物価(高いもの、安いもの)

◆シンガポール全体の物価◆

皆さんはシンガポールの物価はどれくらいだとお思いでしょうか。アジアの国だから安い、と思う方もいれば、いやインフレや税金で結構高くなっているのでは、と思う方、さまざまでしょう。答えは「どちらも正解」です。

シンガポールでは政府の政策などもあり、物価に非常に強くメリハリがつけられています。
庶民の生活にかかわるものは非常に安く、ぜいたく品とみなされるものには高額の税金が課されて非常に高くなっています。でも生活感より全体的に平均すると、ざっと日本の7割くらいの感じではないでしょうか。分かりやすく言うと、現在の為替レートは1S$あたり70円ですが、これを100円で計算すると大体価格のイメージが日本とぴったり合うのです。基本的には物価は安く暮らしやすい国です。

しかしアジアの他の国と比較すると、やはり高いです。お隣のマレーシアはシンガポールの約半分、インドネシアに到っては3分の1~5分の1の感覚です。よって多くのシンガポーリアンは休日には車でお隣のマレーシアへ買い物に出かけています。

◆高いもの◆

まずは高いものを紹介します。

(1) 車 高いものの代表はまず車でしょう。もうこれは半端でなく高く、一般庶民には高嶺の花です。政策でこの狭い国に車をあふれさせないために高額の税金が課されているからです。
概略は、輸入された車の価値に対して180%の税金、つまり約3倍にもなります。さらには「車を買う権利」を入札方式で買いますので、これが毎月変動しますが約S$3万(200万円)、その他には道路税、保険などです。車を買う権利は一度買うと10年間有効なので次回は払う必要がありませんが、10年後にはまた払わなければいけません。よって初めて新車のカローラを買うと、車代が約700万円、車を買う権利が約200万円、その他税金などで合計950万円にもなってしまいます。(最近は少し安くなってますが、それでも700万円以上)
それでもなぜか島内にはベンツやBMWがごろごろいます。これらはきっと4000~5000万円はします。シンガポーリアンにはお金持ちが多いのでしょう。
(2) タバコ これも税金が非常に高く、日本の約3倍(1箱1000円以上)の価格になります。そのせいか、シンガポーリアンでタバコをたくさん吸う人はあまりみかけません。
(3) お酒 お酒はアルコール度数により税金の率が変わります。
よってビールのようにアルコール度数が低いものは日本とさほど変わりません(でも少し高い)が、日本酒やワインになると、急激に高くなります。よってレストランでお酒をうっかり飲むと、かなり高い請求書が来ますので要注意。ウイスキーボトル1本でS$150~200(1~1.5万円)は軽く取られます。そのため、レストランでお酒を飲んでいるのは日本人や外国人ばかりで、シンガポーリアンはほとんど飲みません。
(4) コンドミニアム コンドミニアムとは日本で言う所のマンションですが、これまた半端でない位高いです。シンガポールは土地が狭いせいか、分譲価格を見ていると一戸あたり1億円なんてのはザラにあります。これはお金持ちのシンガポーリアンの投機対象にもなっており、われわれ駐在員はこれらのオーナーさんより賃貸を受ける形になります。家賃は郊外の不便な所でS$3000(20万円)前後、CITYではS$5000(35万円)前後が目安ですが、最近はこの相場も下がってきているようです。一般のシンガポーリアンはHDB(公団住宅)に住んでいます。
(5) 罰金 シンガポールは多人種国家でもあるので、統制を保つために非常に厳しい法律と高い罰金が用意されています。とにかく何でもかんでも罰金の世界で、慣れないうちは驚きます。
特に日本人の人が注意すべきは、日本からシンガポールへ来たときのタバコの持込みでしょう。タバコは1箱から税金がかかりますので要注意。1カートン(10箱)で約S$50(3500円)の税金の支払いが必要ですが、ほとんどの人は税金を払わないで持ち込んでいると思います。しかしチャンギ空港では時々抜き打ち検査をやっており、ここで見つかるとタバコ1カートン当たりS$1000(7万円)の罰金が課せられます。
同様にお隣のマレーシアやインドネシアから入国する時も注意が必要です。
ちなみにSARSがはやっている時に自宅隔離命令を受けた人が勝手に外出すると、S$10、000(70万円)もの罰金が課せられていました。
(6) 電子部品 シンガポールにはパソコン、デジカメといった電子製品はほとんど揃っていますが、価格は日本に比べると圧倒的に高く感じます。私が買ったデジカメなどは日本の1.5倍もしましたので、日本で買ってもらってこちらまで送ってもらいました。パソコン、デジカメ、ビデオカメラといった高額のものは日本で買って持ち込んだ方がいいでしょう
ただしシンガポールは電圧、コンセント形状が異なるので注意が必要です。トランスをかませばOKです。私のデジカメの場合は、電池の充電器だけをこちらで買いました。
(7) 日本人の塾 シンガポールにも日本人向けの塾があり、中学生以上はほとんどが通っています。しかしこれがまた高く、月S$800(5万6千円)もかかります。当然この分は会社より補填されず自己負担になりますので、子供さんが多い家庭は大変でしょう。
(8) ゴルフ会員権 シンガポールでゴルフをやるのはちょっとした贅沢で、たいていはマレーシアやインドネシアに行きます。シンガポールのゴルフ会員権はS$10万(700万円)、外国人は2倍のS$20万(1400万円)くらいのようです。到底自分では買えず、運が良ければ会社の持っている法人会員権を使わせてもらえる、というところでしょうか。
ちなみにゴルフ代もマレーシア、インドネシアの2倍はして、1ラウンド、バギー、食事含めS$300(2万円)近くはかかります。日本が安くなった現状ではほとんど変わらない料金です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆安いもの◆

