航空ショー 2004

シンガポールでは年に一度、大規模な航空ショーが開催されます。
正式名称は「Asian Aerospace 2004」と言い、アジア地区では最大規模のショーで、遠く日本などからも飛行機マニアの方がわざわざ見に来るくらい素晴らしいショーです。
実は私もシンガポールに赴任してまだ単身赴任の頃に思い立って見に行ったことがありますが、その時は前売りチケットを買っていなかったので会場の前まで行きながら入場出来なかった苦い思い出があります。よって今年はチケットを事前に購入し家族で見に行きました。

チケットの購入はインターネットで出来ます。私が使ったのは「SISTIC」というもので、インターネットで望みのチケットを予約しクレジットカードで決済し、後日指定の窓口へ取りに行けばOKでした。


行ったのは2月29日の日曜日。場所はチャンギ空港の北側、海の近くにある「Changi Exhibition Centre」です。付近の道路は封鎖されているので近くからバスなどで行くことになります。

調べたらメインイベントのアクロバット飛行は11:30~13:10で実施、とありましたので、それに合わせ午前10時半には自宅を出ることで考えていたのですが、ちょっと遅れ出発したのは11時近くでした。そのためこれでは間に合わない、と思い空港の滑走路脇の道路に車を止めそこから路線バスで行こうとしました。と言うのは前回見に行った時は多くの人がそうしていたからです。

しかしいざ行ってみると今年は路上駐車は禁止されていました!
仕方なく奥まで行ったらチェックポイントで止められ、CarParkの場所を聞いたら「MRTパシリスかシンガポールEXPOに駐車しそこからシャトルバスを使って下さい」と言われてしまいました。
「うわ~、それでは1時間近くかかってしまう」
既に時間は11:30.まもなくアクロバットが始まる時間ですが仕方ありません。急いで車でパシリスまで向かおうとし滑走路脇の道路を戻っていたら、あるポイントに車と人がたくさんいました

この金網の左が滑走路

何だろう、と思ったその瞬間です。
隣の滑走路より突然轟音が鳴り響き、思わず振り向いたら何と戦闘機が一機離陸して行ったのです。「うわ!すごい!」
そうです。ちょうどアクロバット飛行が始まった所だったのです。しかも見ていたらもう一機、滑走路に入ってきました。それであわてて車を道路脇に止めてカメラを持って皆で金網の所まで走っていきました。

離陸準備をしている戦闘機

わくわくしながら離陸するのを待っていました。すると突然「ゴ~~!」という音に変わりいよいよ離陸です。音は一層高まったと思った瞬間、一気に加速していきます。
すごい! ものすごい轟音と、ものすごい加速です。
耳がつぶれるかと思うくらいの轟音とともに、ジャンボジェットの比ではなく一気に加速したと思った瞬間、あっという間に「グワッ」と発進しました。
離陸はジャンボなどに比べるとかなり低く飛んで行きます。
しかし飛んだと思ったその瞬間、まだ地上50メートルくらいでしょうか。突然、右旋回90度!

始めは操縦を誤って墜落するのでは、と思ったくらい飛んだ瞬間「ゴ~~~!」っと急激に90度右旋回し、すぐさま体勢を立て直し右方向に急上昇し、あっというまに見えなくなってしまいました。
すごいです! 格好良過ぎます!!
皆で「すごい~!」の連発。もう感動。奥さん、子供もあまりの迫力に鳥肌が立ったと言っていました。
そこでハッと我に返り、また車に戻りパシリスへ向かうこととします。そうしないとせっかくのアクロバットが終わってしまう!


パシリスまでは15分ほどで到着しました。しかしCarParkはMRT駅ビルの地下に1つしかなく、しかも日曜日の昼ということもあり車がたくさん行列して並んでいます! いらいらしながら何とか車を入れタクシーに飛び乗った時には既に12:30を過ぎておりアクロバット終了まで40分しかありませんでした。

タクシーではチャンギビレッジのチェックポイントで厳しいチェックを受けました。やはり最大の航空ショーということで警戒は非常に厳しく、車の下に爆弾が取り付けられていないかというところまでチェックされていました。
何とか会場にたどり着いたのはもう午後1時。海沿いで次のアクロバット飛行を待っていましたが、残念ながら既に終わってしまったようでもう来ることはありませんでした。う~ん、残念!次回来るときはもっと時間に余裕を持って来ることにします

この海の上でアクロバットを実施


さて気を取り直して会場に入ります。ものすごい人の数で、いかに人気があるショーか良く分かります。まずは正面にある展示場に入ってみることとしました。
中には色々な航空会社のみでなくエンジン、部品メーカーが展示しており、軍用のミサイルなどまでありました。冷房が良く効いていて非常に気持ちよかったのでゆっくり見て歩きました。
感じとしては東京モーターショーみたいな雰囲気でしたが流石に本物の飛行機は飾らず(笑)、模型を飾っていました。しかしエンジンやミサイルは本物をそのまま飾っていたので、もう迫力満点です

一通り中を見た後は外の展示場をぶらつきます。外にはいくつか本物の戦闘機などを飾っていました。安全のためにジェット噴射口にはフタがしてありましたが、近くで見ると本物は迫力満点です。変な形の無人と思われるグライダーもあったりしました。
なぜか戦車も1台あったのがご愛嬌です。

ふと見ると向こうの方では本物の戦闘機の操縦席に人が乗れるようです。かなりの人が並んでいましたが子供たちが乗りたいと言うので一緒に並んでみました。でもいざ並んでみるとなかなか前に進みません。そうでしょう、良く見ると1組当たり数分かけて操縦席に座ったり記念撮影したりしているのですから、これは時間がかかります。1時間も暑い中並んだでしょうか。やっと自分たちの順番が来ましたが既にヘトヘトです。

まず搭乗前にテストパイロットの人と記念撮影をします。
聞いたら、この戦闘機はスエーデンの軍隊のもので、このテストパイロットの人は実際に操縦しているそうです。(当たり前か(笑))

スピードは、と聞いたらマッハ2とのこと。音速の約2倍、秒速680メートルですから相当に速いのでしょう。計算してみたら時速2400キロにもなります!
よくぞこんな速い戦闘機を操縦出来るものです。しかしこのパイロットの方はとても戦闘機乗りとは思えないくらい優しくて、子供たちも喜んでいました。優しくて力持ち、の典型例みたいな方です。

 

いよいよ操縦席に乗り込みます。まずは子供から。
乗ってみるとかなり狭いようでした。ここで1人1枚記念撮影をします。奥さんが乗るときと降りるときは子供たちと小さな声で「ちゃんと入れるかな? ちゃんと抜けるかな?」などと話していました(笑)。そのくらい狭いようですが、そのささやきが奥さんには聞こえたようで、睨まれてしまいました。

最後に私が乗りましたが、中は本当に狭いです。
こんな狭い所に座ってマッハ2の猛スピードで飛ぶなんて、パイロットの人はかなりキツイだろうなあ、というのが率直な感想でした。
家族4人でたっぷり楽しんだ後は戦闘機の前で皆で記念撮影し、帰ることとしました。

いや、本当に楽しい航空ショーでした。アクロバット飛行が見れなかったのは本当に残念ですが、催し物を見るだけであっと言う間に時間が過ぎてしまいました。来年もしまた来れるなら今度こそはアクロバットを必ず見たいと思います。

(2004年3月2日)