鎌倉の紅葉 2005(神奈川)

〈2005年12月11日〉

さて年も明けてしまいましたが、昨年秋の紅葉めぐりの締めくくりとして、12月に入って鎌倉へ行ってきました。
実は私は奈良・京都・鎌倉へはまだ行ったことがないという、きわめて珍しい日本人であったので、今回、初めての鎌倉、しかも憧れの紅葉見物ということで、とても楽しみにしていました。
もともとのきっかけは、同じ会社のある方と話していたら、その方も私と同様にカメラが趣味で、しかも住まいが鎌倉からすぐ近くということで、12月の紅葉真っ盛りの時期になったら一緒に鎌倉へ撮影に行こう、とすっかり意気投合していたのです。そこで見ごろと思われる12月の日曜日に行ってきました。

当日は成田周辺は朝からよく晴れたいい天気であったので、気分良く車に乗って出かけます。成田から鎌倉までは湾岸道路を使って約1時間半の行程。その方との待ち合わせはJR鎌倉駅としていたのでそこへ向かいます。
しかし走り始め千葉を過ぎ、湾岸エリアに出たあたりで雲行きがおかしくなってきました。出発時にはあれほどよく晴れていたのに東京に入るとすっかり曇り空となってしまい、鎌倉に着いても曇りのままです。これではせっかくの紅葉もあまり映えないのですが仕方ありません。しかも外は非常に寒く、気温は10℃もなかったでしょうか。寒さに震え天気の悪さにがっかりしながらの撮影となってしまいました。まあでも初の鎌倉ということで気分は高揚、鎌倉駅でその方をひろっていざ出発です。

◆獅子舞◆

まず最初に向かったのは、鎌倉でも穴場と言われている「獅子舞」というエリアです。
ここは知る人ぞ知る紅葉の名所ということです。場所的には鎌倉駅の北東方面、「鎌倉宮」の少し先になります。鎌倉宮の脇の狭い道を車で進むと、すぐ左側にテニスコートが見えます。ここは皇族の方々がよくいらっしゃるテニスコートとのことですが、見た限りは何の変哲もない普通のテニスコートでした。更に進むと住宅地になり、すぐ山のふもとまで来てしまいました。車はこれ以上先に入れないので、道路わきに車を止めて山道を歩くことになります。
ここは鎌倉中心部からさほど離れていないのに、完全に山道の雰囲気です。 道は湿っていて滑るから要注意です。ゆっくりと登っていくと、頭上は完全に木に囲まれ、そこには紅葉を多く見ることが出来ます。

湿った山道を歩いていきます

本当に大自然の中の紅葉です。時間は既に9時半を回っているのですが、曇っているせいでとても暗い感じで、写真撮影は手ぶれしないよう、とても気を使いました。途中には小さな小川が流れていたりしましたが、水が澄んでいてとても綺麗でした。

自然の中での紅葉です

面白かったのは、途中ですれ違う人々が皆「こんにちは~」と挨拶することです。そう言えば以前、登山ですれ違う人たちは見知らぬ人でも挨拶をする、と聞いたことがありますが、ここでもその慣習があるのでしょう。結構年配の方が多かったせいもあり、ほとんど皆、挨拶してくれましたので、こちらも挨拶を返しました。何となくほのぼのしたいい雰囲気でした。この道をずっと歩くと別の場所に出るらしいのですが、結構な距離があるとのことでしたので、途中で引き返しました。

◆鶴岡八幡宮◆

さて次に向かったのは、鎌倉中心部の「鶴岡八幡宮」です。
鶴岡八幡宮は1063年に源頼義が京都の石清水八幡宮を勧請して、由比ガ浜付近に祀ったのを起源とし、1180年に鎌倉に入った源頼朝が現在の場所に移したとのことです。
恐らくほとんどの方は鎌倉に来た時に最低限、大仏とこの鶴岡八幡宮を見ていることでしょう。しかし何と言っても初めて鎌倉を訪れた私にとっては、もちろん鶴岡八幡宮も初めての訪問になります。

趣ある鶴岡八幡宮

中はとても広く、天候が良くないにもかかわらず多くの人が訪問していました。
ここでは紅葉、と言うよりは、初めて訪れる鶴岡八幡宮をゆっくり見て歩きました。入り口の鳥居をくぐってすぐ見える池にはカモらしき鳥が多く泳いでいたし、昔懐かしの屋台もあれば、天然記念物で由緒ある「大銀杏」も見ることが出来ました。
(2024年4月11日追記)
この大銀杏は2010年3月に大風に煽られ、何と折れて倒壊してしまいました! 大変残念ですが、現在でも修復作業は継続しているようです。

天然記念物の大銀杏

しばらく見て歩いたあと、また鳥居の外に出たら周囲の人々がざわめいています。何だろう、と思ってみていたら、何と、向こうから人力車が走ってくるのです。しかもそこに乗っているのは、おそらくたった今 挙式したばかり(それとも、これから挙式?)と思われるカップルでした。恥ずかしくないのかなあ、と思いつつ見ていたら、ちょうど鳥居の下に人力車を止めて、親族も交えて記念撮影していました。カップルの方はとても幸せそうで、うらやましく思いました。