お次は安いものを紹介します。

(1) 食事 大衆レストランのことをホーカーと言いまして、島内到る所にありますが、ここは本当に安いです。
1皿あたりS$2~4くらいで、おなか一杯食べてもだいたい1人S$7(500円)で済みます。
シンガポーリアンは自炊の慣習がなく、基本的に3食とも外食になるのでホーカーはどこも安く価格設定しています。においさえ気にならなければこれもいいでしょう。
(2) 交通機関 MRT、バス、タクシーといった公共交通機関は非常に安く、感動さえ覚えます。
MRTやバスはどれだけ乗っても運賃はS$2(140円)とまり、街中でのちょい乗りでは50~70円ですみます。タクシーも庶民の足として活躍しており、料金は日本のざっと5分の1ですみます。車がない時に街に出かけて買い物袋が多いときはタクシーを重宝します。これで約S$4(280円)ですみます。感動です。
(3) 日用品 とにかく買い物をすると全てが安くて嬉しくなります。野菜、文房具、服など本当に安く感じます。
ただしローカルのスーパーで買うことが必要。フルーツも安く、スイカは200~300円も払えば大きいのを丸ごと買えます。
日系のデパートでは日本の食品や米などがあって便利ですが、料金は高めです。
(4) 駐車料金 街中でもほとんどのビルにはCarParkがついており便利ですが、駐車料金も通常は1時間S$2(140円)ですので、日本の半分以下になります。
車が高いわりには車社会になっているからでしょう。
(5) 高速料金 何と言っても気分がいいのはこれ! 島中の高速道路料金は全て無料です。これ以上に安いものはありません。たまに日本に帰ってちょっと高速に乗っただけで何千円も支払うのがバカらしくなります。
(6) ブランド品 グッチやルイ・ヴィトンといった、アメリカやヨーロッパのブランド品は日本より安いと思います。これはシンガポールが安いというよりも日本の税金が高すぎるのでしょうか? 感覚的に1~2割は安いと思います。だから日本からの観光客の人もこちらでブランド品を買っていく人が多いようです。
(7) 海外旅行 シンガポールからの海外旅行は、うまく選べばかなり安いです。
例えば日本へ一時的に帰る時の航空券、これはほとんどの人はJALやANAを使っていますが、マレーシア航空などを使うと相当に安くあがります。注意すべきはシンガポール航空はJALよりも少し高いので要注意。でも機内の快適さ、座席の広さ、食事のおいしさはJALよりも圧倒的に上なので、私は好きですが。
パッケージ旅行などもシンガポールからは、オーストラリア、ニュージーランド、モルジブあたりが人気で、近場ではタイ、香港あたりに集中しているようです。
例えばオーストラリア/シドニーへの5日間の旅行、日本から8月に行こうとするとお盆の頃で1人20万円、それ以外でも17万円しますが、シンガポールからでは10万円程度で行けてしまいます。また日本からでは遠くてなかなか行く気にならないモルジブもシンガポールからでは近い感じがしますので、結構行く人が多いです。
(8) ゴルフ 島内のゴルフは高いですが、隣のマレーシアやインドネシアはいずれも1時間で行くことが出来、料金はシンガポールの半値、1ラウンド1万円ぽっきりで出来ます。だからゴルフをやる人は毎週行くパターンが多いと思います。かくいう私も毎週土曜日はかかさずゴルフをしています。(他にやることがないせいもあります)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ざっと以上ですが、よほどの贅沢をしない限りは生活費は安く済みますので、シンガポール生活をしっかり楽しむことが出来ると思います。とにかくこうして海外に来てみると、日本の物価がいかに高いか、よーく分かります。

(2003年6月8日)