ゴルフでキレる時

ゴルフというのはなぜか「よくキレる」スポーツである。

他のスポーツでこんなにキレまくることはないだろう。
例えば野球で外野を守っていて高いフライを取り損なってもキレることは少ない。空振りしても自分の未熟さを反省するのみである。サッカーでゴールを決め損なっても「うーん、残念、悔しいー」で終わるのだ。

しかしことゴルフに限って言うと、本当によくキレる。キレてはいけない、キレたら最後、大叩き街道まっしぐら、と分かっているのだがキレてしまう。ではどういう場合にキレるのか記してみようと思う。

1.アプローチの失敗

なんと言ってもこれが一番キレる。目の前すぐ数メートルがグリーンというところでサンドウエッジで軽く「コンッ」と乗せればいい局面。私の場合は、距離が10メートル以上ある場合はザックリ、近い場合はトップが多く発生する。いずれも打つ前にボールのゆくえをつい目で追ってしまうことによるヘッドアップが原因で、なおかつ力んで強く打ってしまうのである。ザックリはまだ許せる。次でリカバリー出来るからである。しかしトップしてグリーンオーバーはつらい。グリーンを横切って反対側へ歩く間、冷静を装っていても実はキレているのである。

もっともつらいのは、グリーン手前のバンカー越えの短いアプローチでトップしてバンカーにハマった時である。このときばかりは一瞬にして完全にキレてしまう。こうなるとバンカーから1回で出ることは少なく、パー、ボギーの夢は消え、あっと言う間に大叩き街道を歩むことになってしまう。

次につらいのは、ミドルなら第2打、ロングなら第3打でグリーンエッジまできたのにかかわらずアプローチをミスしたケース。私のレベルでパーオンすることは少ないが、上記のシチュエーションの場合はうまく寄せて1パットを決めればパーを取れる絶好のチャンスなのである。しかしこういう時に限ってなぜかミスる。この時も「何なんだよ~~、これは・・・」と天を仰いでしまう。

2.「1オン・4パット」

これまたキレる。ショートでせっかく1オンし絶好のパーチャンスなのに4パット・・・。大体のケースはちょっと長めのファーストパットをモロにショートしてしまいセカンドパットを今度は強く打ちすぎてまたまた大きくオーバー。わなわな震えながら「次こそは絶対に入れなくては」、と思うので、これはまず入らない。カップのフチをなめて入らなかった瞬間、思わずパターをグリーンに突き刺したくなる。見事なダボの完成である。

3.何度も続けてバンカーに入る日

なぜかこういう日が時々ある。ティーショットがナイスショット! しかし行ってみたらフェアウエイバンカーの中。出すだけ。次はグリーン回りのバンカーにハマり、その次はホームランして反対側のバンカー。次のホールもまたまたどこかでバンカー。続くショートもティーショットがほんのちょっと曲がってグリーン脇のバンカー。こうなると不思議なもので、打った瞬間「どうせまたバンカーだろう」と思うようになってしまい、実際バンカーに入っている。それを何度か繰り返すと、とうとう最後に「ぶちキレる」。もう泣きたくなる。

4.連続池ポチャ

1回目の池ポチャはまだいい。次で超えればいいのだ。しかし時々連続池ポチャをしでかすことがある。それも2回ならまだ許せる。3回目は安全サイドに横に出せばいいのだ。そしてそのホールはあきらめ、次のホールでの挽回を狙ってゆく。
しかし時々しでかすのは、ショートホールのティーショット池ポチャしてしまい、がっくりしながらドロップゾーンのマットの上から打ったらまたモロにトップして池ポチャ。次もまたまた池ポチャ。流石にショートで3回連続で池ポチャすると次で乗せても7オンなので、ここでほとんどキレかかっている。そうすると今度こそは絶対に池を越えようと思い切り力んでしまうので、グリーンをはるかにオーバーして向こう側のバンカーにハマってしまう。しかも目玉! これでショートでの2ケタ大叩きの完成であり、1日が終わってしまう。
また、面白いのは連続で池ポチャした時は「どんぐりころころ、どんぐりこ~。お池にハマってさあ大変!」などと口ずさんでいることである。完全にキレている証拠であり情けないものである。。。

