松島・仙台(宮城)

〈2006年8月14~15日〉

今年(2006年)の夏休みも実家の仙台に帰省しました。今回は子供たちが部活が入っているため帰れず、私1人での帰省でした
また、福島県郡山市に住んでいる弟家族も来るので、ちょっぴり賑やかな帰省となりました。帰ったのは8月13日、戻ってきたのが15日と、中1日しかないあわただしい帰省で、尚且つ天候も曇り時々小雨という生憎のものでしたが、その中日の8月14日に、せっかくだから、と1人で松島を久しぶりに訪れてみました
実は先月、デジタル一眼レフカメラを買い換えていた(同じNikonのD70sからD200へ)ので、それによる撮影も楽しみでした。

面白いもので生まれてすぐから就職するまでずっと仙台に住んでいながら、松島にはあまり行ったことがありません。同じく有名な仙台の七夕もこれまで1回しか見たことがありません。有名な観光ポイントであっても、あまりに近くにいると、わざわざ行こうとしないもので、仙台を離れてから急に懐かしくなり、見に行きたいと思うようになりました。

◆松島へ◆

松島は、天の橋立(京都)宮島(広島)と並んで、日本三景の1つに数えられています。その名の通り、海には松の木がはえた小島が多くありその眺めは絶景そのものです。その昔、17世紀に松尾芭蕉が東北・北陸を訪ね歩いた「奥の細道」のルートの1つでもあり、松島での俳句「松島や ああ松島や 松島や」は、あまりにも有名な一句です。ただ、この句は後年、松尾芭蕉の作ではなく狂言師 田原坊の作とみなされていますが、松尾芭蕉が松島のあまりの美しさに絶句したというのは本当の話のようです。
松島には美しい島々だけでなく、国宝・重要文化財である「瑞巌寺(ずいがんじ)」、および重要文化財で瑞巌寺の附属寺院である「五大堂」があります。

松島の中心地・遊覧船乗り場付近

さて8月14日、午前中は皆で父の墓参りに行き、松島に向かったのは午後2時過ぎでした。天候は薄曇りでいまいちぱっとしないのが残念でした。仙台から松島に行くにはJRであれば仙石線で松島海岸駅まで車でしたら仙台から国道45号線または仙台・松島道路(三陸自動車道)で1時間もかからない近い場所です。私はもちろん車で行きました。
問題は駐車場です。松島には国道45号線が通っていますが、観光地らしく(?)片側1車線の狭い道で、休日は慢性的に渋滞しており、駐車場も午後になるとどこも一杯、しかも料金が高い! ということになります。

でも穴場というのはあるもので、国道45号線でJR松島海岸駅を正面に見たら左方向(仙台方面)に向かうとすぐに短いトンネルがあり、そこを抜けたらすぐ左側、海沿いに無料の広い公共駐車場があるのです。浪打浜無料駐車場といいます。かなり広いので車の出入りも多く、あまり待たずに無料で駐車出来るのでお勧め。車で松島へ行かれる方は、どうぞご利用下さい。
地図を頼るならば「雄島」の向かい側になります。さてそこに車を止めて歩いていきます。

◆雄 島◆

まず向かったのは、駐車場正面にある「雄島」です。ここは初めて行きますが、赤い綺麗な橋を渡っていきます
松島には橋を渡って渡れる島が3つあります。1つは有名な五大堂、もう1つは福浦島で、あとの1つがこの雄島ですが、私はこの雄島に渡るのは実は今回が初めてです。五大堂と福浦島は、松島中心部の観光桟橋のすぐ脇にあり瑞巌寺も正面にあるので皆が行くのですが、この雄島は西のはずれにあるので、あまり行く人はおらず静かな島です

「雄島」にかかる橋

さて渡ってみると実際、小さな島でした。が、その先端にはちょっとした展望台があり松島を見渡せるので、ちょっと散策するにはいい感じです。渡って左方向に進むと、道沿いの岩壁を彫って小さな石仏があったりします。その辺りからは松島湾の入り江が見え、小さな船が何隻も停泊しています。更に進むと岩のトンネルがあったりして、探検気分が味わえます。

