ジョホール・バル

~ シンガポールより一番近い外国 ~

マレーシア南部のジョホール・バルはシンガポールのすぐ隣にあり、北部と南部に2つの橋(コーズウエイ)がかかっていて車で手軽に行けます物価がシンガポールに比べて安いので休日には多くのシンガポールアンがショッピングなどに出かけています。そのため休日にはコーズウエイはいつも渋滞しています。

このジョホール・バルには私はゴルフでは良く行きますが、それはジョホール北部の郊外地域であり、よく考えたらジョホール・バルの市街にはまだ行ったことがありませんでした。家族も一度は行ってみたい、と言うので、この休日に日帰りで行ってきました。
マレーシアのガイドブックを見てみると、ここは観光地らしきところはほとんどなく古いモスク(寺院)が2つくらいあるだけですので、たいして面白そうではありませんでしたが、話の種に、ということで行ったものです。奥さんは安く買い物が出来るということを楽しみにしていました。

◆いざ、ジョホール・バルへ◆

早速車に乗って出かけます。CITYからはCTE(中央部を南北に走る高速道路)を北上しシンガポール北部のWOODLANDSまで高速道路で行き、そこからいよいよ第一コーズウエイに入ります。ゴルフに行くときはいつも西部の第二コーズウエイを通っているので、この第一コーズウエイを通るのは初めてです。近くには新しい競馬場や半導体工場などがありましたが、このあたりは滅多に来ないので景色は新鮮です。

第一コーズウエイのイミグレーションは渋滞しているかと思いましたが、思ったほど混雑しておらずすんなり通れました。ここも第二コーズウエイと同じように、車にのったまま出国手続きができます。でもやはり古いせいか、第二コーズウエイに比べると全体的に古めかしさを感じました。
さて、車のゲートに入り家族全員のパスポートとシンガポールのグリーンカードを提示すればすぐ手続きは完了です。手続きの間に通行料を支払いますが、これは車のキャッシュカードを機械に入れて乗用車のボタンを押せば自動的に料金は徴収されます。その後、税関に申告するものはありませんから、そこはフリーパスし、いよいよコーズウエイを渡ります。

この第一コーズウエイ、とても短いのに驚きました。いつも通る第二コーズウエイは海峡の上を3kmほど大きな橋を渡るのですが、こちらは1kmもない位短いのです。改めてマレーシアへの距離の近さを感じました。
更には橋の上を歩く人もいます! よく見るとちゃんと歩道もあり歩けるようになっているのです。後で聞いたら近くまでMRTやバスで来て歩く人も多いとのこと。確かに車では慢性的に渋滞しているので、歩いたほうが早いことも多いのでしょう。

マレーシア側から見た第一コーズウエイ

橋をあっと言う間に渡ってしまい今度はマレーシアのイミグレーションを通り(ここも車に乗ったままで手続きは完了します)、いよいよジョホール・バルに入ります。
入ってすぐ左側に車を止めるエリアがあるので、そこで記念撮影です。左手には今渡ってきたコーズウエイとイミグレが見え、向かいには本当にすぐ近くにシンガポールが見えます。すぐ気付きますが、やはりここはマレーシアなのですね、シンガポールとは比べられないくらい景観は雑多な感じを受けます。改めてシンガポールの清潔さをしみじみ感じる一瞬です。

すぐ向かいに見えるシンガポール

◆モスクの観光◆

さて初めてジョホール・バル市街の地を踏みしめた感動も引いてきたので、早速モスクを見に行きます。ガイドブックによると海岸線に沿って西の方へ少し走るとこれらのモスクがあります。

まず最初に「アブ・バカール・モスク」に行きます。
ここはアブ・バカールという王様が8年かけて海を見下ろす丘の上に作らせ1900年に完成しましたが、その時にはこの王様はこの世にいなかった、という、英国コロニアル建築の影響の強い建物です。すぐ向かいには動物園がありましたが、そちらを見る気はしないのでこのモスクに入ってみます。入場は無料でした。
横から入りましたが白い壁と青空のコントラストが非常に綺麗な建物です。中の礼拝堂にも靴を脱いで入れそうだったので入ろうとしたら、入ってはダメだ、と係員に注意されました。でも見ているとイスラム教徒らしき人は入っていたので、一般外国人は入れていないのでしょう。残念です。

