先日、以前に紹介したSプロよりラウンド・レッスンを受けてきた。
ラウンドレッスンとはその名の通り、プロと一緒に実際のラウンドを行ない、その中でレッスン・指導を受けるものである。通常のレッスンは練習場で行なうので主としてスイング・フォームに対する指導となるが、ラウンドレッスンは実際のコースでのレッスンなので、その場その場で異なるシチュエーションごとにどうすべきか、を教えてもらうことが出来る。また、プロの本物のショットを間近で見ることが出来るので、大変参考になると思い、いつも一緒にラウンドしているIさんと2人で受けてきた。
場所はシンガポール島内のオーキッド・カントリーである。ここは以前話したように私とそのIさん2人でゴルフセットを盗難された忌まわしい場所であるが、今回はそのトラウマをも排除する目的でここにしたのである。スタートは土曜日の午後1時からであったのでテラスでSプロと会い、挨拶した後に3人でコースに出て行った。(コースは前半 DENDRO, 後半 VANDAである)
Orchid CC(HPより)
さて、1stティーに行くと、Sプロと飛ばし屋のIさんはブルーティーより回ると言う。私は普段はいつもホワイトからであるが一緒にブルーティーを覚悟していたら、Sプロが気を利かせてくれて「streamさんはホワイトからでOKですよ」と言ってくれた。
最初はその心遣いに感謝し「ありがとうございます」と答えたのだが、よく考えたら2人がブルーで私だけホワイトということは、1人だけレディースティーから回るようなものではないか!
確かに飛距離は2人には全然適わないのであるが、これでは男子として屈辱的でもあるので、わなわなしながらも「やはり私もブルーから一緒に回ります」と答えたのである。ブルーはほとんど初体験であるが、いざティーグランドに立ってみると確かに距離が非常に長く感じてしまう。実際にもホワイトより20~30mは長い。しかし本日はスコアよりレッスン主体、ということで、いざスタートと相成った。
まず最初にSプロが打つ。ドライバーを持って実に軽く振り上げたと思ったら、インパクト前後でヘッドがものすごく良く走るのに驚き。ボールは「パ~ン!」と勢い良く飛び出してゆき、しかも先のほうでぐんぐん伸びてゆくではないか!
す、すごい! 流石はプロ!!
プロ玉と良く言われるが、これがそうか、とIさんと2人であんぐり。
これが我々アマチュアには出来ないのだ。
アイアンショットも同様である。軽~く柔らかくテークバックしたと思ったら「ビュンッ!」と振り切れターフが綺麗にバシュッと取れ、その後の玉の勢いが違う。格好良過ぎるのである。全然力んでいないのだが、なんであんなに綺麗な玉が出るのか。本日のレッスンではとにかくこの無駄のないスイングを間近で見れたことだけでも大きな成果であったと思う。
さてレッスンは生徒がIさんと私の2人いたため、主として前半はIさん、後半は私、と分けて行なわれた。こちらはSプロについてゆくのが精一杯であったが、せっかくの機会、Sプロが打つ時はそのフォームを良く目に焼き付けておこうと思い、前、横、後ろいろんな方向より見させてもらった。
当然のようにパーオンするショットに惚れ惚れ。自分もいつかはああなりたいものだ、としみじみ思ったものである。
Sプロの途中途中のアドバイスも的確で良かった。私の時は、「ボールから目を離さないで」、「こういうグリーンの時はあのあたりを狙いなさい」、「つま先体重にならないように」など、本当にいいタイミングでアドバイスしてもらえるのである。
ラッキーだったのはグリーン周りのアプローチとパター。つまり前の組も後ろの組も遅かったので、グリーンを上がった時に前は詰まっているし後ろは来ないので、グリーン回りでのレッスンを何度も受けることが出来たのであった。アプローチのコツやパターの打ち方など、本物のグリーンでのレッスンという実に贅沢なレッスンを受けられたのである。
やはり驚くのはSプロのアプローチ。シュッと低い玉が出てきてアマチュア感覚では「お、オーバーするな」と思った玉が、2回跳ねたらスピンがかかってキュッと止まってしまうのだ。これには本当にびっくり。打ち方を教わりながら何度かトライしてみたが、なかなかうまく出来ない。こういう所がプロとアマチュアの違いなのであろう。またまたあんぐり、感動である。
そうこうしながら気持ちよくラウンドを続ける。距離の長いブルーティーからであったが、私のレベルではホワイトもブルーも関係ないようで、ほとんど違和感なく回ることが出来た。しかしやはりショートホールだけは苦しかった。ホワイトなら150m位ですむ所がブルーでは180m(200ヤード)位になってしまうので、私の飛距離では5番ウッドや3番アイアンを「マン振り」しないと届かないのだ。たまたま当日はうまくオン出来たが、何度も成功させる自信はなく、飛距離を伸ばすことがいかに大事かも良く分かったのである。
面白かったのは途中で次のティーグランドに向かって歩きながら、Sプロが「今日はキチンとしたプレーをしないと streamさんのHPに皆、掲載されてしまうからなあ」と言ったことである。そうなのだ、Sプロも私のこのつたないHPを良く見てくれているので、当然今日のラウンドレッスンも記事として掲載されると思っているのだ。その一言には思わず笑ってしまった。
気分良く回り、結果のスコアは103、と、100を切ることは出来なかったが、ほとんどはじめてのコースでしかもブルーからなので私としては立派なスコアであった。やはりSプロのポイントを押さえた指導が良かったのであろう。
103ということはパットも含めて103回のショットをしたと言うことである。各々のショットのクオリティはSプロには全くかなわず、見事に完敗であった。
しかし、しかしである!