小さな石仏

停泊している舟

もっとぐるりと回り島の反対側に行くと、今度は松島湾の太平洋側が見渡せますので、なかなかいい感じです。
その辺りには、奥の細道の碑があったり小さな神社があったりしますので、ゆっくり見て回りました。奥の細道の碑の前にはカップルが座り込んで話し合っているのが、とても微笑ましく思えました。
この雄島は松島のはずれで静かなので、意外なる穴場としてお勧めです。

雄島より眺めた松島の眺望

奥の細道の碑

◆観光桟橋と五大堂◆

さて、雄島でゆっくりした後は、松島中心部である桟橋エリアに向かいます。向かう途中には、マンボウ君で有名な松島水族館があります。
(2024年4月25日追記)
長い歴史を持つ松島水族館も、2015年に閉館してしまいました。今は新しく仙台市に出来た「仙台うみの杜水族館」に移転しています。
水族館前を過ぎると、松の木がたくさん植えてある広い芝生の公園があり、そこをぶらぶらと歩いていくと桟橋の前に出ます。
このあたりが松島の中心街で人も車も多く非常に賑わっています。
その国道を挟んだ反対側(山側)には、国宝・重要文化財である「瑞巌寺(ずいがんじ)」がありますが、本日は時間の関係でパスしました。

観光桟橋前の広場

桟橋には遊覧船がたくさん

何が見たいか、と言うと、やはり五大堂です。これは瑞巌寺の附属寺院であり、重要文化財に指定されています。
この五大堂、小さな島にお堂が作られていますので、陸よりやはり赤い小さな橋を渡って行くことになります。ちょうど私が訪問した前後に、この五大堂のご開帳があったようです。尚、この五大堂の撮影ポイントは桟橋の一番隅の方になりますので、写真の好きな方はそちらへどうぞ。

五大堂

写真を見たらお分かりかと思いますが、五大堂の島の岸壁は波に削られています。実はこれ、私が子供の頃に問題になり、このまま放置しておくと島そのものが崩壊する恐れがありました。しかし重要文化財をコンクリートで補修することに反対の人もいたりして、修復すべきかどうか、かなりの論争になっていた記憶があります。結論としては修復したので、今でも美しい姿を見ることが出来るわけです。

五大堂に掛かる橋と小島

さて桟橋を渡って五大堂へ行ってみます。雄島と同じ赤く塗られた綺麗な橋を2つ渡ると五大堂です。そこには多くの観光客がいました。中は見ることが出来ませんでしたが、なかなか由緒あるお堂という感じで、拝む方がたくさんいます。外国人の方の多く見かけました。その五大堂のある島の裏手に回り込むと、松島の優雅な風景を、そこからも楽しむことが出来ます。お堂の周りをぐるりと一周してみることをお勧めします。

五大堂のお堂

島からまた戻り、少し奥まで行ってみます。先に行くと、今度は長~い橋を渡っていく福浦島がありますが、本日は立ち寄りませんでした。そこから振り返ってみると、五大堂を反対側よりのぞむことが出来ます。その風景もなかなか風雅でした。

奥から見た五大堂

その時、近くを面白い形の遊覧船が通っていきました。
良く見ると孔雀の形をした遊覧船で、きっと子供には人気があるのだろうなあ、と思わされました。

孔雀形の遊覧船

さて、このあたりも充分堪能したので、そろそろ車に戻ります。
帰り道は海沿いの遊歩道を歩いてみました。たいした距離はありませんが、桟橋方面に行くショートカットになっており、そこから見る松島の景色も優雅ですので、のんびり歩きながら景色を楽しみます。本日は曇っているので遠くの景色が霞んでいましたが、天気が良ければもっともっと綺麗だったろうになあ、と思うと残念です。

海沿いの遊歩道

◆西行戻しの松◆

さて松島も久しぶりにゆっくり見たので帰ることにします。既に夕方4時近くになっていましたが、本日は天候がぱっとしないので、何となく少し薄暗くなりかかってきました。
渋滞を避けるために山道に入って進んでいくと、松島パノラマラインという道路の山側の入り口のところに「西行戻しの松」との看板がありました。何だろう?とちょっと気になったので、まだ時間もあるのでちょっと立ち寄って見ることにしました。