下から見上げたアブ・バカール・モスク

それで今度は裏手の海の方に回ってみます。ここからの眺めは確かに丘の上ということもあり最高です。すぐ眼下に海を見下ろすことが出来ます。
それにしても今日は本当に暑い!
じっとしているだけで汗が出てきて止まらないくらい暑かったです。そこで木陰で少し涼みました。やはり海が近いせいか、木陰にいると風が吹いてきてとても涼しく気持ちよかったですね。そこで一服してまた出発です。

眼下に見下ろす海

お次はすぐ近くの「イスタナ・ブサール」へ行きます。ここもやはり名君アブ・バカールがその住まいとして海を見下ろす丘に作らせた建物で、1866年に完成させた宮殿です。奥にあるCarParkに車を止めると、広い芝生の空き地がありその向こうに見えます。これもまた白い壁と青い屋根のコントラストが非常に綺麗な建物でした。
暑い中を汗を拭きながら歩いて行きます。途中には日本人の団体さんもいました。そう言えばCarParkにはJTBのバスが止まっていたのでそれで来たのでしょう。本当に日本人はどこにでもいるものです。(かくいう私たちも日本人ですが。。。)

正面より見たイスタナ・ブサール

中に入ると展示室などがありましたが、その入場料がUS$でかなり高く(しかも外国人は別料金で特に高い)、何となくばからしいので中には入りませんでした。また回りをぐるりと回ってみます。回廊のあたりには警備員がいましたが、よく見ると本物の機関銃を持っています。近くを通るときはちょっと怖い思いをしました。
CarParkに戻る途中には、新婚さんでしょうか、ウエディング・ドレスを着た花嫁さんと新郎がいてプロのカメラマンにより記念撮影をしていました。とても素敵で見とれていたら、何と回りを気にせずキスしてしまいました。子供は大喜びですが、教育上良くないので(笑)、すぐ引き返しました。

◆ランチタイムで一苦労◆

さて、このあたりでもうお昼、おなかもすいてきたのでレストランを探すこととします。せっかくなので海沿いにシーフード・レストランのおいしいのがあるだろう、と想像し、海沿いに西に向かって走ります。
すると途中に大きな時計台が見えてきました。ここはシティ・スクエアと言われる大きな公園になっているようでサッカーグランドやホーカー(大衆レストラン)があります。また車を降りて記念撮影です。すぐ裏手にはハイアット・リージェンシー・ホテルが見えます。ダムのような円弧状の大きなホテルです。

シティ・スクエアの時計台

ここを出発してしばらく走ったでしょうか。右側の小高い丘の上にシーフード・レストランが見えました。どうやらホテルのレストランのようなので、入って行きます。入り口には何と、こんな所に、という感じで日本料理屋さんの看板までありました。

でも車を駐車場に入れますと何となく変です。人気が感じられないのです。降りて良く見ると、どうやらつぶれているようです。隣の日本料理屋も開店している気配はなくつぶれているようでした。うーん、確かに場所は悪いですが、つぶれているとは。。。おなかがすいているのにがっかりです。仕方なくまた市街地の方に戻ることとします。

先ほどのイスタナ・ブサールの向かいの海沿いに大きな5階建てのショッピング・センターがありましたので、そこに入り食事をとることとしました。奥さんはその後買い物をしたいと言っています。
そこでCarParkに車を入れると、何となくまたおかしな雰囲気です。建物内の立体駐車場なのに、照明がついていません。でも何台かの車が止まっていたので、私も車を止めて中に入ってみます。
4階から入ると正面にはボーリング場がありそこは営業しており、若者を中心に楽しんでいましたが、お店は、と見ると、何とまた1軒もお店が入っていません!
これから入る新しいショッピング・センターかとも思いましたが、建物はどう見ても古くてそうは思えません。どうやらここもつぶれているようです。どうしたことでしょう。このあたりは本当に店が良くつぶれている印象を受けました。

もうおなかはペコペコです。仕方ないのでさっきあったハイアット・リージェンシー・ホテルに戻ってみました。さすがにこのホテルはつぶれておらず、無事に中に入ることが出来ました。
でもこのホテル、案内が不親切です。車での入り口が分かりにくくホテルの裏手を一周してしまいました。また前の道路に出てもCarParkへの入り口らしき看板があるので、それに従って1つ手前のわき道に入ってしまい、またうろうろしてしまいました。
まあ何とか車を乗り入れて中に入ってみます。流石はハイアット、中はクラシックな感じで印象は良かったです。

