真夏にエアコン故障!

あれは1990年頃(平成2年)である。当時の私は30才ちょっとであり子供が出来たばかりであったが、土曜日はほぼ毎週休日出勤、日曜日はパチンコ店の開店から閉店時までどっぶり使っている状況であった。今から思うと家族には悪いことをしたなと反省しきりであるが、当時は仕事も忙しくフラストレーション発散も兼ねて休日はパチンコに徹していたのである。

通った店は成田市の北部、大栄町の国道51号沿いにあった「夢工房」という店であった。今はもうなくなってしまったが、当時は独立系の店としてそこそこ出してくれサービスも良かったので、結構流行っていた。そのため私は毎週のように通っていたのである。

当時は連チャン機主体の時期であったので、打った台はフィーバーフラッシュⅠドリームX、その後にはフィーバーパワフル、そして名機フィーバークイーンなどであった。今から思い出しても大変懐かしい楽しい台である。大当たりが終わった後、保留玉でリーチがかかったりしたら、連チャンの期待度が一気に高まり、ドキドキ・ワクワクしたものである。

で、その「夢工房」にいつものように行った時である真夏なのでとても暑い日であったと記憶している。
その日は、ドリームXを打っていた。朝の10時の開店から入りエアコンの効いた涼しい店内で大当たりするのを期待しながら打っていた。
休日のため、開店してほどなく周囲は満席になっていた。

 

 

 

 

そうしたら、途中から店内がだんだんと暑くなってきたのである。

常連通しで「おい、何だか暑いな」と話しながらも皆で打ち続けていたのであるが、次第に暑くなってくる状況は変わらず、そのうちに耐えられない暑さになってしまったのである!

「いったいどうなっているんだ」と皆で店員を捕まえてクレームを付ける。そうしたら店内アナウンスが流れて「皆様、ただいまエアコンの調子が悪く修理しております。ご不便をお掛けしますがどうぞ宜しくお願いします。」と言うではないか!

もう、仕方ないなー、と思いながら皆で打ち続けていたが、何と言っても外は30℃を超える暑さ、おそらく店内は40℃近い暑さであったのではなかろうか。

エアコンはなかなか治る気配はない。
もう、こちらも我慢出来ずに皆で上着を脱いで上半身はシャツ姿で打ったのである
人によっては上半身裸になったり、ズボンまで脱いでパンツ一丁で打つ人まで出る始末であった!

そこまでして打つか、と思うかも知れないが、パチンカーとはそこまでして打つのである!
皆、全身汗まみれになりながらもパチンコ台に向かっている姿は壮絶なものがあった。
一方、女性はそうは行かず見ていて可哀想な状況であったが、同じく打つのをやめない。
パチンカーとは男女問わず、かくも根性があるのである!

結局その日はエアコン修理が完了するまで半日以上かかったと記憶している。
皆で死にそうな思いをしながらパチンコを打った、その奇妙な連帯感は感動すべきものであり、今でも懐かしく思い出せる出来事であった。

(2024年7月5日)