楽しみましたので,そろそろ帰ることにします。ここからは白石市に向かい,そこから東北道に乗るルートが一番近いようです。山の中の道を淡々と走っていると,右側に大きな湖らしきものが見えてきました。ここが七ヶ宿ダムです。

この七ヶ宿ダムは平成3年に出来た,まだ結構新しいダムです。そう言えば,子供の頃にこのあたりに何度か来たことがありますが,その時にはダムはなく,細い川が流れているだけであったことを思い出しました。せっかくなので,このダムをちょっと見てみることにします。
ダムのたもとにはお約束のお土産屋さんがあります。その垂れ幕を見ると,七ヶ宿湖は日本のダム湖百選に選ばれているようです。このあたりはちょっとした緑の公園になっています。

ダム湖百選の選定を祝う垂れ幕のあるお土産屋

公園の上には展望台があるので行ってみます。見るとこの七ヶ宿ダム,確かに非常に大きなダムです。見たら堤高は90mもあるそうです。湖も大きく広かったですね。ここでボート遊びなどしたら楽しいだろうなあ,と思いつつ,しばらく眺めてから帰ることにしました。

七ヶ宿ダム

ダム湖

いやいや,本日も非常に暑い1日でしたが,清々しい高原で過ごすことが出来,実に有意義でした。
関東地方でも自然豊かな所が多くありますが,やはり東北の自然は抜群にいいですね。本当の自然が残っている感じがします。遠くてなかなか行けませんが,もっと東北の自然めぐりを今後もしてゆきたいと思いました。

(2007年8月28日)