人力車に乗るカップル

紅葉もかすかに色づいていました

◆建長寺◆

さて次に向かうのは「建長寺」です。このあたりは北鎌倉のエリアとなります。
建長寺は鎌倉五山第一位の臨済宗建長寺派の大本山であり、 建長5年(1253)北条時頼が創建したもので、わが国最初の禅の専門道場でもあります。入るとすぐに重厚な三門を見ることができます。

重厚な建長寺の三門

奥に入って見た行き先表示の看板の中に、何と「天国(てんごく)ハイキングコース」というのがありました!
「天国」とはいかにも直接的な名前だなあ、そんな所は歩きたくないなあ、と同行の方に話したら、「何を言ってるんですか。それは「天国」ではなく「天園」ですよ!」と笑われてしまいました。言われて良く見たら確かに「天園ハイキングコース」と書いてあるではないですか。我ながらひどい間違いをしたものだとあきれてしまいました。

「天国」に見えませんか?

さてこの建長寺、古い寺院を楽しむのもいいのですが、更に奥に進むとそこには素晴らしい紅葉景色を見ることが出来ます
寺の奥の山の上に祈祷所があるのですが、そこまでの途中の景色が素晴らしいのです。
尚、その祈祷所から先が、先ほどの問題の「天園ハイキングコース」であり、時間がある方はそこをグルリと歩くのがいいとのことです。最初に我々が訪れた獅子舞のあたりまでずっと続いているそうです。

石垣の上に映える紅葉

太陽光を透過してとても綺麗

道の両側の紅葉を楽しみながら歩いてゆくと石段があり、そこを上ると祈祷所にたどりつきます。その石段の途中でも太陽の光を透過した紅葉がとても美しく、多くの人が写真を撮っていました。よく見るとここには外人さんが多く来ており、やはり同じように写真を撮りまくっていました。写真撮影が好きなのは、何も日本人だけではないようです。

紅葉の下をくぐりながら石段を登ります

山の上の祈祷所

ここの紅葉は鮮やかな赤だけでなく、黄色に色づいた葉もあります。合わせて同じ黄色の銀杏もありますので、赤や黄と、色とりどり楽しむことが出来ました。
更には途中に何箇所か狛犬もワンポイントとして配置されていますので、カメラマンには絶好の光景です。
とにかく本日見た中で、この建長寺がもっとも美しく感動したエリアでした。
(2024年4月11日追記)
実際、この建長寺の紅葉には本当に感動し、以来鎌倉に紅葉鑑賞に行った時は必ず建長寺に立ち寄るようにしています。

狛犬と紅葉

黄色の葉も美しい

◆円覚寺◆

さて楽しい鎌倉めぐりもあっと言う間に時間が経過し夕方近くになってきました。
そこで本日最後は「円覚寺」を訪れることとしました。円覚寺は横須賀線の北鎌倉駅前にあります。ここはやはり鎌倉五山の第二位の寺院であり、1282年に北条時宗が開山したお寺です。

入り口で写真を撮っていたら、やはり観光に来ている様子の年配の女性の方々が記念写真を撮ってくれ、と頼んできたので、撮影してあげました。「はい~、もう1枚お願い~」とか「フラッシュもたいて下さいね~」「ありがと~、ありがと~」などと、とても賑やかな方たちでした。

円覚寺入り口

ここは奥に進むと箱庭みたいにいろいろな小さな建物が配置されており、その間に紅葉が色づいていたりして、建物と紅葉のコントラストを楽しめるという、建長寺とは違った意味での美しさがありました。
写真を撮りながら進むと、カメラ教室なのでしょうか、大型の一眼レフと三脚を持った人たちが30人くらいいて、先生の言うことを聞きながら撮影していました。いい機会なので、すっとぼけて近くにいて、構図の狙い方など、無料で聞いてきました(笑)。

一通り撮影を終わらせて入り口の方へ戻ると、「国宝 洪鐘(おおがね)」との看板があったので見てみました。見ると洪鐘は別名「梵鐘(ぼんしょう)」とも言い、1301年に北条貞時が鋳造した鎌倉第一の大鐘であるとのことです。その向かいには「弁天堂」というのもありました。


さてほぼ見終わったので、名残惜しいのですが帰ることとします。
入り口の階段を降りて戻るのですが、その時には正面に横須賀線の線路を見下ろす格好になります。そこでの紅葉もとても綺麗で、最後まで感動させられました。

眼下に見下ろす横須賀線

その後、少し遅い昼食を近くのそば屋さんで食べたのですが、そこもまたクラシカルな雰囲気で良かったです。付近の食堂を探したら高そうな所ばかりでしたが、そこはお土産屋さんの奥がそのままそば屋になっている所で、値段も良心的でおいしかったのです。

クラシカルなそば屋

初の鎌倉めぐり、最初から最後まで本当に楽しめました。
天候が良くなく寒かったのが残念でしたが、機会みてまた撮影旅行に来てみたいと思います。

(2006年1月15日)