大雪の日のパチンコ

これも高崎時代の思い出であるが、2001年1月の休日に20cmもの大雪が降ったことがあった。
前夜からしんしんと雪が降り出していたのであるが、翌日休日の朝に起きてみたら見事に20cmもの雪が積もっていたのであった。高崎はそんなに大雪が降る所ではないが、この日は異例で関東地方全域で大雪になったのである。

そこで問題は、休日であるのでパチンコに行くかどうかの判断である。

車にはノーマルタイヤしか付けていないし、見てみると走っている車はごくわずかである。行きつけのパチンコ店の「ニュー丸の内」までは車で15分ほどの距離であるが、これだけの雪の中を走ることが出来るのかどうか。
私自身、昔は雪が多く降った仙台で育ったのであるが、一瞬迷ってしまったのである。

しかし現実には迷うことはなかった。
パチンカーとして、どのような状況であろうとパチンコを打ちに行くべきと考え、迷うことなくパチンコ店に向かったのである。

車に乗って恐る恐る走り始める。道路は他の車が通ったワダチがあるので、そこに沿って走れば意外と大きく滑らず走れることが分かった。スピードは20km程度とゆっくりに抑えてはいたが、後ろからくる車もほとんどなく何とか走ることは出来たのである。

そうして30分以上かけ慎重に走った結果、開店時間前に無事に目指す「ニュー丸の内」に到着することが出来たのである。


ところが問題はここからであった。
なにぶんにも広いパチンコ店の駐車場のこと、一面雪に埋もれて駐車場がよく分からない。何と言っても誰も雪かきをしていないので辺りは銀塩の世界、他にも10台ほど車がいたので、その近くまで何とか車を持っていって駐車したのである。

ひいひい言いながら正面玄関にたどり着くと、驚くことにすでに10人位が並んで待っていたのである!
見ると皆、顔を知っている常連ばかりであり「こんな日まで、お互い好きですなー」と言いながら開店を待っていたのである。
これぞパチンカーの鏡と言えないだろうか。互いにリスペクトし合った瞬間であった。

でも開店まで10分位しかない時間なのに、そこで皆で気付く。
店内の電気が点灯していないのである!
そうなのだ。我々は来ているが、肝心の店員が来ていないのである!
並んでいる我々は、口々に「けしからん!」「客が来ているのに店員がいないとは何事か!」と罵り合っていたのである。

文句を言いながら30分ほど待っていると、ようやく若いお兄さんの店員が1人やってきた。
「申し訳ありません」と言いながら鍵を使って店内に入ろうとするが、我々は店員に対して「店員たるもの、こういう日こそ早く来て我々を待たなければダメではないか」「その通り、早く来て店内を温めて客を待つのが礼儀である」「駐車場も雪かきを終わらせておくべきである」教育したのである。

そうしてようやく我々は店内に入ることが出来、パチンコを楽しんだのであった。


その2週間後であったと記憶しているが、またまた休日に大雪が降ったのである。
当然、その日も早起きして「ニュー丸の内」に向かったのであるが、今回は店の準備状況がどうなっているか、気にしながら運転していったのである。

しかしその心配は杞憂に終わった。
なんと、駐車場から玄関の前まで綺麗に雪かきしてあり、店内には電気が点灯していたのである。
それで開店時間に予定通り玄関が開き、あの若い店員さんはじめ数名の店員が笑顔で我々を出迎えてくれたのである。

前回同様、我々常連は10人ほどこの大雪の中を来たのであるが、これには皆で感心した。
店内に入る時に皆、口々に店員に向かって、「朝早くからご苦労さん」「大変だったろう、よくやってくれた」「同じ失敗を二度繰り返さない所は偉いぞ」とねぎらいの言葉を掛けてあげたのであった。

その後は高崎にいる時に大雪が降ったことはなかったが、今でもたまに大雪が降ると、この高崎での大雪の中でのパチンコについて懐かしく思い出すのである。

(2024年8月18日)