後で調べて分かったのですが、ここは西行法師が諸国行脚の折り、松の大木の下で出会った童子と禅問答をして敗れ、松島行きをあきらめたという由来の地だそうです。 この公園の一帯は260本余の桜の名所で、展望台からは桜と松島湾の景色が一体となった、他に類をみない花見が味わえるとのことでしたが、本日は生憎の曇り空なので、桜どころか松島の景色も見えませんでした。

(2024年4月25日追記)
後日、2012年5月1日に、この西行戻しの松へ桜を見に行きました。多くの桜の花の下に見る松島の景色はとても雄大で美しいもので感動しました。参考にその時の写真を貼っておきます。⇒ ※ 桜の記事はこちら「絶景! 松島の桜(宮城)」

後日撮影した西行戻しの松から見た松島(2012年5月1日撮影)

松島パノラマラインを登っていくと、ほどなくパーキングがあり、その先に西行戻しの松公園というのがありました。場所的にもあまり良くなく、しかももう夕方なので、止まっている車は私の他に1台のみで、歩いている人は誰もいません。とても静かです。看板を見るとこのあたり一帯は「国際交流村」となっていました。公園の石碑を見ると、明治100年記念事業と書かれており、昭和43年に出来たようです。早速小高い丘になっている公園に上がってみます。

公園の石碑

公園はさほど広くありませんでした。中心部に東屋がポツンとあるだけです。しかし全体に霞がかかっており、とても幽玄な雰囲気を漂わせていますので、感動し写真をたくさん撮っておきました。とにかく誰1人いない静かな所でした。松島にこんないい所があることは知りませんでした。
肝心の西行戻しの松は、この公園の少し先にあったようですが、天候が良くないこともあり、見に行きませんでした。

霞がかかった公園

さて、ここらで夕暮れになったので本日は帰ることとしました。
久しぶりの松島、あちこちは見れませんでしたが、その雰囲気に触れてとてもいい気分でした。

◆仙台 / 勾当台公園◆

さて翌日は早くも成田の家に戻ることにしました。帰る前に、ちょっと用事があり仙台の青葉区役所に立ち寄りました。
仙台の街の真ん中には勾当台(こうとうだい)公園というのがあります。その周辺は官庁街になっており、宮城県庁仙台市役所があり、その近くに青葉区役所があります。ショッピング街の一番町(いちばんちょう)の入り口が近くで、青葉通りや広瀬通りと並ぶ大通りの1つである定禅寺(じょうぜんじ)通りがすぐ目の前にあります。学生時代にアルバイトをした三越もここにあります。
場所的にはJR仙台駅から市営地下鉄で2駅なので、ちょっと立ち寄るにも手ごろな場所です。

勾当台公園より見た宮城県庁

さて区役所での用事をすませてそのまま帰ろうかと思いましたが、せっかく久しぶりにここに来たので、駐車場の時間もまだ余裕があることだし、ちょっと勾当台公園に立ち寄ることにしました

勾当台公園

市役所側から公園に入っていくと、人口の池(川?)があり周囲には鳩がたくさんいました。人間に慣れているせいか、近づいても逃げません。良く見るとそこには林子平の銅像があり、その頭の上にも鳩が止まっていました。これには笑ってしまいました。何ともなごやかな光景です。

公園には鳩がたくさんいました

林子平の銅像の頭にも鳩が

更に奥に行くと広い公園になっており、真ん中には綺麗な丸い花壇があり、色とりどりの花が咲き乱れていました。向こうには三越などのビル群が見えます。このあたり、市民の人たちが多くくつろいでいました。暑い日でしたが、なぜかこのあたりは涼しく、風がとても気持ちよかったのが印象的です。ここにも志賀潔の銅像がありました。

志賀潔の像

しばらくのんびり見た後は戻ります。戻る時に気付いたのですが、先ほど見た林子平の銅像のあたりは洒落たベンチがあったりして、とてもいい雰囲気でした。相変わらず鳩はたくさんいて、近づいても逃げようともしません。のどかな公園でした。

林子平の銅像とベンチ


さて時間もたったので、ここで仙台を後にして成田の家に戻ります。
久しぶりにゆっくりと松島と仙台市内を見たので、満足。今度帰省した時には、西公園、広瀬川、青葉城など仙台市内の別の場所を是非とも行ってみたいと思います。懐かしい場所がたくさんありますので、今から楽しみです。

(2006年9月12日)