チンゲイ・パレード

チンゲイ・パレードとは「Chingay Parade」と書きシンガポールでの旧正月を祝う催し物の1種です。決して「珍芸パレード」ではありません(笑)。

もともと多くの方がご存知の通り、中国では正月には爆竹を鳴らして祝う習慣があります。
シンガポールもしばらくはそうしていたようですが、ある時この爆竹でけが人が出たため法律で爆竹が禁止されてしまいました。それでは民衆の不満が募るということで、当時のリー・クアン・ユー首相が「仮装行列大会をやったらどうか」と提案して1970年代に生まれたのがこのチンゲイ・パレードです。

このように、チンゲイ・パレードはオーチャード・ロードやチャイナタウンなどの大通りを閉鎖して、着飾った各国、各団体の人たちがパレードして歩く、いわゆる仮装行列大会のようなもの、と聞いていましたので、これまで見た経験がない私たちは今年は見に行くこととしました。


今年2004年は1月31日・土曜日の夜7時からオーチャード・ロードを閉鎖して実施されました。
問題は相当な混雑が予想されるので、見る場所をいかにして確保するかです。

途中4箇所ほどに観客スタンドが作られそこからの眺めは良さそうでしたが、残念ながら前売り券は全て売り切れ状態でした。しかし道路際に立って見るのは人垣のため見えにくいだろうと思いどこかいい場所はないか、と考えて思いついたのがオーチャード・ショッピング・センターの3階にある中華レストラン「レイ・ガーデン」のテラス席です。ここは私も好きでよく行くレストランで、なおかつテラスからはオーチャードを眼下に見下ろせるのでパレードの2日前でしたが電話してみました。
するとラッキーなことに「まだ席は空いています」ということでしたので、早速家族の分も合わせて予約を入れました。ちなみにこのテラス席、私の次の日に予約しようとした人は、既に満席で予約できなかったそうです。ラッキーです。

レイ・ガーデンのテラス席

しかしうまくしたもので、このチンゲイ・パレードへの日本からの出し物に我が家の娘も踊りで出ることとなっていましたが、その娘がどこからか観客席の前売り券を3人分もらってきたのです。これで私と奥さん、長男の3人は観客席とレイ・ガーデンと2箇所の席を確保することが出来ました。

さて早速夕方行ってみます。道路は封鎖されているのでMRTに乗りサマセットの駅で降りました。まだ6時半ですが既にしてすごい人ごみです。まずは近くで見てみようということで予約が取れたマンダリン・ホテル前の観客席へ行ってみます。しかし既に座席はほぼ満席状態であったので、前の道路フチの縁石に並んで腰掛けて見ることとしました。

7時になりましたがまだすぐパレードは来る気配はありません。近くに大きなスピーカーでもあるのでしょうか。大音量で音楽が流れはじめ、司会者の人がなにやら英語と中国語で話出しています。そのうちに別の人が歌を歌ったりしていましたが、ちっともパレードは始まりません。なんか、つまんないなあ、と思っていたら若い少年たちが出てきて懐かしいヨーヨーの芸を披露しだしました。これがまたうまいのなんのって。あのヨーヨーを自分の手足のようにあやつるのです。拍手喝采です。
8時近くになってもパレードは来ないので、おなかもすいてきたことですしレイ・ガーデンの方に移動することとしました。

パレード前のオーチャードの状況


このレイ・ガーデンに行ってみると流石に室内席はガラガラでテラス席は満席です。案内されて座ってみると、確かに真下にオーチャードを見下ろすことが出来ます。ここは本当に一等席で予約して正解でした。いつもの北京ダックや冬瓜スープ(本当においしい!)を食べ始めた頃、ようやくスコッツロードの方から音楽と共にパレードが来る気配が伝わってきました。

待っていると向こうからパレードがやってきました!
それこそ各国の代表や各団体の方々が仮装して並んできます。やはり中国風のものが多いのはお国柄なのでしょう。まず見たのは「獅子舞」みたいなやつで、こんな暑い国で獅子舞なんかやったら大変だなあ、と思ってみていました。
1つ来ると今度は次々にやってきます。もう食事している場合ではありません。レイ・ガーデンの店員さんまで一緒になってテラスよりオーチャードを見下ろしています。大丈夫かな・・・。

獅子舞

次にはオープンカーが5台も並んでやってきました。古いアメリカの車やクラシックカーみたいなやつです。誰か俳優でも乗っているかと思ってみていましたが良く分かりませんでした。
しかし後で聞いたのですが、この車には何とあのジャッキー・チェンが乗っていたそうです!
あわてて家で写真を拡大してみましたが残念ながら写っていませんでした。うーん、残念。

中国らしさを感じたのは長~いドラゴンを大勢でかつぎながら歩いたグループです。これは見ていて「すごーい」と大喝采です。
また、たいまつの火を扱う人もいてスリルがあって感動しました。

このあとも次々とパレードは来ましたが、何と言っても圧巻はライトアップして飾り立てた車の行進でしょう。ほとんどのグループがこういう車を用意しており、見ていて飽きることはありませんでした。東京ディズニー・ランドでの「エレクトリカル・パレード」とよく似ています。しばらくしたら日本人のグループもやってきました。「さくら~、さくら~」の音楽と共に綺麗な車と一緒に歩いてきて、前後で踊ったりしていました。うちの娘もこの中にいるはずですが、残念ながらよく分かりませんでした。

2時間ほど見ていたらカメラのメモリーがなくなってしまったので、ここで帰ることとしました。まだまだパレードは続いていますが仕方ありません。来年も機会あったらまた見にこようと思います。

(2004年2月8日)