肺がんとの闘い

肺がんの発見

あれは2021年2月人間ドックでした。いつものように千葉県内の津田沼中央総合病院でドックを受けた結果が自宅に届きました。
どれどれ、と思って診断書を見ると、何と肺のレントゲン写真に「右肺門部異常影」すなわち肺に異常な影が写っているので精密検査を受けて下さい、とあるではないですか! もしかしたら肺がん?!

確かに私は(大きな声では言えませんが)15才の時よりタバコを吸っているヘビースモーカーでしたが、ここ数年は電子タバコに変えていた上に、前年度の人間ドックではご丁寧に「肺ドック」まで受けていて、CTの結果等で問題なし、となっていたので、全く心配はしていませんでした。それだけにこの結果はとてもショックであり、祈るような思いで数日後に再検査に行きました。

そこで先生の所見を聞いたところ「一応詳細検査は行ないますが、ほぼ間違いなく肺がんだと思います」とのことで、ガ~ン!と大ショックでした。

とにかく至急詳細検査を受けたいと思いましたが、今後の通院などを考えると、この津田沼中央総合病院までは車で1時間弱かかるので、自宅近くの成田の病院に通いたいと思いました。
実はちょうど前年の2020年4月に自宅より車で10分という好立地に「国際医療福祉大学 成田病院」がオープンしたばかりでしたので、そこに紹介状を書いていただき行ってきました。

ちなみに肺がんの可能性が高い、と言われた直後には、さすがに禁煙し、それは今でも続いています。

病院の選定

さて「国際医療福祉大学 成田病院」に通うことにしましたが、成田市にはいわゆる総合大病院というのが3つあります。
①相当古くからある「日本赤十字病院」(通称「日赤」)
②結構新しくてきれいで大きい「徳洲会病院」
③最も新しい「国際医療福祉大学 成田病院」です。

「日本赤十字病院」は総合病院で人気がありますが設備が古い上に慢性的に混雑しており、とにかく待たされます。
「徳洲会病院」は、緊張型頭痛初期と肺炎救急でかかりましたが、とにかくきれいな病院です。しかしどうも先生方の評判がすこぶる悪く、そのせいかいつもすいております。(割り切れば待ち時間が少ないのでいいのでしょうが)

そこで選んだのが「国際医療福祉大学 成田病院」だったのです。
何といっても自宅から車で10分という好立地に加え、2020年4月オープンしたばかりの新しい綺麗な病院であったので、それだけでも気分がいいのですが、期待したのは最新鋭の検査・治療機器が揃っていること、および周辺より優秀なお医者さんを引き抜いたことによる効果的な治療を期待してここに決めたものです。

国際医療福祉大学 成田病院

結論から言うと結果は大正解で、5年生存率20~25%と言われる肺がんステージ3にもかかわらず、1年もしないうちに病巣は消え治療完了し、2年目でもう大丈夫だろうと言われ、4年経過した現在でも再発することなく全く問題なく回復しております。

参考までに記しますと、国際医療福祉大学の医学部はまだ新しく、京成成田駅の1つ東京側にある公津の杜(こうづのもり)駅前にあります。その大学病院ということで全国に数か所ありましが、地元の成田にも2020年4月に新規オープンしたものです。
実は当初開院予定は2020年10月頃だったようですが、当時は新型コロナが急拡大しており当病院でも新型コロナ専用の受け入れ対応と専用病室フロアを用意していたため、当局からの要請で半年早めて開院したとのことでした。
あとから聞きましたが、ここは成田空港に近いこともあり、空港の検疫でコロナ陽性になった方を受け入れることも多く、何より素晴らしいのは(非公表ですが)千葉県内のコロナ受け入れ病院の中での死亡率が最も低い(救済率が高い)とのことでした。それほど治療レベルが高いということだと思います。

また、この病院でコロナに対応しているM先生は、当時は毎日のようにテレビに出てコロナの説明対応をしていました。

いずれにせよ今回かかった呼吸器内科や放射線科だけでなくあらゆる診察科がある総合病院なので、とても便利です。
今でも定期的に事後検査や他の診療のために毎月通院していますが、自宅から近いこともあり大変満足しています。

詳細検査の実施

さて紹介状に基づき、呼吸器外科に行きました。
まずは当日中に血液検査や肺のCT検査を行ない、ほぼ肺がん確定とのことで、別途各種詳細検査を行ない、肺がんかどうかの最終判断、および進行度を確認することとしました。

最初の精密検査は「PET-CT」です。これは造影剤を注入したあと、全身をCTスキャンする検査で、がんの発生個所は赤く光って見えるというものです。残念ながら肺の箇所が赤く光っており、肺がんであることが分かりました。

続いて翌日から2日間の検査入院 を致しました。 保険も出るので個室を取りました。入院したその日にすぐ精密検査を行います。
まず入院した日の午前中には「頭部のMRI検査」を行ないました。これはがんが脳に転移しているかの調査です。

午後には生体検査の実施です。特にがんの検査は患部の細胞を直接採取し、がん細胞かどうかを判断する「生体検査」が極めて重要です。

私の場合は肺がんの疑いがあるので、肺の気管支の辺りの細胞を抽出することになります。ベッドに寝かされて、全身麻酔ではなく喉の部分の部分麻酔を行なったうえでハサミのついたカメラのようなものを気管支奥まで入れて細胞採取するのです。

先生には麻酔を掛けるから痛くないですよ」、と言われていましたが、実際には麻酔がまだ効いていない時点で先生方が「摘出開始」と言って作業を始めてしまいました!

