シンガポール最後の夜

いよいよコンドミニアムのインスペクションも終わり、明日は帰国という前日になりました。この日は会社は休み、ホテルで一日家族と一緒に過ごしました。昼間は郵便局へ行って郵便物の転送手続きをしたりちょっとした買い物をしたりして過ごしましたが、夕方にはいつも買い物に行った明治屋から1人でホテルまでブラブラ歩きました。ルートはクラークキーを通り国会議事堂~裁判所前からホテルまでで、単身赴任の時にデジカメを持って何度か歩いた思い出のコースです。ここをこうして歩くのは今日が最後か、と思うと、とても感慨深いものがありました。そうしていよいよ最終日の夕刻がせまってきました。

ちなみに宿泊したホテルはSwissotel Hotel Stanfordで、ギネスブックにも世界で一番高層のホテルと掲載された70階建てのホテルです。場所は City Hall にあります。ここには前々日より二泊三日しましたが、実はシンガポールに4年近くいて宿泊するのは今回が初めてですので、前々から楽しみにしていました。昨日の夕方には家族でタクシーで乗りつけチェックインして部屋に入っていました。

 


部屋は38階で窓から見える眺望がとても綺麗でした。皆でベランダに出てみると、眼下にはマーライオンや裁判所、ボートキーが見えます。正面向こうにはオフィス街の高層ビル群が望めますし左に目をやるとシンガポール・リバーの河口と、その向こうには沖に浮いている多くのタンカーが見えています。まだ外は明るいですが日が暮れてきたらきっと夜景がとても綺麗なことと期待感が膨らみます。思えばホテルでこんな高層階に宿泊するのは初めてでした。

ニコルハイウエイとマーライオン(中央に見えるのがマーライオン)

正面に見下ろす裁判所とボートキー


さて、そろそろ最後の食事に出かけることにします。最後を飾るレストランはどこがいいかと迷いました。
シンガポールらしさを味わうのはやはり中華料理であり、そうなったら一番世話になったオーチャード・ショッピング・センターにある「レイ・ガーデン」になります。ここは会社の関係でもプライベートでも何回も行きましたし、何と言っても味付けが日本人好みでとてもおいしのです。しかしここにはつい先週も行ったばかりでした。

そこでレイ・ガーデンと同じ位おいしい中華レストランである「ロイヤル・チャイナ (Royal China)」に行くことにしました。
ロイヤル・チャイナはラッフルズ・ホテル3階にあり、以前はエンプレス・ルームという名前でしたが、2年ほど前に経営者が変わったせいか店の名前も変わったものです。ロイヤル・チャイナに変わってから味がとても良くなった印象がありましたので、最近は良く行くようになっていました。場所もホテルの目の前で好都合なので、皆で歩いて行きます。
まだ火曜日であるせいか、予約しなくても店内はすいていました。奥のテーブルに4人で座りオーダーします。
頼んだのは北京ダックフカヒレスープ。これらは本当においしく、レイガーデンと並んでシンガポールでも1・2を争う位おいしいと思っています。あとは野菜などを何点か取って、最後にデザートをとります。私はビールで家族はジュース乾杯。ゆっくり時間をかけて食べましたが、流石においしく大満足でした。

ロイヤル・チャイナの入り口

本当に、中華料理は日本に比べてシンガポールは実においしいです。シンガポールに旅行に来られた方は、是非ともここの中華料理を味わって下さい。他にもフランス料理やイタリア料理、日本料理などたくさんありますが、それらは何もシンガポールで食べなくてもどこでも食べられます。しかし中華料理だけはシンガポールは抜群においしいので、絶対にお奨めです。


さてさて、おなかも一杯になったのでブラブラとラッフルズ・ホテルの中を歩いてみます。夜も遅いのですが観光客や夕食に来ているお客さんが相変わらずたくさんいます。中庭ではライトアップしたパブが営業していますし、ホテルの角には有名な「ロング・バー」もあります。そう言えばシンガポールに4年近くいてロング・バーには一度も来たことがありませんでした。次回、遊びに来たときにでもここに来てみたいと思います。

