シンガポールに赴任したら、早めに銀行口座を開設することをお勧めします。各種手当てや給料の振込みを行なう必要もある上に、こちらでは支払いはキャッシュレスや小切手による支払いが一般的なので、銀行口座を早く開設しないと生活に支障が出るのです。
シンガポールの銀行で大きいのは、「DBSバンク」と「POSB」です。これらのATMは共用でも使えますので便利です。いずれの銀行にするかは給与振込みの関係上、会社の指定に従うこととなります。
口座開設のためには会社の給与振込を行なっている銀行の支店に行きます。うちの会社の場合は総務の方が同行してくれたのでスムースに出来ました。(日本語の分かるシンガポーリアンでした)。行く前に下記の書類を用意しておいて下さい。ちなみにこれはDBSバンクの例です。
<用意するもの>
①パスポート
②グリーンカード(就業ビザ Emplyment Pass)
③トラベラーズチェック、または現金S$3,000以上(小切手のデポジットで必要)
まずその支店に行ったらデポジットを用意しなければなりません。現金で持っている方はいいのですが、赴任時に支給されたトラベラーズ・チェックを換金することも可能です。その窓口に行ってS$に換金します。続いて口座開設の窓口へ行き手続きをします。その内容は下記の通りです。
<口座開設手続き>
①申請書に必要事項を記入します。(住所、氏名、会社名、学歴など)
②カードの暗証番号(PIN-NO, 数字6ケタ)を決めますので、あらかじめ考えておく必要があります。
③デポジットS$3,000(約20万円)もその場で渡します。これは小切手帳発行のために必要になります。
尚、同じ趣旨で、月末には銀行口座残高が常にS$3,000以上あることが求められます。しかしこれは大抵
の会社は給与振込みが月末なので、実際には残高不足になることはまずないと思っていいでしょう。
④ATMで一日に引き出せる金額の上限を決めます。(S$1,000、S$2,000、S$3,000より)
これは万一のカード盗難時の対応を考えたものなのでしょう。
逆に言うと、ATMでは決めた上限金額以上は同じ日にはおろせません。よって大きな買い物を現金でする
場合には、2日に分けて引き出す必要があります。
以上の手続きを終わらせると、その場でバンクカード(日本で言うキャッシュカード)を渡されます。これがあれば島内至る所にあるATMより現金を24時間引き出せることになるので、大変便利です。小切手帳は10日ほどすれば登録した住所に送られてきます。シンガポールでは小切手での支払いも一般的ですので、小切手帳は大事に管理しておくのが望ましいです。面倒でも小切手を切った履歴(支払い先、日付、金額)はマメに残しておいた方がいいでしょう。
これで基本的な銀行口座開設の手続きは完了です。
■ ATMについて ■
ATM(現金自動支払機)はシンガポール国内の銀行支店、ショッピング・センター、MRT(地下鉄)駅構内など、至る所にあり、しかも年中無休24時間稼動ですので、大変便利です。英語の画面ですが使い方は簡単で、まずバンクカードを差し込んだ後は暗証番号を入力し画面の指示に従って処理します。一般的な引き出し金額(S$100、S$500など)は標準で画面にありますので、それを画面タッチすれば引き出し完了です。もし異なった金額を引き出す場合には、自分の口座種類(通常は
Auto Saving)を指定し、望む金額を入力します。レシートの有無も求められますので必要に応じYESかNOか入力すればOKです。
ATMで扱っている紙幣はS$1,000やS$100などの高額紙幣はなく、S$50、S$10ですので、多額のお金を引きおろす時には財布がかなりぶ厚くなってしまいます。でも実際にもS$100以上の紙幣はほとんど流通していませんので、慣れてしまうことが必要です。
■ NETS(ネッツ)について ■
シンガポールではこのバンクカードを使ったNETS(ネッツ)というキャッシュレス支払いシステムがほとんどの店で使えます。使い方は店のレジ(キャッシャーと言います)で「支払いはNETS」と言ってバンクカードを渡し、店員の求めに従って小さな端末から6ケタの暗証番号を入力します。これでリアルタイムで銀行口座から引き落とされますので大変便利です。但し上記に述べた一日の上限金額までしか使えませんので、それを超える場合はクレジットカードなどを使う必要があります。
■ 小切手について ■
小切手はあらゆる支払いで必要になります。書き方はさほど難しくないので、誰か身近な人に聞いてみて下さい。口座開設の時に決めたサインをする必要があります。
■ GIRO(ジャイロ)について ■
GIROとはいわゆる口座自動引落しのことですがシンガポールではあまり一般的ではありません。手続きもちょっと面倒で時間もかかるので、必要なければ無理に登録することはないと思います。但し、日本人会の会費はGIRO指定となりますので、この分だけは登録する必要があります。手続きは日本人会館に聞けば分かります。
■ 預金通帳について ■
シンガポールの銀行は日本のような預金通帳は一切発行せず、毎月1回、口座使用明細が送られてきます。注意点は年に1回の税務申告で必要となる12月の明細(年間利子が記入されています)は紛失せずに大切に保管して下さい。後日、会社より提出を求められます。
■ インターネット・バンクについて ■
預金通帳がないこともあり、インターネット・バンクを登録すれば常に口座残高の確認が出来て便利です。
User-IDはバンクカードの暗証番号(PIN-NO)とは別に取る必要があります。
近くのATMを操作すれば、そのレシートにUser-IDが書いてあります。尚、このUser-IDは最初は自動的に取られますが、最初にインターネット・バンクにログインした時に自分で分かりやすい番号に変更することも可能です。ただ、いずれも画面は英語ですので、慣れない方はちょっと苦労するかもしれません。かくいう私もだいぶ苦労した記憶があります。
このインターネット・バンクでは残高確認が出来るだけでなくて、各種の支払いもインターネットで出来ますので非常に便利です。具体的には電気・水道・ガス料金、ケーブルテレビ、電話料金(固定電話、携帯電話とも)、クレジットカードの清算などがインターネットで24時間出来ます。その他シンガポール国内の主なデパート、企業、役所などはほとんど登録されていますので、関係ある会社を探してインターネット支払いで登録しておけばいいと思います。
(2004年4月18日)
(2024年2月16日追記)
当初はDBSバンクのURLやインターネットバンキングの登録方法を記載しておりましたが、WEB内容が時々変更になることを鑑み削除しました。