当然、気管支にカメラみたいなものが入ってくるので、ものすごーく違和感あり、しかも患部をハサミでちょん切るのでこれがまた痛い!

しかも口にカメラを入れられているので声も出せず、必死で我慢すること15分位でしょうか。
ようやく検査が終了し、ヒイヒイ言いながら病室に帰ってきました(涙)。
その日はそのまま宿泊し、翌日の検査結果を待つことになりました。

検査結果と今後の進め方の決定

さて翌日の午前中、先生が病室に来られました。検査結果は「やはり肺がんでした」というものです。すでに覚悟は出来ていたので、意外と冷静に話しを聞くことが出来ました。
正確には「非小細胞肺がんのステージ3」です。

がんの転移については脳はじめ他の臓器への転移は幸いありませんでした。
しかしもう片方の肺の一部にごく小さながんが転移していたので、この場合の治療方法としては肺の切除は出来ず「放射線治療」「化学療法治療(いわゆる抗がん剤)」による治療を行なうこととしました。

そこで2021年3月に、放射線治療と抗がん剤治療を開始するため、まず10日ほど入院することとしました。

治療開始

◆放射線治療とは、放射線を発する機械に横たわり、がんの患部に放射線を精度良く照射しがん細胞を死滅させるという治療です。放射線照射は5分程度と意外と短く、これを平日1日1回、計30回実施するので、約1か月半の治療になります。
短い時間ですが、動いてはいけないので、咳が出そうでもこらえるなど結構キツイ時もありました。でも痛みもなく後半は自宅からの通院で対応出来たので、肉体的な負荷はほとんどありません。
この病院には新しいだけあって、最新鋭の高精度の放射線マシンがあったので、その効果は大きかったと思われます。

◆抗がん剤治療は、抗がん剤を月2回(1回目は大量、2回目は少量)点滴するもので、これを1年間(12セット)続けます。1回目の大量の点滴の場合は結構時間がかかり7~8時間は点滴を続けることになります。これは専用の点滴室があるので、そこで読書したりスマホを見たりしながら点滴を受けます。

抗がん剤とは、毒素によりがん細胞を殺すという化学療法ですので、当然副作用も発生します。良く言われるのは髪の毛が抜けるというものですが、幸い私の場合はそうはなりませんでした。しかし、点滴翌日から数日間は胃がムカムカして気持ち悪く、何も食べられない、水を飲むのも億劫という症状に悩まされました。

これはかなりキツかったです!
飲み食い出来ないので体重はみるみる減少し、1週間で5kg以上も減ってしまいました。また、血圧も下がり体力も低下したので、5日目あたりからは歩くのもつらく、人生初の車椅子による病院内移動をすることになってしまいました。

また、病院食というのはだいたいにおいてマズイもので、それもあり入院中はほとんど食べずに過ごし栄養剤を点滴するという状態でした。そのため退院後に自宅で食べた普通のうどんが如何に美味しかったことか!

このように初回の放射線治療と抗がん剤治療の期間は入院しましたが、次回からは入院せず自宅より通院で治療に対応することと致しました。放射線治療は1か月半、抗がん剤治療は1年続けることとなりましたが、その間は普通の生活が出来ました。

ただ、この抗がん剤治療は2回(2か月)行ないましたが、2回とも副作用に悩まされました。
しかし3回目からは抗がん剤より効果のある免疫チェックポイント阻害薬(いわゆる免疫療法)の投与に切り替えました。
これは最新の治療法で、がん細胞によって弱められているその人の免疫細胞の本来の力を取り戻し、それによりがん細胞をやっつけるというもので、かなり有効な結果を得られるというこのです。
効果もさることながら何より副作用がほとんどないことが非常にありがたく、また点滴時間も短くて済むので助かりました。

このように放射線治療は1か月半、抗がん剤&免疫療法を1年間続けることとなりました。初回以外は自宅からの通院で対応でき、普通通りの生活が出来たのは良かったと思います。

その後のフォロー

1年が経過した段階で肺の状況を確認した所、どうやらがん細胞はほぼ消滅したようで、一安心です。
一応、5年経過して再発がなければ完治ということのようですが、2年目あたりで「もう大丈夫でしょう」と言われ、今でも念のため毎月通院し、血液検査やレントゲン、3か月に1回の肺のCT検査、6か月毎の脳のMRI検査を行なっています。
現時点で4年経過しましたが問題はなく、ほぼ完治したと考えています。

一時はどうなるかと思いましたが、素早い対応と適切な病院選びにより良い結果が出たものと考えています。
今後も月1回の通院は続け、肺がんだけでなく他の病気の早期発見に努めたいと思います。

(2025年6月25日)