さよなら、グランドピアノ

2006年3月6日、長年我が家にあったグランドピアノがとうとうなくなりました。

このピアノは遡ること約35年前(1970年頃)、当時小学生であった私の弟がピアノのレッスンを継続する為に、仙台の実家で購入したものです。私もその頃はピアノのレッスンを受けていましたが、残念ながら弟の方がよほど才能があった為、将来に備え買ったものでした。
弟のピアノの腕前は私が聞いても本当に上手でした。父親のお客さんが自宅へ来られた時はいつも弾いて聞かせていましたし、弟が高校に入る頃にはピアノの先生も「将来プロのピアニストとして育てたい」と自宅の両親のところまでわざわざ挨拶に来るほどでした。しかし弟はプロになる気はなく、現在は普通の会社員となっています。そうしたこともあり、そのピアノは私や弟が社会人になったあとはしばらく仙台の自宅で眠っている状態でした。

その後私も結婚し長女が平成元年(1989年)に産まれました。ちょうどそのタイミングで現在の自宅を新築したので、長女にピアノをやらせたいという気持ちで、実家のグランドピアノを我が家へ持ち込んできました。その為、我が家のリビングはピアノ置き場エリアは床補強してあります。リビングは約18畳ありますが、さすがにグランドピアノを置くと3畳ほどのスペースを取られてしまいます。しかし「飾り物」としても迫力あり、私としては結構気にいっていました。

我が家のリビングのグランドピアノ

フタを開けると実にいい音色を奏でます

その長女ですが、子供の頃からピアノのレッスンを始め、小学校高学年まで練習をしていました。次第に上手になってきましたが、さすがはグランドピアノ、その音色は普通のアップライトピアノの比ではなく、とても澄んだいい音を出していました
しかしその後の3年間はシンガポール生活となったためピアノのレッスンは続けられず、昨年帰国してからもほとんど練習しなくなってしまいました。

ヤマハのピアノの鍵盤

こうなると3畳ものスペースを取るグランドピアノは貴重な生活空間を圧迫する存在となってしまい、色々と考えた挙句、思い切って処分することとしました

業者の方に査定してもらいましたが、なにぶんにも35年前の物なので値段はほとんど付かず売却価格はわずか3万円でした。購入当時は250万円ほど(現在の貨幣価値にしたら700~800万円位でしょうか)もしたピアノが3万円・・・。まあ古いから仕方ないですね。そろそろ寿命ということもあり、それで処分してもらうこととしました。

いざグランドピアノがなくなってしまうと、リビングはガランとしてしまいました。これまで35年間、我が家(実家~現在)に鎮座していたピアノ、我々がシンガポールに駐在している間に留守番をしていてくれたピアノ、やはりなくなると寂しいものがあります。
これまでありがとう、と心を込めて皆で言いたい気分でした。

(2006年3月19日)