5.連続OB

これもまたつらい。左が池、右がOBという局面で、右へ2回連続OB。既にキレており、次は思い切り左を向いて打ったら今度は池ポチャ。もう完全にキレる。わなわなしながらバギーで池のフチまで行ってドロップする時などは目の前が真っ白であり、そのホールは以降は完全な消化ゲームと化す。

6.バンカーでの大叩き

これは言うまでもないであろう。特にグリーン回りのバンカーでピンが目の前に見えているのに1回で出られず2回も3回も叩く。完全にキレているので続くパットも3パットコース確定である。

7.フェアウエイど真ん中での大ダフリ

これまた不思議とよくある。ティーショットは快心のナイスショットでフェアウエイど真ん中。るんるん気分でアイアンを握ってグリーンを狙ったら、力んで大ダフリ。ボールはわずか先にしか進まない。この場合、ひと呼吸おかないと大抵、また続けてダフってしまう。

8.シャンク

グリーンエッジでのアプローチでのシャンク。一瞬何が起こったか分からず、次にシャンクしたと分かった瞬間「なんなんだよ~!」となってしまう。それがバンカーにハマっていたらもう大変。完全ぶちキレコースである。

9.木に当たって逆戻り

これまた言うまでもないであろう。「カコーン・・・」と木に当たって後ろに戻った日にゃ、目の前真っ白である。

10.「お先に」パットをはずした時

ゴルフを覚えた頃は、最初のパットが50センチくらい残った時に「お先に」をよくやったものである。しかしそういう時はラインもロクに読まずいい加減に打つので意外と入らずカップのフチをなめて止まってしまう。その時は一瞬アゼンとし、次に止まっているボールを見ているうちに急に憎たらしくなってきて、パターでボールを思い切り打ちたくなる衝動にかられる。そういうことを何度も繰り返した挙句、今ではどんな短いパットでもOKにならない限りは一度マークし一呼吸おくようにしている。私も少しは知恵がついたのだ。


ざっとこんなものだろうか。
上記の「単発」ならまだいい。それが続いてしまう時はそのホールで完全ぶちキレとなる。
例えば、「ティーショットで池ポチャし、ドロップしたボールで大ダフリ。何度かちょろちょろダフりながらグリーンエッジまで行ってアプローチでトップし反対側のバンカー。数度叩いてグリーン上でヤケクソの4パット」。ミドルホールでこれをしでかすと、スコアは何と15近くを叩いてしまう。最後のパットをはずした瞬間は頭の中で「ブチッ!」とキレる音がする。流石に最近はここまでひどいのはなくなったが。。。

面白いことにティーショットでチョロや空振りをしてもキレることは少ない。これはきっとティーショットは「思い切り振る」ので、失敗しても「やるだけのことはやったのだから」と許せるのであろう。

絶対に許せないのがアプローチやパットの大きなミスである。
こればかりは軽く打つつもりが非常におかしな結果となってしまうので、「こんな小さな、しかも止まっているボールごときにばかにされてたまるか!」とキレてしまうのであろうと分析している。

ゴルフはメンタルのゲームでありキレたらおしまいである。そうと分かっているのだが、ミスが続くと本当にキレてしまう。そういう時は大抵1日が終わってしまい、結果は久しぶりの大叩きとなっているのだ。

でも最近気づいたのだが、上手な人でもたまにバンカーでの大叩きをして2ケタのスコアとなることがあるが、あがってみるといつも通りの80台前半のスコア、ということが多い。きっと自分なりのマインドコントロールをし、キレてもあとに引きずらないようにしているのだと思う。いかにしてキレないようにするか、キレてもいかにしてすぐ忘れるか、これが大きな課題である。

(2004年1月22日)