ラッフルズ・ホテルの中庭

有名なロング・バーの入口


そうしてしばらく歩いた後に、宿泊しているホテルへ戻ろうとしました。時間はまだ10時前です。 City Hall 前の信号を待っていたら、すぐそばにトライショーが2台、客待ちをしていました。トライショーとは以前マラッカに旅行した時にも乗りましたが、自転車の横にサイドカーを付けお客さんを2人まで乗せて市内観光するという乗り物で、シンガポールではブギス近辺に多く見られます。流石にシンガポールに住んでいてこれに乗るのは恥ずかしかったのでこれまでシンガポールでは乗ったことはありませんでした。
そう思いながらそのトライショーを見ていたら子供たちが「お父さん、最後の思い出にトライショーに乗ってみない?」と言い出しました。流石に恥ずかしいと思った私は「やめようよー」と答えましたが、今度は奥さんまでが「いいじゃない、最後ですから乗ってみませんか」と言うので仕方なく乗ってみることにしました。

近くの人たちの視線を感じながら2台に分乗します。目的地はマーライオン近辺まで行って戻ってくると言う周遊コースとしました。
乗ったらすぐに発車です。マラッカの時と同じように自転車が道路を走ります。車の間をすり抜けてうまく運転する所は全く同じ。それよりも何よりも、いつもとは違う視線で見る街並みがとても新鮮なことに気づき驚きます。自転車ではやはりステレオを大音量で流しているので歩行者からの注目度は100%で、とても恥ずかしかったのですが、こういうのもたまにはいいか、と割り切ったら、なんだかとても楽しくなってきました。

車道を走るトライショーからの撮影


しばらく走った所で夜のマーライオンに到着です。
よく考えたらマーライオンは引越し途中の頃には来ましたが、引越し完了後には来たことがなかったので、今夜が最初で最後となります。見ると口から勢い良く水を吐いていて、しかもライトアップされているのでとても綺麗でした。周囲には家族連れやカップルなど人がたくさんいます。記念に写真をパチリ。しかし何枚か撮影した所で何と電池切れ!

いやいや、これにはまいりました。ここから写真が撮れないとなると実につらい。夜10時過ぎなので周囲の店も開いている雰囲気はありません。困っていたらトライショーの運転手の人が「どうしましたか?」と聞いてきたので「実はカメラの電池がなくなってしまった。どこか開いている店はないだろうか」と相談した所、「おお、それならあの店は開いているはずだ」と言って私だけトライショーに乗って出かけることにしました。その店はすぐ近くでしたが確かに開いており、電池も無事に購入。
再度カメラを使うことが出来、大変ありがたかったのでした。親切な運転手に感謝です。

高層ビルをバックにしたライトアップされたマーライオン


さて今度はホテルに向かって戻ります。
また乗り込んで裁判所近くを走っている時に、道路脇で日本人女性らしき人が2人、タクシーを拾おうとしています。「あーあ、こんな夜中にタクシーなんかつかまらないよねえ」と話しながら通り過ぎた途端、その人たちが「あー! stream さーん!」と言うではないですか! そうしたら奥さんが振り返って「あれー!! xxxさんー!」と言っています。聞いたらどうも知り合いの方であったようで、すぐにトライショーをUターンさせその人たちの所に戻っていきました
戻ったら間違いなく知り合いの方であったようで、奥さん通し嬉しそうに話をしています。その方たちとはつい先日、帰国のお別れをしたばかりのようでしたが、最後にまた会えてとても良かったと思います。本当に偶然ですが、いい記念になりました。

ライトアップされた裁判所


さてそうして約1時間の後、再びホテルに戻ってきました。
優しかったトライショーの運転手の方2人にお礼を言って部屋に戻ります。皆、かなり疲れていましたが、この窓から見る夜景が最後かと思うとすぐに寝るのはもったいなくて、しばらく夜景を眺めていました。ボートキーのあたりや正面に見える高層のあたりは光がキラキラしてとても綺麗でした。しばらく眺めていた後、流石に眠くなってきたのでそのまま寝てしまいました。
こうしてシンガポール最後の夜は、良い思い出を残してふけていきました。

ホテルから夜のボートキー方面を臨む

(2005年5月15日)