こんな私でもSプロに勝ったというショットが3つあったのだ!
では最後にSプロに勝ったショットを紹介しよう。(Sプロさん、ごめんなさい!)
【1】 DENDROコース #4 PAR3 179m
ここは179mと長いショート。しかも見ると砲台グリーンでどう見ても一発で乗りそうもない。
まずSプロがアイアンで打つ。惜しくもほんのわずかにグリーン右手前のカラーに落ち、1オンならず。Sぷろいわく「ここは砲台で難しいのでプロでも完璧に乗せるのは難しいのです」とのことであった。次は私の番である。この距離は3番アイアンでも乗せるのは難しい距離なので手前に落ちる覚悟で打とうか、とも思ったが本日はレッスンにつき固く攻めても仕方ない、思い切って勝負か、と考え、昨年10月より6ヶ月間も封印していた5番ウッドを取り出したのである。
(封印していた理由は、アイアン技術向上のためドライバー以外のウッドは当面使わないと自分で決めていたのである)
低くティーアップして軽く振り上げる。うん、力んでいない、これはいいぞ。ボールを良く見て一気に振りぬいたら、「キ~ン・・・」とインパクトの感触は非常に良かったのであった。
問題はボールの行方である。あわてて顔を上げてボールを捜す前に、隣でSプロとIさんが「おお~~っ!!」と叫んでいるではないか!見るとボールはピンに向かって一直線!
はらはらしながら見ていたらグリーンの手前からス~ッと落ちて見事グリーンの上にドンッ!とオンしたのであった。
またまたそこでSプロが「オオ~ッ! 乗りましたね!」と言ってくれたので、非常に嬉しかったのである。Iさんも惜しくも左にはずし、1オンしたのは私だけであった。
しかし後が悪かった。
Sプロはカラーから寄せワンでパー。私は、何と3パットしてボギーであった・・。
次回こそリベンジしなくては・・・。
【2】 DENDROコース #8 PAR3 170m
また長いショートである。170mでは5番ウッドでは飛びすぎ、しかし3番アイアンではちょっと不足か、という距離。しかもティーの位置から見て、実際には175mはありそう。左のバンカーがイヤだったので、ここは3番アイアンで行こうと思ったのである。しかしアゲインストの風が気になる。。。
まずSプロが打つ。打った瞬間、綺麗に飛んでいたのだが、流石はプロ、「ああ、風が思った以上に強い」と言うではないか。その通りグリーンまでちょっと届かず3mばかりショートしてしまい1オンならずであった。
次はIさん。同じようにちょっと不足で乗らず。
いよいよ次は私の番である。
ここまできたら迷わず3番アイアンを手にして慎重に構える。ティーアップしているので通常よりも飛距離は伸びるはず、と信じて、思い切り打ったのだ。
(ちなみにフェアウエイの上では3番アイアンはまだ自信がなく4番アイアン以下しか使っていない。3番アイアンはティーショット専門で使用している。特にアイアンをZ101に変えてからは難しいので使用頻度は少なかった)
今度も「パ~~ン・・・!」とインパクトの感触は良かった!
見るとボールはいつも以上に高く上がり、ピンに向かってグングン飛んで行くではないか!
そのまま見ていたらピンの根本に向かって「ス~~ッ」と落ちてゆく。2度ばかり跳ねて止まった所は、何と!
ピン横60cmのベタピンであったのだ!!
もうルンルンしながらグリーンまで歩いてゆく。
確かに間違いなくベタピン。嬉し過ぎる!
見るとIさんの玉はグリーンにわずかに届かず手前に止まっている。
その時のSプロの言葉が面白い。
「これこそ、streamさんのHPの言葉を借りて言えば、『私が一番飛んでいない』ですね」と言うではないか!
これには思わず大笑いであった。(「15.すごい人がいるもんだ」参照)
その後は慎重に構えてカップイン。
この長いホールで、しかも3番アイアンのショットでバーディーを取ったのである。
(生涯10回目のバーディーであった)
【3】 VANDAコース #1 PAR5 467m (だったと思う。#4ロングだったかな?)
ロングでありながら230mくらいの所にクリークが横たわっているのでドライバーは使えない。
まずSプロが3番ウッドでショット。Sプロが自分で「快心のショットだ」と言うくらい良い当たりであった。ボールはいわゆるプロ玉でグングン伸びていったのだ。う~ん、相変わらず格好いい。
次は私の番。3番ウッドは持っていないのでアイアンでいこうかとも思ったが、ここでまた5番ウッドを持つ。低めにティーアップしてショット! あ! ちょっと力んでしまった! でも途中で止められないのでそのままブンッと思い切りよく振りぬいたのである。ボールは「キ~~ン・・・」と元気に飛んでゆき、はるか向こうにドンッと着地したのであった。
それを見たSプロとIさんが2人で「おお~~っ!」と言ってくれたくらい良い当たりであった。
ルンルンしながらボールの所へ行って見ると、何と!
Sプロの玉を10mほどオーバーして止まっているではないか!
距離は210mくらい出ていたのだろうか。通常のドライバーと変わらない位飛んでおり、もう少しで危うくクリークにつかまるところであった。
それを見たSプロいわく「私の3番の快心の当たりを超えられてしまいましたね~・・・」。
ちょっとショックを受けていたようであったが、私はついにプロの飛距離を超えた喜びで心底ルンルンであった。
しかしあがってみると私はここはボギー、Sプロはなんなくパー。こういうところがプロのすごい所であり、ゴルフは飛距離だけではないとしみじみ思った次第であった。
ラウンドレッスンは以上のように実に楽しく無事に終了した。
これは本当にいい機会であったので、次回また時々Sプロにお願いしようと思う。
(2004年5月9日)