ハイアット・リージェンシー・ホテル

そこで早速レストランを探します。ここでは中華料理を食べたかったのですが2階に日本レストランがありましたので、どんなものか試してみたくなり入ってみました。

このレストランは「あすか」と言います。入り口の印象はなかなかいい感じです。中に入るとマレーシアンのボーイが片言の日本語で「いらっしゃいませ」と言ってくれましたので、奥の喫煙席に案内してもらいます。シンガポールでは室内はどこも法律により禁煙なのに、やはりここはマレーシア、ちゃんと室内でも基本的には全席喫煙、一部のみ禁煙席というのはスモーカーにとっては嬉しいことです。

ハイアットの日本料理店「あすか」

メニューを見るとお寿司とちらしがおいしそうなので、それを頼んでみました。奥さんと子供はお寿司をシェアし、私は特上ちらしというのを味わって見ます。でもこのちらし寿司、RM95ということはS$48(約3360円)と、シンガポールよりも価格は高いのに驚き。まあホテルのレストランというのは大抵値段は高いのですが。しかし出てきたのを見てみるとボリュームはある上ネタもまあまあで、とてもおいしかったです。ゆっくりサラダなどもたくさん食べて家族合計でRM250(S$125=8750円)なので全体ではやはりシンガポールよりは安い。ボーイさんたちのサービスも良く味も良し、価格はまあまあ、ということで、ジョホール・バルの中でもいいクラスの日本料理店という印象を受けました。なかなかGOODでした。
(RMとはマレーシアの通貨単位で「マレーシア・リンギット」のことです。為替は大体RM1=30円ちょっと、S$の半分の価値と思えば宜しいです:2003年時点

◆市街地歩きとショッピング◆

さてようやくおなかが膨らんだので、奥さんのリクエストに従い街中に買い物に行くこととします。地図もなく地理も分からないので適当に車を走らせて見ます。ジョホール・バルの市街はとても雑多な感じを受けました。道路もなんとなく狭い感じがしますし(車線数は結構あるのですが)、車も古い車なども混在しており、ここはアジアの街なんだなあ、という印象を強く受けます。

先ほど入ってきた第一コーズウエイの手前すぐのあたりに大きなショッピングセンターが2軒あったので、そのうちの1つに入って見ます。CarParkを探して車を入れます。料金を見ると「一回入るごとに料金RM2」と書いてあります。
RM2とはS$1(70円)! これは安い。しかも時間無制限。シンガポールではたいてい時間制で1時間S$2(140円)なので、圧倒的に安いですね。これまた新鮮な驚きです。

ショッピング・センターの中はシンガポールと同じ構造になっており、真ん中に大きな吹き抜けがありその周りに多くの店が並んでいます。こちらもやはり非常に多くの人であふれており、大変活気がありました。奥さんは喜んで服とか子供のスポーツ用品とかを探して買っています。私は面倒くさいので何も買う気がなく、ただついてゆくだけです。

ショッピング・センターの吹き抜け

レジで清算する時に何気なくS$を出したら、これは使えないからRMに両替してきてくれ、と言われてしまいました。うーん、うっかりしていました。マレーシアのゴルフ場は大抵S$がそのまま使えたのでショッピングでも使えるかと思っていましたが甘かったようです。そこで近くのマネーチェンジャー(両替商)を探してRMに交換し支払いをしました。
(マレーシアもシンガポールも両替商は街中のいたるところにあるので便利です。US$や日本円にもすぐ交換できます)

◆シンガポールへ帰る◆

さてメインの買い物も終わらせ、やっとシンガポールへ戻ることとします。また車で第一コーズウエイに戻りますが、帰りは夕方になっていたせいか、若干渋滞していました。
今日は普通の日曜日ですがここを抜けるのに30分近くかかってしまいました。これでは連休などで大渋滞するというのもうなづけます。でもいつもマレーシアの来る時に思うのですが、イミグレの処理がシンガポールはさっさと機械で処理するので速いのに、マレーシア側は遅いですねえ。ここでいつもつっかえてしまいます。何とか処理を機械化し速くすることを考えてもらいたいものです。

ジョホール・バルのイミグレ前の渋滞

またコーズウエイをあっと言う間に渡りシンガポールへ戻ってきました。やはりシンガポールに入ると道路や景色の感じがとても清潔で整然としておりきれいです。これはいつも思うことですが、本日みたいにマレーシアの雑多な街から帰ってくると、本当にしみじみシンガポールはきれいだなあ、と思います。

自宅を出発して戻るまでざっと7時間の短い旅でしたが、なかなか面白かったです。奥さんはまた買い物に行きたいようなので、機会みてまた行ってみようかと思います。ジョホール・バルはシンガポールに一番近い外国ですが、物価も安く、本当にすぐ近いので時々は奥さん孝行で行ってみようかと思います。

(2003年8月14日)